《謎のプリンス》詳細ストーリー【その二】
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第一章から第十九章まではこちらをご覧ください。

第二十章 Load Voldemort's Request ヴォルデモート卿の望み

  ハリーとロンは月曜の朝にそろって病院棟から退院します。頭蓋骨を砕かれたことと、毒を飲まされたことで思わぬ副産物が生じ、ハリーは喜びます。
ロンとハーマイオニーの仲が元どおりに戻ったのです。そしてハーマイオニーは、ハリーの頭にブレッジャーが当たった時にディーンがそれを見て笑ったので、ジニーが怒って2人は喧嘩をした、というニュースまで運んできてくれました。
ハリーは出来るだけ平常を装って2人の喧嘩について詳しく聞き出そうとしますが、どうしてあの2人にそんなに関心があるの?とハーマイオニーに疑われてしまいます。
どう答えよう・・と困惑するハリーのところに、ルーナがダンブルドアからの手紙を託りやって来ます。
 手紙の内容はもちろん個人授業についてで、そしてそれは今夜と書かれていました。
 そこにラベンダーがやって来ます。ハリーとハーマイオニーはロンと彼女をそこに残して朝食を取りに行きます。
 30分後大広間にラベンダーと一緒にやってきたロンはかなり不機嫌で彼女と一緒に座ったもののなーんか嫌そうな雰囲気。その様子を見ていたハーマイオニーはその日1日中上機嫌で、ロンと喧嘩していた間はハリーにも宿題を写させてくれなかったのに、その日は薬草学の論文を手伝ってくれました。(っていうかやってくれたようです)

 夜、ハリーはダンブルドアの部屋へ。ドアが開くとそこにはトレローニー先生が立っていました。彼女はハリーが来たのを見て「だから私を追い返そうとしたのね」と言って悲しそうに出て行きました。
 彼女は、フィレンツェが授業の半分をいまだに受け持っていることに対して不満を抱いているようです。フィレンツェは仲間から追放されているから森に帰れとは言えない、トレローニーは予言のことで城を出ると危険な立場なので出て行けとは言えない。板ばさみ状態のダンブルドアは疲れたようにため息をつきます。
 ハリーが部屋に入ってドアを閉めると、ダンブルドアは前回の授業で出した課題はどうなったのかと訊ねてきます。ハリーは、姿現しの授業、クイディッチ、ロンの服毒事件、頭蓋骨粉砕事件にマルフォイの監視・・・もろもろに追われ課題のことはすっかり忘れてしまっていたのです。
 魔法薬学の授業の後に一度だけ聞き出そうとしたことは伝えますが、ハリーは自分のやったことがなんてばかばかしいものだったのか、と話しながらとても恥ずかしい気持ちになってきます。
 ダンブルドアはそんなハリーを怒っている表情ではなく、失望したような表情で見つめます。ハリーは怒られるより、失望されるほうが辛く、「その記憶の重要さにもっと早く気付くべきでした」とダンブルドアに謝ります。そして必ず記憶を手に入れると約束すると、ダンブルドアの声はいつもの優しい声に戻りました。


 そして前回の授業の続きのお話から、今回の授業が始まります。
 ダンブルドアの話によると、ヴォルテモートは全てのテストでトップレベルの成績を修め7年生になりました。スラグホーンをはじめ、先生方もみんな彼は卒業後魔法省に入省するものだと思い、面接の手配も整っていました。しかし彼は、全ての推薦を断り、ボーギンアンドバークスで働き始めたのです。
 しかしその職場はヴォルテモートの第一希望ではなかったそうで、彼の希望は教師としてホグワーツに留まることでした。なぜホグワーツに残りたかったのかと訊ねるハリーにダンブルドアは、ヴォルテモートにとってホグワーツは最も幸せな場所で、自分が帰る場所だと始めて感じることが出来た場所だったからだと話します。ハリーはそれを聞いて不快を感じます。なぜならその気持ちはハリーがホグワーツに対して抱いている気持ちと全く同じだったからです。
 またダンブルドアは、ヴォルテモートはホグワーツに隠されている様々な魔法に興味を持っていたこと、ホグワーツを自分の軍隊を育成するのに相応しい場所と考え、若い魔法使いを新兵として集めるのに都合がいいと考えていたのだろうと、理由を挙げます。
 結局ヴォルテモートは18歳では若すぎると言われて教師にはなれませんでした。
ダンブルドアは年齢の問題ではなく、自分は彼に力のある地位を与えたくなかったと言います。
 ヴォルテモートはホグワーツに残ることを諦め、ボーギンアンドバークスで働き始めてすぐに、特別な仕事を任されるようになります。強力な魔力を
持った商品を扱う仕事で、客の元へ行って彼らのお宝を売ってもらうように
説得する仕事をしていたそうです。
 ここまで話すとダンブルドアは立ち上がります。今日用意されていた記憶は2つ。まず一つ目はホーキーという名の年老いた屋敷しもべの記憶で、ヘフジバ・スミスというとても金持ちの老婦人に仕えていました。ハリーとダンブルドアは記憶の中へ・・・
 
