【第二十章】
ヴォルテモート卿の望み
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その2
そして前回の授業の続きのお話から、今回の授業が始まります。
ダンブルドアの話によると、ヴォルテモートは全てのテストでトップレベルの成績を修め7年生になりました。スラグホーンをはじめ、先生方もみんな彼は卒業後魔法省に入省するものだと思い、面接の手配も整っていました。しかし彼は、全ての推薦を断り、ボーギンアンドバークスで働き始めたのです。
しかしその職場はヴォルテモートの第一希望ではなかったそうで、彼の希望は教師としてホグワーツに留まることでした。なぜホグワーツに残りたかったのかと訊ねるハリーにダンブルドアは、ヴォルテモートにとってホグワーツは最も幸せな場所で、自分が帰る場所だと始めて感じることが出来た場所だったからだと話します。ハリーはそれを聞いて不快を感じます。なぜならその気持ちはハリーがホグワーツに対して抱いている気持ちと全く同じだったからです。
またダンブルドアは、ヴォルテモートはホグワーツに隠されている様々な魔法に興味を持っていたこと、ホグワーツを自分の軍隊を育成するのに相応しい場所と考え、若い魔法使いを新兵として集めるのに都合がいいと考えていたのだろうと、理由を挙げます。
結局ヴォルテモートは18歳では若すぎると言われて教師にはなれませんでした。
ダンブルドアは年齢の問題ではなく、自分は彼に力のある地位を与えたくなかったと言います。
ヴォルテモートはホグワーツに残ることを諦め、ボーギンアンドバークスで働き始めてすぐに、特別な仕事を任されるようになります。強力な魔力を持った商品を扱う仕事で、客の元へ行って彼らのお宝を売ってもらうように説得する仕事をしていたそうです。
ここまで話すとダンブルドアは立ち上がります。今日用意されていた記憶は2つ。まず一つ目はホーキーという名の年老いた屋敷しもべの記憶で、ヘフジバ・スミスというとても金持ちの老婦人に仕えていました。
ハリーとダンブルドアは記憶の中へ・・・
着地するとそこはどこかの屋敷の居間で、派手なピンクのローブを着た太った老婦人が座っていました。今から誰かが尋ねて来る予定のようで彼女は屋敷しもべに手伝ってもらいながら化粧をしたりして、慌しく身なりを整えていました。
そして玄関のチャイムが鳴ります。ホーキーが出迎えに行き、ヴォルテモートを連れて部屋に戻ってきます。ヴォルテモートはシンプルな黒のスーツを着て髪が少し伸び、ハリーは今まで以上にハンサムになったと感じます。
ヴォルテモートはゴブリン製の鎧を売ってもらうためにここに来たようです。
ヘフジバはヴォルテモートが大のお気に入りのようで、今日は誰にも見せたことの無い宝を特別に見せてあげると言い、ホーキーに2つの箱を運んで来させます。
まず一つ目の箱に入っていたのは、ヘルガ・ハッフルパフのカップでした。
ヘフジバはハッフルパフの遠い親戚で、このカップには強い魔力が秘められていると話します。しかし彼女はこのカップは使わずに大切に保管していたそうです。
ヴォルテモートがそのカップを手に取り見ていると、ヘフジバは取り上げて元の箱に戻します。彼女は気付いていませんでしたが、この時ハリーはヴォルテモートの顔に黒い影が陰ったのに気付きます。
もう一つの箱にはスリザリンのロケットが入っていました。ロケットを熱心に見ているヴォルテモートに彼女は、そのロケットはボーギンから買った物で、ボーギンはボロボロの身なりの女からほんのわずかな値で買い取ったらしいと話します。ヴォルテモートの目は、その話を聞いて赤く光ります。
「もう帰る時間だ」と言うダンブルドアの声がして、2人は今の校長室に戻ってきます。
この記憶の2日後、ヘフジバ婦人は毒入りココアを飲んで死に、屋敷しもべのホーキーが逮捕されたそうです。ホーキーは自分が毒を入れたと自白したそうですが、ハリーはかつてモルフィンにもそうしたように、ヴォルテモートが彼女を殺し、ホーキーの記憶を修正したのだろう、と話すとダンブルドアも同意します。
ヘフジバの死後、やはり屋敷からハッフルパフのカップとスリザリンのロケットが無くなっていたそうです。そしてヴォルテモートもボーギンアンドバークスから忽然と消え、その後誰も彼の姿を見ていない、とダンブルドアは話します。
しかしハリーはなぜヴォルテモートが殺人を犯してまで、2つの宝を欲しがったのか分かりません。ダンブルドアは、それは彼がホグワーツに対して大きな関心を持っていたこと、又その2つがホグワーツの創立者の物で、ホグワーツの歴史に大きく関る物であったからだと話します。しかしそれだけではないようで、別の理由については、いずれ時が来れば話そう、と言います。