【第十九章】
屋敷しもべの尾行
Elf Tails
その一
病院棟に運ばれたロンの周りにハリー、ハーマイオニー、ジニー、フレッド、ジョージが集まっています。
ロンはあの後すぐに駆けつけたマクゴナルとマダム・ポンフリーによってここに運ばれたのです。ハリーが口に突っ込んだベゾアールのお陰でロンは命拾いをし、1週間ほど治療すれば良くなるそうです。ロンの命に別状が無いと分かったみんなの話題は、毒はどこに入れられていて誰が狙われたのかと言うことになります。
毒は間違いなくロンが飲んだ蜂蜜酒の中に入っていました。でも毒はグラスに入っていたのか、蜂蜜酒の瓶に入っていたのか分かりません。グラスに入っていたのならロンが狙われた、あるいはハリーを狙っていて間違えてロンに渡したということも考えられます。ハリーは‘選ばれし者’と呼ばれ命を狙っている者も多い、とフレッド&ジョージは言います。しかしジニーはその蜂蜜酒はスラグホーンがもともとダンブルドアにクリスマスに贈るつもりだったのだから狙われたのはダンブルドアかもしれない、と話します。
そこにハグリッドがやって来ます。彼は1日中森の中でアラコグの看病をしていて
たった今ロンのことを聞き、駆けつけてきたのです。
ハグリッドはケイティに続きロンが傷付けられたので、誰かグリフィンドールのクィディッチチームに恨みを持つ者の仕業じゃないかと言います。いくらなんでもクィディッチの為に人殺しまでしようとする者はいないだろう、ということになりますが、ハーマイオニーはケイティの事件と今回の件は似ているところがあるから同じ犯人だろう、と言います。2つの事件は両方とも、命を落とす程の攻撃だったにも拘わらず全くの偶然が重なって被害者は死なずに済んだという点、そして毒もネックレスも犯人が本当に殺したかった人の所にはたどり着かなかったという点、が共通していると話します。またこのことはある意味とても恐ろしく、犯人は本当に殺したい人を殺すまで何人巻き添えになろうとも気にしていないということだ、とも話します。
そこにウィーズリーおじさんとおばさんが入ってきます。2人はもっと前に学校に到着して、ダンブルドアの部屋で事件の詳しい話を聞いていたそうです。おばさんはハリーをきつく抱き締め、ベゾアールでロンの命を救ってくれたことに感謝します。ジニーもおじさんもハリーのお陰で今こうして生きている、とおばさんは泣きながら話し、おじさんもウィーズリー家にとってロンが6年前にホグワーツ特急のコンパートメントでハリーの隣に座ってくれたことが一番の幸運だったと話します。ハリーはどう答えていいのか分からずに困惑していると、マダム・ポンフリーが面会は一度に6人までで、と言いに来ます。ハリー、ハーマイオニー、ハグリッドの3人は退室し、病室にはウィーズリー一家だけを残すことにします。
ハグリッドはケイティ、ロンと生徒が次々に傷付いていることに不安を抱いています。秘密の部屋が開けられた時と同じ様に、ホグワーツが閉鎖されてしまわないかと懸念を抱いているのです。
ダンブルドアに何か考えはあるの?と訊ねる2人にハグリッドは、ダンブルドア程の人だから何百もの考えがあるだろうが、まだネックレスと毒の犯人は分かっていないようだ、と話します。そしていつものようにうっかり口を滑らせて、ダンブルドアがスネイプと森で口論していたと話してしまいます。
ハリーはハグリッドを問い詰め、ハグリッドは「俺は何も聞いてない!おっと、もうこんな時間だ・・」と話をはぐらかしますがハリーはそれでもしつこく詰め寄って、ダンブルドアは何かの仕事をスネイプに頼んでいたがスネイプは自分には荷が重過ぎるからと言って断り、全力を尽くしてくれと主張するダンブルドアと口論になっていたことを聞き出します。
そこにフィルチが現れたためハリーとハーマイオニーは急いでグリフィンドール寮に戻ります。