 着地するとそこはどこかの屋敷の居間で、派手なピンクのローブを着た太った老婦人が座っていました。今から誰かが尋ねて来る予定のようで彼女は屋敷しもべに手伝ってもらいながら化粧をしたりして、慌しく身なりを整えていました。
 そして玄関のチャイムが鳴ります。ホーキーが出迎えに行き、ヴォルテモートを連れて部屋に戻ってきます。ヴォルテモートはシンプルな黒のスーツを着て髪が少し伸び、ハリーは今まで以上にハンサムになったと感じます。
 ヴォルテモートはゴブリン製の鎧を売ってもらうためにここに来たようです。
 ヘフジバはヴォルテモートが大のお気に入りのようで、今日は誰にも見せたことの無い宝を特別に見せてあげると言い、ホーキーに2つの箱を運んで来させます。
まず一つ目の箱に入っていたのは、ヘルガ・ハッフルパフのカップでした。
ヘフジバはハッフルパフの遠い親戚で、このカップには強い魔力が秘められていると話します。しかし彼女はこのカップは使わずに大切に保管していたそうです。
 ヴォルテモートがそのカップを手に取り見ていると、ヘフジバは取り上げて元の箱に戻します。彼女は気付いていませんでしたが、この時ハリーはヴォルテモートの顔に黒い影が陰ったのに気付きます。
 もう一つの箱にはスリザリンのロケットが入っていました。ロケットを熱心に見ているヴォルテモートに彼女は、そのロケットはボーギンから買った物で、ボーギンはボロボロの身なりの女からほんのわずかな値で買い取ったらしいと話します。ヴォルテモートの目は、その話を聞いて赤く光ります。
 「もう帰る時間だ」と言うダンブルドアの声がして、2人は今の校長室に戻ってきます。

 そしてダンブルドアは2つ目の記憶の小瓶を取り出します。それは、ハリーがスラグホーンの記憶を手に入れる前に手元に残っている最後の記憶だと言います。記憶の持ち主はダンブルドア自身です。ハリーとダンブルドアは記憶の渦の中へ・・・
 
 着地するとそこは、さっきまでいた校長室でした。机の後ろにはハリーの横にいるダンブルドアと殆ど同じ格好のダンブルドアが立っていて、今より少ししわが少ないようです。
 ドアをノックする音がして、ヴォルテモートが入ってきます。彼の顔はまだ蛇のようではなく、目も深紅色ではなかったが、もうハンサムなトム・リドルではありませんでした。顔のパーツはまるで焼かれたかのように崩れ、蝋で作ったものであるかのように奇妙に歪んで見えます。彼は黒い旅行用の
マントを着て、肩に雪が積もり、彼の顔もその雪のように青白でした。
 机の後ろのダンブルドアに驚いた様子は無かったので、どうやらここで今夜会う約束をしていたようです。
 ヴォルテモートがホグワーツに戻ってきた目的は、18歳の頃に若すぎるからと断られた教師の職を再び手に入れるためでした。
 自分はホグワーツを卒業後、様々な経験を重ね、誰も超えたことの無い魔法の世界を押し広げてきた、と話すヴォルテモートにダンブルドアは、君の魔法は魔法の類のもので、君の残してきた物は哀しいほど無意味な物だと話します。
 もしあなたが私に教師の職を与えたくないのなら・・と言うヴォルテモートにダンブルドアが、何度頼みに来ても決して与えない、と言い切ると、それならもう何も話すことはありません、と言ってヴォルテモートは立ち上がります。
 ダンブルドアの顔には悲しみが浮かびます。「私が君の洋服ダンスを燃やして君を脅し、今までの罪の償いをするように君に命じてから、随分長い月日が流れてしまった。もし出来ることなら・・戻れるものならあの頃に・・」と言うダンブルドアは、ヴォルテモートがこんな形に成長してしまったことをとても悲しんでいる様子です。
 そしてヴォルテモートはそのままドアから出て行ってしまいました。
 ハリーはダンブルドアに腕を?まれるのを感じ、一瞬の後現在の校長室に戻ってきます。

 ハリーはすぐになぜヴォルテモートがホグワーツに戻ってきたのか訊ねます。
ダンブルドアは、いくつか考えはあるが君がスラグホーンの記憶を手に入れてきたら話そう、と言います。
 ダンブルドアがヴォルテモートの望む闇の魔術の防衛術の教師の職を与えなかったこの時以来、闇の魔術の防衛術の教師は皆、1年以上続けることが出来なくなってしまったそうです。そしてその話で今回の個人授業が終わりました。


