【第10章】
The House of Gaunt
ガウントの家
その二

 ガウントとオグデンがそんな口論をしていると、開いている窓の外から馬の蹄の音と人の笑い声が聞こえてきます。若いマグルのカップルが馬に乗って散歩しているようで、会話の内容からして2人は恋人同士のようです。2人が行ってしまった後、モルフィンがメロウプに「あのマグルには恋人がいたんだな。残念だね〜」みたいなことを言います。メロウプは馬に乗ってよく家の前を通るハンサムなそのマグルに恋をして、毎日窓の外を見ていたそうです。
 ガウントは純血を誇る自分の娘がマグルに恋をしていると聞いて激怒します。
家族間の会話は全てパーセルマウスのためオグデンには何が起きているかさっぱり分からない様子。しかし何かを叫びながら娘に飛び掛かろうとしたガウントをオグデンが魔法で跳ね飛ばし、怒りの矛先はオグデンにも。
 ここでオグデンは命からがら小屋から逃げ出し、ダンブルドアとハリーも彼に続いて小屋を出ます。小屋からはメロウプの悲鳴が響いてきました。

 ハリーとダンブルドアはダンブルドアの部屋へと帰ってきます。ハリーはメロウプがあの後どうなったのか気になりダンブルドアに訊ねます。
 ハリーとダンブルドアの帰った後オグデンはすぐに強化部隊を連れて小屋に戻り、モルフィンとガウントはウィゼンガモット移され、モルフィンはマグルを魔法で襲った罪で3年、ガウントはオグデンを含めて魔法省役人を多数負傷させた罪で6ヶ月、それぞれアズガバンに送られたそうです。
 そしてそこでハリーはダンブルドアから、ガウント名前がマールボロであることを聞かされます。マールボロ・ガウント、彼はヴォルテモートの祖父だったのです。
そして、メロウプは母親、あのメロウプが恋していたマグルが父親だと言います。
 ハリーはとてもあのハンサムなマグルが、ぱっとしないメロウプと恋に落ちて結婚することになるとは考えられません。
 ダンブルドアの話によると、メロウプはマールボロとモルフィンがアズガバンに送られ、人生で初めて2人の束縛から離れ自由になった。彼女は2人の脅威のため充分に発揮できていなかった魔力を使い、18年間の絶望的な生活から逃げ出そうとした。
ある暑い日、彼女は1人で馬に乗って通りかかったトム・リドルに惚れ薬を入れた水を飲ませ2人で駆け落ちした。そして妊娠し、彼女はなぜかトム・リドルに惚れ薬を飲ませ続けることを止めてしまった。その結果、トム・リドルは実家に帰り彼女は1人でヴォルテモートを生んだ。なぜ惚れ薬を飲ませるのを止めてしまったかは謎だが、ダンブルドアはメロウプは本当に深くトム・リドルのことを愛していたから魔法を使って彼を繋ぎとめておくことに耐えられなくなった、あるいはトム・リドルも自分のことを愛してくれていると思い始めた、あるいはトム・リドルが赤ちゃんのために自分の元に残ってくれると思った・・と考えているようです。
 マールボロはアズガバンから戻ると、自分の娘がマグルと駆け落ちしたことを知りショックでモルフィンがアズガバンから帰ってくる前に死んでしまったそうです。
 
 ここまで話すとダンブルドアは今日の授業は終了と言います。ハリーは今日の授業の内容をロンとハーマイオニーにだけ話す許可をもらい部屋を出ようとします。
 そしてドア付近まで来た時、テーブルの上に黒い石の付いた金の指輪を見つけます。その指輪は記憶の中でマールボロがオグデンに見せていたあの指輪でした。
ダンブルドアはこの指輪を手に入れる時に、手にあの傷を負ったといいます。詳しく話を聞こうとするハリーにダンブルドアは、「もう遅いから別の時に話そう」と再びごまかされてしまいました。