【第21章】
知られざる部屋
The Unknowable Room
その1

 ハリーは次の週、どうやってスラグホーンの記憶を手に入れようかと考え続けますが、何も思いつかず途方に暮れます。
 日曜の夜遅く、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は、人もまばらになった談話室に座っています。ハリーは今まで何度もそうしてきたように、何かいい考えはないかとプリンスの本を熟読します。その時‘敵に対して’と注意書きされた‘セクトゥムセンプラ(Sectumsempra)’と言う呪文を見つけます。試してみたくなりますが、目の前にハーマイオニーがいるので、その書かれているページの角を折り曲げておき、試すのはまたの機会にします。
 談話室には姿現しの試験の日程が張り出されていました。最初のテストのある4月21日までに17歳になる者は、ホグズミードで行われる補修に参加しないといけないようです。ハリーは誕生日が間に合わず、今回の試験は受けられません。
 ハーマイオニーはこれまでに2度姿現しに成功し、ハリーも1度だけ成功したそうですが、まだ1度も成功したことの無いロンは、このお知らせを見て少しパニクっていました。
 散々姿現しの話をした後、ロンはやっと、ハリーもハーマイオニーも既に終えた、闇の魔術の防衛術の宿題に取り掛かります。
 しばらくすると、ハーマイオニーはロンの宿題の論文がスペル間違いだらけなのに気付きます。ロンの使っているスペルチェック羽ペンが壊れていたようで自分の名前さえ間違って書いています。
 最初からやり直しだ・・と言って落ち込むロンに、ハーマイオニーは直してあげるわ、と言って自分の杖でロンの論文を訂正してくれます。そんなハーマイオニーにロンは思わず「愛してるよ、ハーマイオニー」と言い「そんなこと言ってるのラベンダーに聞かれないでよ」と言いながらハーマイオニーは赤くなっていました。
 ハリーがふと周りを見ると、いつの間にか談話室にいるのは自分達3人だけになっていました。ハリーがプリンスの本を閉じ、あくびをしたその時・・
 バンっっ!!と2回音がしてクリーチャーとドビーが現れました。マルフォイの行動の報告にやって来たのです。
 ドビーの報告によると、マルフォイは頻繁に7階の廊下に行き、部屋に入って様々な生徒に見張りをさせて中で一人何かをしている、と言います。
 マルフォイにそんなにたくさんの味方がいるわけがない・・・それに7階の部屋って・・そしてハリーは真実に気付きます。マルフォイは‘必要の部屋’に行っていたのです。必要の部屋は忍びの地図には載らない。だからマルフォイはしょっちゅう地図から姿を消していたのです。
 マルフォイが中で何をしていたのかドビーに訊ねますが、マルフォイ以外は誰も中に入れない、と言います。マルフォイは去年DAの本部として必要の部屋を使っていた時中に入ってきたのだから、自分達も入れるはずだ、とハリーが言うと、去年マルフォイはマリエッタから聞いて、ハリー達が何の目的でその部屋を使っていたかを正確に知っていたから中に入れた。でもハリーはマルフォイが何の目的でその部屋を使っているか知らないから入ることはできない、とハーマイオニーは言います。
 とにかく、マルフォイが必要の部屋を使っていると分かっただけでも大収穫です。ハリーがお礼を言うと、ドビーとクリーチャーは消えて帰っていきました。(クリーチャーは現れてからずっとマルフォイのことを誉めて、ハーマイオニーのことを穢れた血だと悪態を吐いているだけでした)