第二十一章 知られざる部屋 The Unknowable Room

  ハリーは次の週、どうやってスラグホーンの記憶を手に入れようかと考え続けますが、何も思いつかず途方に暮れます。
 日曜の夜遅く、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は、人もまばらになった談話室に座っています。ハリーは今まで何度もそうしてきたように、何かいい考えはないかとプリンスの本を熟読します。その時‘敵に対して’と注意書きされた‘セクトゥムセンプラ(Sectumsempra)’と言う呪文を見つけます。試してみたくなりますが、目の前にハーマイオニーがいるので、その書かれているページの角を折り曲げておき、試すのはまたの機会にします。
 談話室には姿現しの試験の日程が張り出されていました。最初のテストのある4月21日までに17歳になる者は、ホグズミードで行われる補修に参加しないといけないようです。ハリーは誕生日が間に合わず、今回の試験は受けられません。
 ハーマイオニーはこれまでに2度姿現しに成功し、ハリーも1度だけ成功したそうですが、まだ1度も成功したことの無いロンは、このお知らせを見て少しパニクっていました。
 散々姿現しの話をした後、ロンはやっと、ハリーもハーマイオニーも既に終えた闇の魔術の防衛術の宿題に取り掛かります。
 しばらくすると、ハーマイオニーはロンの宿題の論文がスペル間違いだらけなのに気付きます。ロンの使っているスペルチェック羽ペンが壊れていたようで自分の名前さえ間違って書いています。
 最初からやり直しだ・・と言って落ち込むロンに、ハーマイオニーは直してあげるわ、と言って自分の杖でロンの論文を訂正してくれます。
そんなハーマイオニーにロンは思わず「愛してるよ、ハーマイオニー」と言い「そんなこと言ってるのラベンダーに聞かれないでよ」と言いながらハーマイオニーは赤くなっていました。
 ハリーがふと周りを見ると、いつの間にか談話室にいるのは自分達3人だけになっていました。ハリーがプリンスの本を閉じ、あくびをしたその時・・
 バンっっ!!と2回音がしてクリーチャーとドビーが現れました。マルフォイの行動の報告にやって来たのです。
 ドビーの報告によると、マルフォイは頻繁に7階の廊下に行き、部屋に入って様々な生徒に見張りをさせて中で一人何かをしている、と言います。
 マルフォイにそんなにたくさんの味方がいるわけがない・・・それに7階の部屋って・・そしてハリーは真実に気付きます。マルフォイは‘必要の部屋’に行っていたのです。
必要の部屋は忍びの地図には載らない。だからマルフォイはしょっちゅう地図から姿を消していたのです。
 マルフォイが中で何をしていたのかドビーに訊ねますが、マルフォイ以外は誰も中に入れない、と言います。マルフォイは去年DAの本部として必要の部屋を使っていた時中に入ってきたのだから、自分達も入れるはずだ、とハリーが言うと、去年マルフォイはマリエッタから聞いて、ハリー達が何の目的でその部屋を使っていたかを正確に知っていたから中に入れた。でもハリーはマルフォイが何の目的でその部屋を使っているか知らないから入ることはできない、とハーマイオニーは言います。
 とにかく、マルフォイが必要の部屋を使っていると分かっただけでも大収穫です。ハリーがお礼を言うと、ドビーとクリーチャーは消えて帰っていきました。(クリーチャーは現れてからずっとマルフォイのことを誉めて、ハーマイオニーのことを穢れた血だと悪態を吐いているだけでした)

 再び3人だけになった談話室で、マルフォイが見張りに使っていた様々な生徒の話になります。マルフォイはクラッブにも自分が何をしているかを教えていなかった。そんなにたくさんの味方がいるわけがないのに・・と考えハリーは勘付きます。きっとマルフォイは始めての魔法薬学の授業の時に、ポリジュースを盗み出し、それをクラッブとゴイルに飲ませていたのです。ハリー達が7階の廊下を通るといつも、持っているものを落とす女生徒がいたのですが、それは全てクラッブとゴイルが化けていた女生徒で物を落とすことで、必要の部屋の中にいるマルフォイに、今外に誰かいる
という合図を送っていたのです。
 ハリーはマルフォイが必要の部屋の中で何をしているかを考え、何とか中に入ろうとしますが、ハーマイオニーは、そんなことより今はスラグホーンの記憶を手に入れることが優先よ、と言い残して女子寮に帰っていきました。

 翌日ハリーは、闇の魔術の防衛術の授業の前に自由時間があったので必要の部屋を調べてみようと思う、と朝食の席でロンとハーマイオニーに伝えるとやはりハーマイオニーは、そんなことをしてる場合じゃない、と言ってハリーを責めます。
 ハーマイオニーは日刊預言者新聞を読んで、そこにマンダンガスの名前を見つけます。彼はインフェリの振りをして誰かの家に侵入しようとして逮捕され、アズガバンに送られたようです。
 他にも恐ろしい記事がいくつか載っていて、オクタヴィウス・ペッパーという魔法使いが行方不明になったり、9歳の男の子が服従の呪文に掛けられ、自分の祖父母を殺そうとして逮捕されたり、と相変わらず世間は物騒続きのようです。
 朝食が終わるとハーマイオニーは古代ルーン文字学の授業に行き、ロンは宿題の続きをするために談話室に戻ります。
 ハリーは1人で7階の廊下へ。透明マントをかぶって必要の部屋を開けようと挑戦します。目を閉じ、タペストリーの前を全神経集中して頭の中で「僕はマルフォイが中で何をしているのか知る必要がある」と3回唱えてみますがドアは現れません。「僕はマルフォイが秘密裏に通っている場所を見る必要がある」「僕はマルフォイが必要な場所が必要だ」・・・ハリーは1時間、思いつく限りの言葉を唱えてみますがドアは現れませんでした。
 挫折感と不快感の中、ハリーは透明マントをかばんにしまい込んで、闇の魔術の防衛術の授業に向かいます。

