【第十九章】
屋敷しもべの尾行
Elf Tails
その二
談話室に入るともう真夜中で静まり返っていました。ハーマイオニーはすぐに女子寮へと帰って行きましたが、ハリーは暖炉の近くの椅子に座りダンブルドアとスネイプの口論について一人で考えました。
ハリーには、自分は完全にスネイプを信用している、と言ったのにダンブルドアはスネイプを怒っていた。ダンブルドアはハリーに、授業とスラグホーンの記憶を手に入れることだけに集中させるためにそう言ったのだろうか?
一人で考えをめぐらせていると、突然奥の方の椅子から人影が現れます。
ハリーは驚いて立ち上がり杖を構えますが、それはマックラガンでした。
彼はロンが病院棟に運ばれたのを偶然目撃し、次の試合のキーパーを自分にさせてくれとハリーに言うために、ずっと談話室でハリーの帰りを待っていたそうです。マックラガンの選考会での成績はロンに続いて2番目に良かったし、もう一度選考会をする気力はなかったので、ハリーは仕方なく彼を次の試合でキーパーとして使うことにします。
次の日、ロンが毒を飲まされたという話はすぐに学校中に広まりました。
でも、薬草学の先生の部屋で起こった事だし、すぐに解毒剤を飲んで大きな損傷は無かったのでみんな事件ではなく、事故だと思っているようで、大きな騒ぎにはなりませんでした。
クィディッチの試合も近付きますが、ハリーは今までには考えられない程クィディッチに関心が湧かず、未だにチャンスがあると忍びの地図でマルフォイの行動をチェックすることに没頭していました。やはりマルフォイは時折地図から消えてしまうことがあり、その理由は謎のままでした。
しかしハリーは、クィディッチの練習、宿題、そしてしつこく付きまとってくるマックラガンとラベンダーのお陰で、そのことについてゆっくり考える時間はありません。
マックラガンは選手としてはロンより上手いかも・・と思うことがあるほど良かったのですが、他のメンバーの動き方までいろいろ口出ししてきてハリーは誰がキャプテンなのか忘れてしまうことがあるくらいでした。
そしてラベンダーは、ロンが自分のことをどう思っているのかをしつこくハリーに聞いてきます。あまりにしつこく聞いてくるので、「そんなことロンに直接聞けばいいだろう」と言いますが彼女は、「ロンは自分が会いに行くといつも眠ってしまう」と言います。彼女は頻繁にお見舞いに行っているハーマイオニーのことも気にしているようです。
ハッフルパフとのクィディッチの試合の朝、ハリーはピッチに降りる前にロンに会いに行きます。ロンは興奮しすぎるからと、マダムポンフリーに試合を見ることを禁じられていたのです。
2人は少し話をしてハリーは試合に向かいます。すると廊下で2人の女の子と歩いているマルフォイに出くわします。マルフォイは試合を見に行く様子ではなく、誰もいなくなった校内をうろついていたのです。ハリーは後をつけたい衝動に駆られますが、試合に行かなくてはなりません。もどかしい気持ちで仕方なくピッチへと向かいました。