【第21章】
知られざる部屋
The Unknowable Room
その3
授業が終わると、ラベンダーが近付いてきたので、ロンはハリーの腕を引っ張って男子トイレに逃げ込みます。そこには、嘆きのマーテルがいました。
彼女は「なんだ、あなた達だったの」と言ってがっかりした様子です。彼女の言うには、とても寂しがり屋の傷付きやすい少年がここに来ていつも泣いているそうです。それが誰なのかは秘密だと言って教えてくれませんでした。一体誰なのでしょうか・・・?
そして週末、ロン、ハーマイオニー、それに他の6年生は姿現しの補習のためホグズミードに行ってしまいました。ハーマイオニーは出かける前にハリーに必要の部屋ではなくて、スラグホーンのところに行くのよ!と念を押して行きましたが、ハリーはやはり誰もいなくなると、必要の部屋に向かいます。
スラグホーンの記憶に関しては、ハリーは何もしていないわけでもないようです。魔法薬学の授業の後、彼と話をしようとしたり、部屋を訪ねていったりしたのですが、スラグホーンはハリーを避け、部屋に行ったときは居留守まで使われたそうです。
みんながホグズミードに行ってしまうと、ハリーは透明マントを着て必要の部屋へ。部屋の前にはゴイルの化けた小さな女の子が、重そうな真鍮の天秤を持って見張りをしていました。ハリーはマントに隠れたまま「君、可愛いね」と彼の後ろから囁きます。ゴイルはとても驚いて天秤を落として逃げて行きました。
ハリーはゴイルを追っ払うと、また思いつく限りの言葉を囁きながらドアの現れるのを待ちますが、やはり何度やってみても、そこには硬い壁しかありませんでした。
ハリーはだんだんいらいらしてきて、硬い壁を思いっきり蹴飛ばし、あまりの痛さに倒れこんでしまい、マントも脱げてしまいました。
「ハリー?」と言う声がして振り向くと、そこに立っていたのはトンクスでした。彼女はダンブルドアに会いに来たが留守だったため、校内をうろうろ
していたそうです。ハリーはトンクスの外見がさらに酷くなったと感じます。
なぜダンブルドアに会いたいのかとハリーが聞くと彼女は、人々が傷付けられ続けているので、ダンブルドアなら何か知っていると思い聞きに来た、と言います。
騎士団の誰かから手紙を受け取った?とトンクスが聞いてきたので、誰からも受け取ってない、シリウスからも・・・とハリーがシリウスの名前を口にするとトンクスの目に涙が浮かびます。そして「またね」とだけ言い残して彼女は立ち去っていきました。
ハリーはその後も必要の部屋に挑戦しますが成功せず、諦めて大広間に向かいます。
大広間に着くと、ロンもハーマイオニーも昼食のため、ホグズミードから帰って来ていました。ロンは何とか1度姿現しに成功したそうで、上機嫌です。
ハリーは今7階の廊下でトンクスにあった事を2人に伝えると「トンクス?!」と言って2人は驚きます。
ハーマイオニーは学校の警備を命じられている彼女が、その任務を放棄してまでダンブルドアに会いに来るのはおかしい、と言います。
ハリーは、彼女がシリウスの名前を出す度に泣きそうになるので、彼女はシリウスを愛していたのでは・・・と思い始めます。彼女の守護神も4本足の大きなものに変わっていたから、それはシリウスの犬ではないかと考えます。
トンクスは一体何のためにホグワーツに現れたのでしょうか・・?