 教室に着くと、クラスの半分はまだ身の回りの用意をしていて席に着いていなかったにも関らず、スネイプはハリーに遅刻だ、と言ってグリフィンドールから10点マイナスします。
 授業が始まると、シェーマス・フィニガンがスネイプに「インフェリとゴーストの違いは何ですか?」と質問します。スネイプは突然、ハリーにその答えを言うように指示します。
 ハリーが「ゴーストは透けていて・・・」と答えるとスネイプは、「それくらいなら5歳の子供でも知っている」と言ってハリーを馬鹿にします。 スネイプの説明によると、インフェリは闇の魔法によって生き帰らせられた死体のことで、実際に生きているわけではなく、魔法使いの命令を聞く操り人形の様なもので、ゴーストはこの世に魂だけが残されているもので、ハリーが言うように透けている、そうです。
 それを聞いたロンが、「じゃ、ハリーの言ってたのが一番分かりやすい見分け方だよ。暗闇で遭遇して‘あなたはこの世に残された魂ですか?’って聞くわけにはいかないもんな」と言って、またグリフィンドールはまた10点マイナスされてしまいました。


 授業が終わると、ラベンダーが近付いてきたので、ロンはハリーの腕を引っ張って男子トイレに逃げ込みます。そこには、嘆きのマーテルがいました。彼女は「なんだ、あなた達だったの」と言ってがっかりした様子です。
 彼女の言うには、とても寂しがり屋の傷付きやすい少年がここに来ていつも泣いているそうです。それが誰なのかは秘密だと言って教えてくれませんでした。一体誰なのでしょうか・・・?

 そして週末、ロン、ハーマイオニー、それに他の6年生は姿現しの補習のためホグズミードに行ってしまいました。ハーマイオニーは出かける前にハリーに必要の部屋ではなくて、スラグホーンのところに行くのよ!と念を押して行きましたが、ハリーはやはり誰もいなくなると、必要の部屋に向かいます。
 スラグホーンの記憶に関しては、ハリーは何もしていないわけでもないようです。
魔法薬学の授業の後、彼と話をしようとしたり、部屋を訪ねていったりしたのですが、スラグホーンはハリーを避け、部屋に行ったときは居留守まで使われたそうです。
 みんながホグズミードに行ってしまうと、ハリーは透明マントを着て必要の部屋へ。部屋の前にはゴイルの化けた小さな女の子が、重そうな真鍮の天秤を持って見張りをしていました。ハリーはマントに隠れたまま「君、可愛いね」と彼の後ろから囁きます。ゴイルはとても驚いて天秤を落として逃げて行きました。
 ハリーはゴイルを追っ払うと、また思いつく限りの言葉を囁きながらドアの現れるのを待ちますが、やはり何度やってみても、そこには硬い壁しかありませんでした。
 ハリーはだんだんいらいらしてきて、硬い壁を思いっきり蹴飛ばし、あまりの痛さに倒れこんでしまい、マントも脱げてしまいました。
 「ハリー?」と言う声がして振り向くと、そこに立っていたのはトンクスでした。彼女はダンブルドアに会いに来たが留守だったため、校内をうろうろしていたそうです。ハリーはトンクスの外見がさらに酷くなったと感じます。
 なぜダンブルドアに会いたいのかとハリーが聞くと彼女は、人々が傷付けられ続けているので、ダンブルドアなら何か知っていると思い聞きに来た、と言います。
 騎士団の誰かから手紙を受け取った?とトンクスが聞いてきたので、誰からも受け取ってない、シリウスからも・・・とハリーがシリウスの名前を口にするとトンクスの目に涙が浮かびます。そして「またね」とだけ言い残して彼女は立ち去っていきました。

 ハリーはその後も必要の部屋に挑戦しますが成功せず、諦めて大広間に向かいます。
 大広間に着くと、ロンもハーマイオニーも昼食のため、ホグズミードから帰って来ていました。ロンは何とか1度姿現しに成功したそうで、上機嫌です。
 ハリーは今7階の廊下でトンクスにあった事を2人に伝えると「トンクス?!」と言って2人は驚きます。
 ハーマイオニーは学校の警備を命じられている彼女が、その任務を放棄してまでダンブルドアに会いに来るのはおかしい、と言います。
 ハリーは、彼女がシリウスの名前を出す度に泣きそうになるので、彼女はシリウスを愛していたのでは・・・と思い始めます。彼女の守護神も4本足の大きなものに変わっていたから、それはシリウスの犬ではないかと考えます。
 トンクスは一体何のためにホグワーツに現れたのでしょうか・・?


