【第十七章】
スラグ的記憶
A Sluggish Memory
その一
翌朝、談話室には大きなポスターが張り出されます。それは姿現しの授業についてで、17歳もしくは8月31日までに17歳になる者は魔法省のインストラクターによる姿現しの授業を受けられる、というお知らせでした。参加希望者は12ガリオン用意して下に署名を、と書いてありました。ハリーとロンはすぐに署名します。
その日は1日中みんな姿現しの話題で持ち切りに。ダンブルドアに掴まって姿現しを経験したことのあるハリーは、8時10分前までその感想を聞かれみんなに囲まれます。ハリーは、図書室に本を返しに行かなくては、とみんなに嘘をつきダンブルドアとの個人授業に向かいます。
ダンブルドアの部屋には再びペンシーヴが用意され、それに添えられたダンブルドアの右手は全く治る気配が無く、未だに黒く焼け爛れていました。ハリーは今回もまた違う話に変えられてしまうと思い、あえて手のことについては触れませんでした。
ハリーはスネイプとマルフォイの話をダンブルドアに話したかったのですがハリーが口を開く前にダンブルドアが話し始めます。「君はクリスマスに魔法省大臣に会ったそうだね」。ハリーがスクリムジャーは自分に魔法省への協力を頼みに来たと話すとダンブルドアは、もともとその考えはファッジのもので、彼は何とかハリーに協力してもらって魔法省大臣の地位を守ろうとした。しかし実現されず、その考えだけがスクリムジャーに引き継がれスクリムジャーは何度もハリーに会わせてくれと自分に頼みに来た、と言います。
「君は完全にダンブルドアの味方なんだな?」と聞かれ「はい、そうです」と答えた、とハリーが話すと、驚いたことにダンブルドアは青い瞳に涙を浮かべとても喜びます。
授業を始めようとしたダンブルドアに、ハリーはスネイプとマルフォイの話を伝えます。ところがダンブルドアは表情一つ変えずに、それはそんなに重要なことではない、と言います。ハリーは自分の耳を疑って、もう一度聞き返しますがダンブルドアはハリーの聞いたことはそんなに重要なことではないと繰り返します。ダンブルドアは今も気持ちは変わらず、スネイプを完全に信用していると言います。