【第18章】
思いがけない誕生日
Birthday Surpris
その二

 ハリーはロンとハーマイオニーに、記憶を聞き出すことに失敗したと伝えますが、2人ともベゾアールの件で怒っていて同情してくれませんでした。
 ロンは自分にもベゾアールを渡してくれなかったことを怒っていて、ハーマイオニーは何の努力もしないでスラグホーンに誉められたハリーを怒っているようです。
 ハリーはスラグホーンに嫌われてしまっては困るので、しばらくはこれ以上彼にホークルクスについて言及せず、彼の機嫌が直るのを待つことにします。
 一方ハーマイオニーは、図書室でホークルクスについて調べまくりますが何一つ情報を得ることが出来なかったようです。初めて本に裏切られた彼女はベゾアールのことでハリーを怒っていたことなどすっかり忘れてしまいました。
 そんなこんなしているうちに、第1回目の姿現しの授業が近付きます。授業は土曜の午前中に大広間で行われることになりました。
 授業の日、ハリーとハーマイオニーが大広間に着くと(ロンはラベンダーと来ていました)テーブルは取り払われ、正面には各寮の寮監と小さな魔法使いが並んで立っていました。その小さな魔法使いが、魔法省から来たインストラクターのウィルキー・トゥイクロスでした。
 トゥイクロスは髪もまつ毛も奇妙に薄く、少しの風でも飛ばされてしまいそうな存在の薄い魔法使いでした。ハリーは何度も姿現しや姿くらましを繰り返すと
存在自体も薄くなってくるのかと考えていました。
 トゥイクロスが挨拶をしていると、マクゴナル先生が突然「マルフォイ、静かにして話を聴きなさい!」と叫びます。マルフォイはクラッブと何か口論しているようでした。
 挨拶が終わりみんな練習の為に広がるように指示されるとハリーは、マルフォイの後ろのスペースを確保します。マルフォイはまだクラッブと何か言い争っていて「思ったより遅れていて、後どれくらいで出来るか分からない。俺が何をしているかはお前には関係ないんだ。お前は黙って見張りを続けろ!」とクラッブに怒鳴りつけていました。
 大広間では姿現しの授業が始まります。姿現しには大事な3つの‘D’があり、‘Destination’(目的地)‘Determination’(決断力)‘Deliberarion’(落ち着き)で、それらを忘れずに!とトゥイクロスは説明します。
 生徒達の足元にはフラフープが置かれ、その外側から内側へと姿現しをする様に練習を始めます。いち、にの、さん!の合図でみんな挑戦しますが成功する者はおらず、ハリーはマルフォイを気にしながらやっていたので、3つの‘D’が何だったのかさえ忘れてしまい上手くいきません。
 何度も練習し、4回目の挑戦でものすごい悲鳴が大広間に響き渡ります。振り返ると、スーザン・ボーンズがフラフープの中によろめきながら立っていて彼女の左足は彼女の立っている位置から5フィート離れた場所に置き去りになっていました。4人の寮監が彼女の周りに集まり、置き去りになった足はすぐに戻してもらえました。
 それから1時間練習しますが、成功する者はもちろん無く、体の一部置き去り事件もあれ以上は起こらずに、第1回目の授業は終了しました。
 トゥイクロスは「3つの‘D’を忘れずに!」と言って大広間の一番前から一番後ろに姿現しをして出て行きました。