【第二十章】
ヴォルテモート卿の望み
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その1

 ハリーとロンは月曜の朝にそろって病院棟から退院します。頭蓋骨を砕かれたことと、毒を飲まされたことで思わぬ副産物が生じ、ハリーは喜びます。
ロンとハーマイオニーの仲が元どおりに戻ったのです。そしてハーマイオニーは、ハリーの頭にブレッジャーが当たった時にディーンがそれを見て笑ったので、ジニーが怒って2人は喧嘩をした、というニュースまで運んできてくれました。
ハリーは出来るだけ平常を装って2人の喧嘩について詳しく聞き出そうとしますが、どうしてあの2人にそんなに関心があるの?とハーマイオニーに疑われてしまいます。
どう答えよう・・と困惑するハリーのところに、ルーナがダンブルドアからの手紙を託りやって来ます。
 手紙の内容はもちろん個人授業についてで、そしてそれは今夜と書かれていました。
 そこにラベンダーがやって来ます。ハリーとハーマイオニーはロンと彼女をそこに残して朝食を取りに行きます。
 30分後大広間にラベンダーと一緒にやってきたロンはかなり不機嫌で彼女と一緒に座ったもののなーんか嫌そうな雰囲気。その様子を見ていたハーマイオニーはその日1日中上機嫌で、ロンと喧嘩していた間はハリーにも宿題を写させてくれなかったのに、その日は薬草学の論文を手伝ってくれました。
(っていうかやってくれたようです)
 夜、ハリーはダンブルドアの部屋へ。ドアが開くとそこにはトレローニー先生が立っていました。彼女はハリーが来たのを見て「だから私を追い返そうとしたのね」と言って悲しそうに出て行きました。
 彼女は、フィレンツェが授業の半分をいまだに受け持っていることに対して不満を抱いているようです。フィレンツェは仲間から追放されているから森に帰れとは言えない、トレローニーは予言のことで城を出ると危険な立場なので出て行けとは言えない。板ばさみ状態のダンブルドアは疲れたようにため息をつきます。
 ハリーが部屋に入ってドアを閉めると、ダンブルドアは前回の授業で出した課題はどうなったのかと訊ねてきます。ハリーは、姿現しの授業、クイディッチ、ロンの服毒事件、頭蓋骨粉砕事件にマルフォイの監視・・・もろもろに追われ課題のことはすっかり忘れてしまっていたのです。
 魔法薬学の授業の後に一度だけ聞き出そうとしたことは伝えますが、ハリーは自分のやったことがなんてばかばかしいものだったのか、と話しながらとても恥ずかしい気持ちになってきます。
 ダンブルドアはそんなハリーを怒っている表情ではなく、失望したような表情で見つめます。ハリーは怒られるより、失望されるほうが辛く、「その記憶の重要さにもっと早く気付くべきでした」とダンブルドアに謝ります。そして必ず記憶を手に入れると約束すると、ダンブルドアの声はいつもの優しい声に戻りました。