【第15章】
破られざる誓い
The Unbreakable Vow
その一

 今年もホグワーツにクリスマスが近付いてきました。ハグリッドは例年同様、12本のクリスマスツリーを一人で大広間に運び終えていました。学校中がクリスマス仕様に飾り付けられ、廊下にはヤドリギが並び掛けられています。
 ハリーの人気も過熱しているようで、彼がヤドリギの下を通ると女の子が寄ってきて廊下は大渋滞に。ハリーは授業の間の教室移動の際は、この女の子達を避けて秘密の通路を通って遠回りしなくてはいけないようです。
 ロンとハーマイオニーの仲はますます悪化します。ロンは何時でも何処でもラベンダーと寄り添いいちゃいちゃしまくってます。ハーマイオニーはロンのいる間は談話室に来ることさえ拒んでいました。
 何とか2人の中を元通りにしたいハリーは2人の言い分をそれぞれ黙って聞いて、自分はそれに対して何も言わないで口を堅く閉ざすことにします。
ある夜、ハリーは図書室でハーマイオニーと話をします。ロンの話になると「彼が誰とキスをしようと彼の自由よ」と言いながら‘i’の文字を強く書きすぎて羊皮紙に穴を開けてしまう彼女でした。
 そしてハーマイオニーはハリーにある忠告をします。女の子達がみんなハリーにスラグホーンのパーティーに誘って欲しくて、何人かが惚れ薬を飲ませる計画を立てていると言うのです。とにかくちゃんと誰かを誘うまでは飲み物には気を付けろて、と彼女は言います。みんなフレッドとジョージの店で強力な惚れ薬を買い、それを香水や薬と偽って学校に持ち込んでいるらしいのです。
 フィルチがもっとちゃんとチェックしていれば持ち込めなかったのに、と2人が話していると、司書のマダム・ピンスガ現れ図書室を閉めるから早く出て行けと、すごい剣幕で叱られます。どうやらフィルチの悪口を言ってるのを聞かれ、彼女を怒らせてしまったようです。
 フィルチとマダム・ピンスが秘密の恋に落ちているのかどうかを話しながら2人はグリフィンドール寮へと戻ります。すると談話室の入り口でロミルダ・ヴェインがハリーに飲み物を勧めてきました。ハーマイオニーの忠告を聞いていたハリーはその勧めを断りますが、彼女は諦めずに今度はチョコレートの大鍋ケーキをハリーの手に押し付け「よかったら食べて」と言って去っていきました。
談話室に入ると、相変わらずロンとラベンダーが一つの椅子に寄り添って座っています。ハーマイオニーはまだ7時なのに「おやすみなさい」と言って女子寮へと上っていってしまいました。
 次の日ハリー、ロン、ハーマイオニーは一緒に変身術の授業を受けます。この日の課題は、自分の眉毛の色を変える呪文でした。ロンは失敗して色ではなく形を変えてしまい、自転車のハンドルのような眉毛になってしまいます。それを見て笑ったハーマイオニーに怒ったロンは、マクゴナル先生が何か
質問する度にハーマイオニーの真似をして椅子の上で飛び上がったり跳ね上がったりしてみんなを笑わせます。
 ハーマイオニーはそれに傷付き、終業の鐘が鳴ると持ち物を半分残したまま泣きそうになって教室から飛び出していきました。
 ハリーはハーマイオニーの荷物を持って彼女を追いかけます。ハーマイオニーは1階の女子トイレからルーナに背中をとんとんされながら出てきました。彼女はハリーから荷物を受け取ると急いで立ち去ってしまいます。
 残されたハリーはルーナをスラグホーンのパーティーに誘います。 前々から決めていたわけではないのですが、普通に話をしていて少し彼女がジニーのことを話題に出したので、ハリーは思わずルーナを誘ってしまったのです。誘ってから言わなきゃよかったと後悔したハリーは、彼女が断ってくれること
を祈りますが彼女は大喜びで誘いに応じます。彼女は今まで誰にもパーティーに誘ってもらったことが無かったそうで、‘友達として’喜んで一緒に行くと言います。
8時にエントランスホールで会う約束をすると、どこからともなくピーブスが・・・「ポッターはルーニーが好きなんだーーーー!」って叫びながら飛んでいきました。彼のお陰でハリーがルーナをパーティーに誘ったという話はすぐに学校中に広まりました。