【第十九章】
屋敷しもべの尾行
Elf Tails
その三
更衣室に入ると、他のメンバーは着替えを終えハリーを待っていました。
今までどこにいたのかと訊ねるジニーに、マルフォイを見たことを話しますがそんなことより今は試合が大事と言われ、それ以上は何も話さず、ハリーも着替えてピッチに出ます。
試合直前、またマックラガンがチームメイトにあれこれと指示を出していました。
ハリーは他の人のことには口出しせず、ただゴールを守れ!と彼に怒って言います。
そして試合開始!ハリーは誰よりも早く上空に舞い上がり、スニッチを探します。
早くスニッチを取って試合を終わらせればマルフォイの後を追えるかも・・ハリーはそんなことを考えていました。
グランドからは解説の声が聞こえてきました。今回はハッフルパフでプレイしているザカリアス・スミスに代わり、ルーナが解説をしていました。
試合はハッフルパフのリードで進みます。他の選手に指示を出すのに夢中のマックラガンが次々にゴールを決められていたのです。ジニーとデメルザも得点しますが、マックラガンがゴールを守れず70対40でハッフルパフがリードしています。
すると、何を思ったのかマックラガンがピークスのバットを奪い、どうやってブルッジャーを打つのか指導しようとしだしたのです。ハリーは「バッドをピークスに返してお前はゴールを守れ!」と叫びながらマックラガンに近付きます。ところがマックラガンはハリーの声を無視して思い切りバッドを振ってブルッジャーを打ったのです。
ハリーは突然目の眩むような激痛に襲われ、目がチカチカして遠くでは悲鳴が響き、そして長く暗いトンネルを落ちていく感覚に・・・・
次に気付くとハリーは病院棟のベットの上でした。頭にはきつく包帯が巻かれています。
マックラガンの打ったブルッジャーがハリーの頭に直撃し、頭蓋骨が
砕けてしまったのです。もちろん、マダムポンフリーによってすぐに治療され、今夜一晩おとなしく寝ていれば治るそうですが・・・
試合には320対60で負けたとロンから聞かされます。しかしハリーは試合に負けたことより、怪我をしたせいでマルフォイが誰もいない校舎で何をしていたか探ることが出来なかったことを悔やみます。(もちろん後でマックラガンを捕まえたら殺してやる、とは言ってましたが)
夜、ロンもマダムポンフリーも眠り、静まり返った病室でハリーはクィディッチの試合でここに運ばれるのはこれで3回目だ、と考えます。
1度目は馬鹿なロックハートのせいで腕の骨がなくなってしまった時、2度目はディメンターがピッチに入って来て箒から落下した時。腕の骨がなくなった時が一番辛かった。夜中にドビーはやって来るし・・・
ハリーは突然ある考えが頭に浮かび体を起こします。マルフォイを尾行するいい方法を思いついたのです。ハリーは恐る恐る小さな声で「クリーチャー?」と暗闇の中で囁きました。すると!静かだった部屋に突然2人の屋敷しもべ、ドビーとクリーチャーが現れ、大声でキーキー叫びながら取っ組み合いの喧嘩を始めたのです。そしてどういう訳かピーブスまで付いて来て2人を駆り立てます。
ハリーは急いでマダムポンフリーの部屋のドアに杖を向け「マフィリエート!」と唱えます。
屋敷しもべとピーブスの登場で飛び起きたロンとハリーは、とりあえずドビーとクリーチャーをそれぞれ羽交い絞めにして、2人を引き離します。
何とか落ち着いたところでハリーは、クリーチャーにドラコ・マルフォイを四六時中監視するように命じます。ドビーもハリー・ポッター様のためなら何でもします!と言いドビーとクリーチャーの2人でマルフォイを監視することになります。クリーチャーは嫌々でしたが、自分のご主人様の命令には絶対に従わなくてはならないようで、渋々引き受けます。
マルフォイには決して尾行していることを言ったり、手紙で知らせたりしないこと、どんな手段であってもマルフォイと連絡を取らないこと、誰にも自分達がしていることを知られないこと、そしてロンとハーマイオニー以外の誰にも知られないように定期的に状況を報告に来ること、とハリーは2人の屋敷しもべに命じました。