【第十七章】
スラグ的記憶
A Sluggish Memory
その三

そして授業が始まりました。ダンブルドアの話によると、トム・リドルはホグワーツに入学し、組み分け式では帽子が彼の頭に触れるか触れないかですぐに、スリザリン!と宣言されました。そして学校が始まると、彼は人に全く傲慢さや攻撃的な面を見せずまれに見る才能とハンサムな孤児として、みんなの注目と同情を集めました。彼は礼儀正しく物静かで、貪欲に知識を吸収し、教師も生徒もほぼ全員彼に好印象を持っていたそうです。
 ダンブルドアは孤児院での彼の様子や過去の出来事は誰にも話さず、彼を信じてチャンスを与えた、と言います。しかしリドルは孤児院でダンブルドアに会った時に本当の自分の姿を見せてしまったため、他の先生に気に入られたのと同じように、ダンブルドアにも気に入られようとはせず、もう二度と本当の自分は表に出さないようにしていたそうです。
 学校に慣れてくると彼は、自分に献身的な友人を集めてグループを作りました。そのグループの何人かはホグワーツを卒業後、死喰人になったそうですが、リドルはやはりこのグループの誰にも親愛の情を感じることはありませんでした。
 リドルに完全にコントロールされていた彼らは、在学中の7年間でいくつもの嫌な事件を起こしたそうですが、誰にも彼らの仕業だとばれなかったそうです。中でも最も大きかった事件は秘密の部屋を開けたことで、この事件の時も彼らではなく間違ってハグリッドが捕まってしまったのです。
 リドルは、自分がどうやって生まれ孤児院で育つことになったのか興味を持ち始め、自分の過去について調べ始めます。父親のトム・リドルについてトロフィー展示室や古い学校の記録、魔法史の資料までも調べ、父親はホグワーツの生徒ではなかったと気付きます。ダンブルドアはおそらくこの時彼はトム・リドルの名前を捨て、ヴォルテモートと改めたようだと言います。
 そしてヴォルテモートは、‘マールボロ’という名をスリザリンの血筋だと発見します。彼は16歳の夏に、毎年嫌々ながら帰っていた孤児院を去り、ガウント家の生き残りを探し始めます。
 ダンブルドアはそこまで話すと、ペンシーヴに記憶を注ぎます。ハリーとダンブルドアは記憶の渦の中へと入っていきます・・・