第二十二章 埋葬の後で After The Burial

 ホグワーツの空に青空が垣間見えるようになり、夏が近付いてきますがハリーの心は晴れません。必要の部屋は開けられないし、スラグホーンの記憶は手に入れられないからです。
 ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人はある日の昼食の後、穏やかな中庭に座っていました。そこに知らない女の子がハリーに手紙を届けに来ます。ダンブルドアからだと思って開けてみると、それはハグリットからでした。
 文字は乱雑に書かれ、羊皮紙には大きなインクの染みがあり、とても読みにくい物でした。そこには、‘昨夜アラコグが死んだ。今夜埋葬するので、マントに隠れて来て欲しい。こんなこと頼むべきではないが、とても一人では耐えられない’と書かれていました。
 ロンは自分とハリーを食べようとした奴の葬式に行くなんて!と言い、ハーマイオニーは夜に城を出るなんて危険なことすべきではない、と言います。
 ハリーは羊皮紙の染みを見て、きっとハグリッドのこぼした涙の跡だろうと思うと行ってあげたくなるのでした。
 ハーマイオニーは、その日の午後殆どの生徒が姿現しのテストの為魔法薬学の授業に出られないので、ハリーがうまくやれば、記憶を手に入れられるかもしれないと言い出します。「運が良ければね」とハリーが言うと、ロンが何かを思い付きます。
 フェリックス・フェリシスを飲んでスラグホーンに会いに行けばいい、と言い出したのです。ハーマイオニーもロンのその提案に賛成しますが、ハリーは乗り気ではない様子。もう少し大事なことに・・みたいなことを言うと、記憶を手入れること以上に大事なことなんてないわ!とハーマイオニーに喝されます。
 結局、午後にスラグホーンに会って、だめだったら夜にもう一度フェリックスフェリシスを飲んで彼に会いに行こう、ということになります。
 3人がそんな話をしていると、近くをモントゴメリィ姉妹が通りかかります。彼女達の弟は、両親が死喰人の要求を断ったために人狼に襲われ、たった5才なのに亡くなってしまったそうです。そしてやはりその子を噛んだのはグレイバックだった、とハーマイオニーは言います。こんなにたくさんの恐ろしい事件が起こっているのだからやはりすぐにフェリックス・フェリシスを飲んで記憶を手に入れ、全ての事件の原因であるヴォルテモートを早く止めなくては!とも言いました。

 そしてロンとハーマイオニーは姿現しのテストを受けに行ってしまいました。ハリーは一人で魔法薬学の授業に向かいます。
 その日の授業に来ていたのは、ハリー、マルフォイ、アーニーの3人だけでした。みんなまだ17才になっていなくて、試験が受けられない人ばかりです。
 マルフォイは、ホグワーツ特急の中でみんなに、興奮しながらヴォルテモートから命令を受けたことを自慢気に話していた傲慢さは全く消え去り、顔色も悪く少し痩せたようでした。ハリーは、きっとその企みがうまくいっていないのだろう、と思います。
 その日の授業は、何でも好きな薬を調合するようにと言われます。
 ハリーはプリンスの本にざっと目を通し、プリンスバージョンに大幅に修正されたAn Elixir to Induce euphoria(多幸感誘発剤?)を見つけ、作り出します。
 1時間半後、スラグホーンは薬の出来具合をチェックして回り、やはりハリーの薬をべた褒めします。ハリーは今がチャンス!とスラグホーンに話し掛けますが、彼は終業の鐘と共に、急いで教室から出て行ってしまいました。

 その日の午後遅く、ロンとハーマイオニーが談話室に戻ってきました。ハーマイオニーは見事合格したそうです。ロンは残念ながら、片方の眉毛を置き去りにしてしまい、不合格でした。


 夕食後、いよいよフェリックス・フェリシスを飲んでスラグホーンに会いに行くことになります。ハリーは全部飲んでしまうのはもったいないので2〜3時間効力が持続する分だけ飲むことにします。そして全部飲んでしまわないように気を付けながら一口飲みます。
 するととてつもなく心地の良い爽快感が体中に広がり、まるで自分は何でも出来るような気持ちになり、スラグホーンの記憶を手に入れることなんてとても簡単な事のような気がしてきます。
 
 そしてゆっくり立ち上がるとハリーは、心配そうに様子を見ていたロンとハーマイオニーに「ハグリッドのところに行ってくる」と言います。
 ロンとハーマイオニーは呆然となります。間違えて違う薬を飲んでしまったのかと心配しますが、ハリーは「ハグリッドに会いに行くといいことがあるって感じるんだ」と言って透明マントをかぶって談話室に降りていきます。
 ハリーが男子寮のドアを開けて談話室に出ると、ラベンダーがハリーの後ろにいたロンとハーマイオニーを見て「2人切りで男子寮で何をしてたの?!」と攻め寄ってきます。透明マントに隠れていたハリーは見えなかったのでラベンダーにはロンとハーマイオニーが2人で出てきたように見えたのです。
 ハリーはもめている3人を残して、肖像画へ向かいます。するとそこにジニーとディーンが穴を開けて入ってきたので、ハリーは簡単に廊下に出ることが出来ました。しかも穴をくぐる時、ハリーはジニーにぶつかってしまい、ジニーはディーンがぶつかってきたと勘違いして、2人は喧嘩を始めてしまいます。
 ハリーの多幸症はますます増加し、廊下を堂々と歩いていても誰にも会わず、正面ドアの鍵はフィルチが掛け忘れていてくれました。
 外に出るとハリーは、そのままハグリッドの小屋に行くより、野菜畑を通って遠回りしたほうがいいような気がして、野菜畑に向かいます。
 野菜畑来ると、スラグホーンがスプラウト先生と話しているのを見つけます。スラグホーンはスプラウト先生から授業に使う植物を受け取り、スプラウト先生は温室へ、スラグホーンはハリーのいる方へと歩いてきます。
 ハリーはスラグホーンに自分の姿を見て欲しくてたまらなくなり、透明マントを脱いで彼の目の前に立ちます。
 スラグホーンは突然現れたハリーに驚き、なぜこんな時間に外にいるのか聞いてきます。ハリーはここは本当のことを言うべきだ、という気がしてアラコグが死んだのでハグリッドの所に行って今から埋葬する、とスラグホーンに話します。
 するとスラグホーンは、巨大蜘蛛の毒液はとても貴重なもので、生きている蜘蛛からは絶対に採取できない・・とぶつぶつ言います。ハリーが、一緒に埋葬に行きますか?と誘うと喜んで行くと言います。
 スラグホーンはネクタイを地味なものに着替えて、飲み物も少し取ってくると言って一旦城に戻ります。ハリーは一足先にハグリッドの小屋へ。

