【第18章】
思いがけない誕生日
Birthday Surpris
その三

 2月から3月へと月が移り、湿った風が吹くようになります。しかしそれ以外ハリーの周りの状況は殆ど変わらず、マルフォイの怪しい行動を見つけることも出来ませんでした。そして残念なことに、次のホグズミードへの旅は中止になったというお知らせが張り出されます。
 ロンは「僕の誕生日だったのに!」と残念がります。しかしケイティの事件の後だし仕方がないよ、とハリーは言います。ケイティはまだ聖マンゴ病院から戻らず、日刊預言者新聞にはまたいくつかの失踪事件が載っていました。
中にはホグワーツの生徒の関係者も含まれていたようです。
 姿現しの授業も3回行われますが、生徒の中に成功する者は出ず、さらに何人かの生徒が体の一部を置き去りにする事件がありました。

 ロンの誕生日の朝、いくつかのプレゼントの包みが部屋に届けられていました。ロンはプレゼントを開け始めます。ハリーからは新しいキーパー用のグローブでした。
 ハリーはベッドから出て自分のトランクの中身をひっくり返し、使うたびに底の方に隠していた忍びの地図を出し、マルフォイの行動をチェックします。やはりまた彼が見つかりません。
 ロンはプレゼントを開けるのに夢中です。チョコレートの大鍋ケーキを1個・・2個・・3個・・と食べながらプレゼントをチェックしています。
 すると・・・突然ロンの様子がおかしくなります。ロンはロミルダ・ヴェインを愛してると言い出したのです。ハリーはロンが食べていたチョコレート大鍋ケーキの空箱を見つけます。それはクリスマス前にロミルダが惚れ薬を入れてハリーに渡したものだったのです。忍びの地図を探す時にハリーがトランクから出した箱を、ロンは自分への誕生日プレゼントだと間違えて食べてしまったのです。
 ハリーはロミルダに会いたがるロンに、彼女はスラグホーンの部屋で補修を受けている、と嘘をついて彼をスラグホーンの部屋に連れて行きます。
 ハリーはスラグホーンに出来るだけ礼儀正しく事情を説明し、惚れ薬の解毒剤を調合してもらえるように頼みます。スラグホーンは何とか薬を作ってくれることを承諾してくれて、出来上がった薬をロンに飲ませます。
 薬を飲んだロンは呆然として近くの肘掛け椅子に座り込みました。スラグホーンはこれで大丈夫、僕達も1杯飲もう、と言ってクリスマスにダンブルドアに渡しそびれたと言う成熟オークの蜂蜜酒のボトルを持ってきて3人分注ぎ、ハリーとロンに渡します。
 グラスを受け取ったロンは蜂蜜酒を一気に飲み干します。すると突然グラスを落として床に倒れてしまいました。ロンの両手両足は手に負えないほど痙攣し、口からは泡を吐き目玉は飛び出しています。スラグホーンはショックで唖然としロンは窒息しかけて肌が青白くなってきました。ハリーは急いでスラグホーンのかばんからベゾアールを探し出し、ロンの口に押し込みます。
 ロンの体の痙攣は次第に弱くなり、そして動かなくなってしまいました。