【第十四章】
フェリックス・フェリシス
Fwlix Felicis
その三
観客席は半分赤と金色に、残りの半分は緑と銀色に染まっています。激しい歓声の中、例のルーナのライオンの帽子の吠える音も響いていました。ついに試合開始!実況はハッフルパフのザカリアス・スミスです。彼はマイクを通じてウィーズリー兄妹をけなしまくってスリザリン応援団から喝采を浴びていました。
まず最初にゴールを狙ってきたのはスリザリンのアークハートでした。しかしロンは見事に防ぎます。
開始から30分、ジニーが6ゴールを決めグリフィンドールが60−0でリードします。そしてロンは全てのゴールを防ぎ続けます。こうなるとザカリアスは、実況席からウィーズリー兄妹を責めることが出来なくなり、次はスリザリンのメンバーをけなし始めます。グリフィンドール席からは
‘ウィーズリーは我が王者’(でしたっけ?5巻で出てきたWsasley
is our
kingです)
の大合唱が沸き起こります。
そして、スリザリンのシーカーのハーパーがわざとハリーにぶつかってきます。
ぶつかってきた後彼は急いで飛び去ってしまったので、ハリーは仕返しをしようと彼の後を追います。しかしハーパーはこの時既にスニッチを見つけ、追っていたのです。ハリーもすぐにスニッチに気付きましたが、先に気付いたハーパーはハリーよりスニッチに近い位置を飛んでいます。
グリフィンドールのリードは100点だけなので、なんとしてもスニッチを取らないと負けてしまいます。
ハーパーがスニッチに手を伸ばし掴もうとしますが、指の間からこぼれてしまいます。ハリーはそのこぼれたスニッチを力いっぱい掴みます。そして試合終了!ハリーはスニッチを掴んだ腕を高く揚げ空中でチームメイト達と抱き合います。みんな、昨日までのロンの態度に対する悪意もすっかり忘れ、チームも観客も歓喜の渦に包まれます。
その後、ハリーとロンが更衣室にいるとハーマイオニーがやって来ます。彼女はハリーに「朝食の時ロンのジュースにフェリックス・フェリシスを入れたでしょう!全てが上手くいきすぎよ!」と攻め立てます。ハリーはポケットからフェリックス・フェリシスの小瓶を取り出します。すると瓶はコルク栓がしっかりと蝋で閉められ金色の薬で満たされています。
ハリーはわざとハーマイオニーが見ている前で薬を入れる振りをして、ロンに自分はフェリックス・フェリシスを飲んだと思い込ませようとしたのです。
そのお陰でロンは、今日一日自分はついていると思い込み実力で全てのゴールを防いだのです。
ハリーは上手くいったと大満悦ですが、ロンはハーマイオニーにジュースのせいではなく実力でやったんだ!と怒鳴りつけて更衣室を出て行ってしまいます。
試合に勝てば、ロンとハーマイオニーの仲も復活すると思っていたハリーには大誤算で、2人の中はさらに悪化してしまいました。
その後談話室で勝利のパーティーが開かれますが、ロンはラベンダー・ブラウンと一つの椅子で寄り添い、ハーマイオニーはパーティーには参加せず談話室から出て行きます。
ハリーはハーマイオニーを探しに出て、誰もいない教室で彼女が授業で習った呪文で小鳥を出して一人で小鳥の飛ぶのを見つめてボーっとしているのを見つけます。ハリーは話しかけますが、ロンの不機嫌の最初の理由がハーマイオニーとクラムに対する焼きもちだとも言えず、何と言っていいのかわかりません。
するとそこにロンがラベンダーの手を引き楽しそうにその教室にやって来ます。一同最悪の雰囲気に・・・
ハーマイオニーは自分の出した小鳥達に呪文を掛け、小鳥達はロンを突いて襲い掛かります。悲鳴をあげるロンを残してハーマイオニーは教室を出て行きました。
ハリーはハーマイオニーが部屋を出る時泣いていたような気がしました。