 ハグリッドは目を真っ赤にして泣きはらしていました。埋葬は、森ではなく小屋の裏でするそうです。アラコグが死んだ後、アラコグの子供達はハグリッドを
食べようとしたそうです。子供達はただアラコグの命令でハグリッドを食べることを我慢していたそうで、そのアラコグが死んでしまったためみんなハグリッドを食べようとし始めてしまったそうです。森の中で自分が足を踏み入れられない場所が出来るなんて初めてだ、と言ってハグリッドの悲しみはそのことでさらに増したようです。

 ハリーが、スラグホーンも埋葬に参列して別れを惜しみたいと言っていたとハグリッドに伝えると、彼は驚きますが喜びます。
 そして間もなくスラグホーンが到着して3人は裏庭に横たわっているアラコグのところに行きます。スラグホーンはお悔やみの言葉を言いながら持ってきた空瓶をこそこそ持ち出し、アラコグの頭の下にもぐります。どうやらうまいことハグリッドに気付かれずに毒液を取り出したようです。
 3人はアラコグの体を土に埋めます。1人ではなく3人でアラコグを埋葬できて満足するハグリッドと、毒液を採取できて満足するスラグホーン。その後小屋に戻り、別れの杯を交わします。
 スラグホーンはハグリッドの小屋に置かれていたユニコーンの毛にも貴重な物だと言って興味を示します。ハグリッドは、スラグホーンがアラコグや森の中の生物に興味を持ってくれた事で機嫌が良くなり、スラグホーンも貴重な物が手に入ったことで機嫌が良くなり、2人はどんどんワインを飲み続けます。そしてハグリッドは先に酔いつぶれて眠ってしまいました。
 ハリーはスラグホーンにどんどんワインを注ぎ、2人はリリーの話しになります。
ハリーは自分の母親がどうやって死んだのかを詳しく話します。スラグホーンはあまりの恐ろしさに途中で、もういい!と言って遮ります。彼女のことを気に入っていたので耐えられなかったのです。
 ハリーは記憶を渡してくれるように切り出します。「僕の母さんのような勇気を持ってください」と言ったハリーの一言でスラグホーンはついに杖を取り出し、小さな瓶に銀色に輝く記憶を詰めてハリーに差し出します。
 そして「その記憶を見ても、私を悪く思わないでくれ」と言って、彼も眠りに落ちていきました。



第二十三章 ホークルクス Horcruxes

 ハリーは城に戻りますが、フェリックス・フェリシスの効果が薄れていくのを感じます。何とか正面入り口の鍵は開いたままでしたが、廊下でピーヴスに会ってしまったり、太ったレディまで来ると、合言葉が変わったと言って中に入れてもらえません。
 
 そこを通りかかったほとんど首なしニックに、ダンブルドアが今学校に戻って来たと聞き、ハリーは急いで校長室に向かいます。
 ハリーが校長室に着くと、本当にダンブルドアがいました。ハリーがダンブルドアについにスラグホーンの記憶を手に入れた、と言って小瓶を差し出すと、ダンブルドアの顔に笑みが広がります。ダンブルドアは今が真夜中だということも忘れ、ペンシーヴを取り出し記憶を注ぎます。そして2人は記憶の中へ…

 着地するとそこは、何年も前のスラグホーンの部屋で、再び彼を中心に数人の男子生徒が座っています。その中には、マールボロの金の指輪を身に付けたトム・リドルも含まれています。
 そして前回この記憶を見た時と同じ様に話は進み、机の上の金時計が11時を示すとみんな部屋を出て行き、トムとスラグホーンの2人だけになります。
 トムはスラグホーンにホークルクスについて質問します。それはとても邪悪な魔法だと言って、その説明をしたがらないスラグホーンにトムは、あなたほどの素晴らしい魔法使いならご存知のはずです、と上手く彼を説得してホークルクスに関する情報を聞き出します。
 スラグホーンの説明によると、ホークルクスとは、誰かが魂の一部を隠した品物のことだそうです。魂を自分から切り離し、体外のある品物に隠すことによって、たとえ体が攻撃されて壊されたとしても死ぬことは無く、魂の一部はこの世に傷付くことなく残存することが出来る、と話します。
 それを聞いたトムは、貪欲の表情でもっと詳しい情報を求めます。
 どうやって魂を体から切り離すのか、と訊ねるとスラグホーンは、ホークルクスを作るためには人の痛みが必要で、殺人を犯して、その被害者の痛みを薬に注ぎ込む、と言います。

