【第21章】
知られざる部屋
The Unknowable Room
その2

 再び3人だけになった談話室で、マルフォイが見張りに使っていた様々な生徒の話になります。マルフォイはクラッブにも自分が何をしているかを教えていなかった。そんなにたくさんの味方がいるわけがないのに・・と考えハリーは勘付きます。きっとマルフォイは始めての魔法薬学の授業の時に、ポリジュースを盗み出し、それをクラッブとゴイルに飲ませていたのです。ハリー達が7階の廊下を通るといつも、持っているものを落とす女生徒がいたのですが、それは全てクラッブとゴイルが化けていた女生徒で物を落とすことで、必要の部屋の中にいるマルフォイに、今外に誰かいるという合図を送っていたのです。
 ハリーはマルフォイが必要の部屋の中で何をしているかを考え、何とか中に入ろうとしますが、ハーマイオニーは、そんなことより今はスラグホーンの記憶を手に入れることが優先よ、と言い残して女子寮に帰っていきました。
 翌日ハリーは、闇の魔術の防衛術の授業の前に自由時間があったので必要の部屋を調べてみようと思う、と朝食の席でロンとハーマイオニーに伝えるとやはりハーマイオニーは、そんなことをしてる場合じゃない、と言ってハリーを責めます。
 ハーマイオニーは日刊預言者新聞を読んで、そこにマンダンガスの名前を見つけます。彼はインフェリの振りをして誰かの家に侵入しようとして逮捕され、アズガバンに送られたようです。
 他にも恐ろしい記事がいくつか載っていて、オクタヴィウス・ペッパーという魔法使いが行方不明になったり、9歳の男の子が服従の呪文に掛けられ、自分の祖父母を殺そうとして逮捕されたり、と相変わらず世間は物騒続きのようです。
 朝食が終わるとハーマイオニーは古代ルーン文字学の授業に行き、ロンは宿題の続きをするために談話室に戻ります。
 ハリーは1人で7階の廊下へ。透明マントをかぶって必要の部屋を開けようと挑戦します。目を閉じ、タペストリーの前を全神経集中して頭の中で「僕はマルフォイが中で何をしているのか知る必要がある」と3回唱えてみますがドアは現れません。「僕はマルフォイが秘密裏に通っている場所を見る必要がある」「僕はマルフォイが必要な場所が必要だ」・・・ハリーは1時間、思いつく限りの言葉を唱えてみますがドアは現れませんでした。
 挫折感と不快感の中、ハリーは透明マントをかばんにしまい込んで、闇の魔術の防衛術の授業に向かいます。
 教室に着くと、クラスの半分はまだ身の回りの用意をしていて席に着いていなかったにも関らず、スネイプはハリーに遅刻だ、と言ってグリフィンドールから10点マイナスします。
 授業が始まると、シェーマス・フィニガンがスネイプに「インフェリとゴーストの違いは何ですか?」と質問します。スネイプは突然、ハリーにその答えを言うように指示します。
 ハリーが「ゴーストは透けていて・・・」と答えるとスネイプは、「それくらいなら5歳の子供でも知っている」と言ってハリーを馬鹿にします。
 スネイプの説明によると、インフェリは闇の魔法によって生き帰らせられた死体のことで、実際に生きているわけではなく、魔法使いの命令を聞く操り人形の様なもので、ゴーストはこの世に魂だけが残されているもので、ハリーが言うように透けている、そうです。
 それを聞いたロンが、「じゃ、ハリーの言ってたのが一番分かりやすい見分け方だよ。暗闇で遭遇して‘あなたはこの世に残された魂ですか?’って聞くわけにはいかないもんな」と言って、またグリフィンドールはまた10点マイナスされてしまいました。