【第二十章】
ヴォルテモート卿の望み
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その3
そしてダンブルドアは2つ目の記憶の小瓶を取り出します。それは、ハリーがスラグホーンの記憶を手に入れる前に手元に残っている最後の記憶だと言います。
記憶の持ち主はダンブルドア自身です。ハリーとダンブルドアは記憶の渦の中へ・・・
着地するとそこは、さっきまでいた校長室でした。机の後ろにはハリーの横にいるダンブルドアと殆ど同じ格好のダンブルドアが立っていて、今より少ししわが少ないようです。
ドアをノックする音がして、ヴォルテモートが入ってきます。彼の顔はまだ蛇のようではなく、目も深紅色ではなかったが、もうハンサムなトム・リドルではありませんでした。顔のパーツはまるで焼かれたかのように崩れ、蝋で作ったものであるかのように奇妙に歪んで見えます。彼は黒い旅行用のマントを着て、肩に雪が積もり、彼の顔もその雪のように青白でした。
机の後ろのダンブルドアに驚いた様子は無かったので、どうやらここで今夜会う約束をしていたようです。
ヴォルテモートがホグワーツに戻ってきた目的は、18歳の頃に若すぎるからと断られた教師の職を再び手に入れるためでした。
自分はホグワーツを卒業後、様々な経験を重ね、誰も超えたことの無い魔法の世界を押し広げてきた、と話すヴォルテモートにダンブルドアは、君の魔法は魔法の類のもので、君の残してきた物は哀しいほど無意味な物だと話します。
もしあなたが私に教師の職を与えたくないのなら・・と言うヴォルテモートにダンブルドアが、何度頼みに来ても決して与えない、と言い切ると、それならもう何も話すことはありません、と言ってヴォルテモートは立ち上がります。
ダンブルドアの顔には悲しみが浮かびます。「私が君の洋服ダンスを燃やして君を脅し、今までの罪の償いをするように君に命じてから、随分長い月日が流れてしまった。もし出来ることなら・・戻れるものならあの頃に・・」と言うダンブルドアは、ヴォルテモートがこんな形に成長してしまったことをとても悲しんでいる様子です。
そしてヴォルテモートはそのままドアから出て行ってしまいました。
ハリーはダンブルドアに腕を?まれるのを感じ、一瞬の後現在の校長室に戻ってきます。
ハリーはすぐになぜヴォルテモートがホグワーツに戻ってきたのか訊ねます。ダンブルドアは、いくつか考えはあるが君がスラグホーンの記憶を手に入れてきたら話そう、と言います。
ダンブルドアがヴォルテモートの望む闇の魔術の防衛術の教師の職を与えなかったこの時以来、闇の魔術の防衛術の教師は皆、1年以上続けることが出来なくなってしまったそうです。そしてその話で今回の個人授業が終わりました。