 それはどうやって注ぎ込むのか、と訊ねると、注ぎ込むための呪文があるが私は知らない!もうこれ以上聞かないでくれ!と言います。
 トムはさらに、魔法界で最も強力な数字は7なので、魂を7つに分けると最強になるのでは?と言い出しますが、スラグホーンは1度殺人を犯して1つのホークルクスを作るだけでも恐ろしいことなのに7つも作るなんて!と言って、トムにホークルクスについて話したことを後悔しているような
表情をします。 私が今君に話したことは誰にも言うな、特にダンブルドアには・・・と
スラグホーンが言うと、トムは分かりました、と言って部屋から出て行きました。
 その時のトムの顔には、初めて自分が魔法使いだと知らされた時のように幸せが満ち溢れていましたが、それは彼の整った顔立ちを引き立てるものではなく、人間らしさを失ったような表情でした。

 ハリーとダンブルドアは今の校長室に戻ってきます。
 ダンブルドアは、長い間この記憶を求めてきた、これで今までの私の推理が正しかったと証明出来たが、まだこれから長い道のりが残されている、と言います。
 リドルはあの後、何ヶ月も掛けてその方法を探り、その恐ろしいことをやり遂げようとしたそうです。そしてダンブルドアは、リドルがその恐ろしいことをやり遂げたという証拠を、4年前に手に入れたと言います。
 何のことを言ってるか分からないハリーに、ダンブルドアは「日記」だと言います。
 単なる日記からリドルが出てきて動いたり、その日記を手にしたジニーに乗り移ることが出来るのはおかしい、何か邪悪なものがその日記には隠されている、とダンブルドアは考え、それが魂の一部の入ったホークルクスだったのだと言います。
 そして、今見た記憶によっておそらく、リドルはホークルクスを7つ作ったのだろう、と言います。
 1つ目の魂は、体を取り戻したヴォルテモート自身。
 2つ目はスリザリンの後継者であることの証となる日記。
 3つ目はマールボロの金の指輪で、それは既にダンブルドアが破壊し、その時右手にあの傷を負った、と言います。
 残されたホークルクスはあと4つ。ヴォルテモートは戦利品を集めることを好む傾向があった。彼のプライド、自分は誰よりも卓越しているという自信。
それらは彼が、勲章のように素晴らしい価値のあるものを自分のホークルクスに選んだことを示している、とダンブルドアは言います。
 それ自身が偉大な力を持っていて、リドルの周りから姿を消した物・・おそらくスリザリンのロケットとハッフルパフのカップが、第4,5のホークルクスであろう、とダンブルドアは言います。
 そうすると残りは2つ。彼が既にスリザリンとハッフルパフの品物をホークルクスにしたとするなら、おそらくグリフィンドールかレイブンクローの物を手に入れようとしたはずである。そして最後のホークルクスはリドルが唯一愛着を持って常に傍に置いていた、蛇のナギニであるだろう、
と言います。 つまり、「日記」と「指輪」は既に破壊し、「ハッフルパフのカップ」「スリザリンのロケット」「蛇のナギニ」が無傷で残っていて、さらに「グリフィンドールかレイブンクローの何か」もあります。
 ダンブルドアは、その見つかっていないホークルクスを探しに出ていて、いつもホグワーツにいなかったそうです。そしてその中の一つが、もうすぐ見つかりそうだと言います。ハリーが、もし見つかったら、僕も一緒に行かせてください、と言うとダンブルドアは、分かったと言います。
 ホークルクスを全て破壊すれば、ヴォルテモートは死ぬそうです。しかし最後のホークルクスは彼自身の中にあるため、最後は彼自身を倒さなくてはいけません。
 ヴォルテモート自身以外の魂全てを破壊したとしても、彼の脳と魔力は健在のため、彼を倒すにはずば抜けた技術と力が必要だ、と言います。
 そんな力僕にはありません、と言うハリーにダンブルドアは、‘人を愛する力’だと言います。
 予言の言っていた‘闇の帝王の知らない力’とは人を愛する力だったのかとがっかりするハリーに、ダンブルドアは予言をあまり重要視しないように言います。
 ヴォルテモートは予言の一部を聞き、行動に移ってしまったために、ハリーを自分の最も危険な敵にしてしまったそうです。つまり、ハリーを殺しに行ってハリーの両親を殺してしまったために、ハリーは人を愛する強い力、ヴォルテモートの持っていない唯一の力を身に付けたのだ、とダンブルドアは話します。
 予言を聞いてなかったら、ヴォルテモートを倒そうと思わないのか?とダンブルドアに聞かれたハリーは、ヴォルテモートに殺された両親、シリウス、セドリック・ディゴリーのことを考え、たとえ予言を聞いていなくても自分の手で彼を倒そうとした、と答えます。
 ダンブルドアがハリーに伝えたかったのは、たとえ自分がヴォルテモートを倒す運命に定められていなくとも、自らの意思で彼を倒そうとする気持ちが大切だ、ということだったようです。

第二十四章 セキュテュムセムプラ  Sectumsempra

  翌朝、ハリーは全てをロンとハーマイオニーに話します。2人は、スラグホーンの記憶を手に入れた経緯と、ダンブルドアが次のホークルクスが見つかったらハリーを連れて行くと約束したことにとても感動します。
 そして、これもフェリックス・フェリシスの効果でしょうか、ロンとラベンダー、そしてジニーとディーンが共に昨夜別れたそうです。
 ロンとラベンダーが別れたお陰でこの日、ロンもハーマイオニーも上機嫌です。そしてハリーの中で眠っていたモンスターが再び目を覚まし、良心と葛藤を始めます。 
 ‘ジニーはロンの妹だ!’‘でもディーンと別れたし・・’‘それでもロンの妹だ!’‘ロンは親友だし・・’‘気にしなくてもいいんじゃ?’
‘ロンは親友だ!’そんなバトルを心の中で繰り返しながら、ハリーは談話室に戻ります。
 談話室に入ると、ケイティが戻ってきていました。彼女はすっかり元気になっていました。
 ハリーはすぐに、ネックレスは誰に渡されたのかを彼女に訊ねますが、彼女の記憶は3本の箒の女子トイレのドアを開けたところで途切れてしまい、覚えていないそうです。
 女子トイレの中で渡されたことは間違いないようで、犯人は女性、もしくは女性に見える人・・ハリーの頭の中で、様々な女生徒に化けたクラッブとゴイルがパレードしていました。
 ハリーは少し残っているフェリックス・フェリシスを飲んで、必要の部屋に行ってみたい、とハーマイオニーに話しますが、大反対されます。彼女は、ダンブルドアとホークルクスを破壊しに行く時に飲むべきだ、と言います。 「もう少し自分で作ってみたら?」とロンに言われ、ハリーはプリンスの本
を開きますが、作り方はとても複雑で、しかも完成させるのに6ヶ月以上も掛かる様なので諦めます。
 この時ハリーは、数週間前に‘敵に対して’と注意書きされていた‘セキュテュムセムプラ’という呪文を再び見つけ、今度マックラガンに会ったら使ってやろう、と思います。

 クィディッチのチームは今まで以上に雰囲気も調子も良くなります。
 ケイティもロンもチームに戻り、マックラガンとディーンがチームから抜けベストメンバーに戻ったからです。
 最後のレイブンクローとの試合も近付き、メンバーだけではなく、周囲の試合への関心も高まります。この試合で今シーズンのチャンピオンが決まるからです。
 もしグリフィンドールが300点差以上でレイブンクローに勝てば、グリフィンドールの優勝が決まります。300点差以下で勝つと、グリフィンドールは2位。100点差以内で負けると3位で、100点差以上で負けると、長い歴史の中で初めて4位になってしまうのです。
 ハリーはマルフォイが必要の部屋で何をしてるのか探ることも忘れられませんでした。忍びの地図をチェックしていると、まだ時折マルフォイが消えてしまっていたからです。ハリーは7階の廊下を通ると必ず、目を閉じて色んな言葉を試してみますが、やはりドアは現れませんでした。

 レイブンクローとの試合の数日前、ハリーは一人で談話室から大広間へ夕食に向かいます。忍びの地図をチェックすると、なぜかマルフォイは嘆きのマーテル
一緒にトイレにいたのです。ハリーは不思議に思い、そのトイレに向かいます。
 そっとトイレのドアを開けると、マルフォイがドアに背を向けて立っていて手洗い場のシンクを両手で掴み、頭を下げています。
 「俺には出来ない・・俺には動かせない・・すぐに出来なければ・・俺はあの人に殺される・・」そう言ってマルフォイは泣いていたのです。
 あのマルフォイが泣いている・・ハリーは驚きのあまり、ドアを半開きにしたままその場に立ちすくんでいました。すると、突然マルフォイが頭を上げ鏡越しにハリーを見つけたのです。
 マルフォイは杖を構えて振り返り、ハリーに襲い掛かります。ハリーも杖を構えます。マルフォイの放った呪文はハリーの横をかすって逸れました。
マルフォイは次の呪文を掛けようと杖を揚げ、「クルッシ・・」と言いかけたのでハリーはとっさに「セキュテュムセムプラ!」と叫びます。
 すると、マルフォイの顔や胸から、まるで剣で切りつけられたかのように血が溢れ出し、そのまま床に倒れ、手に持っていた杖が彼の手からこぼれ落ちました。
 「嘘だ・・」ハリーは自分が何をしてしまったか分からず、血まみれで床に倒れたマルフォイの横に跪きます。
 嘆きのマーテルが「人殺し!」と叫びながらトイレから出て行き、スネイプがトイレに駆けつけてきました。
 スネイプがマルフォイの傷口に杖を当て呪文を唱えると、傷口はふさがり、流れていた血は止まります。スネイプはマルフォイを支えて立ち上がらせるとハリーにここで待っているように命じて、彼を病院棟に連れて行きました。
 10分後、スネイプは戻ってきました。どこであんな闇の呪文を覚えたのかと訊ねるスネイプにハリーは、図書館の本で読んだ、と嘘をつきます。
 スネイプはハリーの目を見つめ、心を読もうとします。そして、かばんと全ての教科書をここに持って来い!と言いました。ハリーはトイレを飛び出しグリフィンドール寮に向かいます。
 ハリーは途中でロンに会い、彼の魔法薬学の教科書を借ります。そして寮に戻り自分の教科書とかばんを掴むと、今度は7階の廊下に急ぎます。
 タペストリーの前に来ると目を閉じ、「本を隠す場所が必要です」と3回唱えると、ドアが現れました。
 中に入ると、そこはとても広い部屋で壊れた家具や無数の本が山積みになっていました。どうやら、今まで様々な人が様々な物を隠すのにこの部屋を使っていたようです。ハリーはあまりの隠された物の多さに一瞬見とれていましたが、適当にその辺を歩いて、あるカップボードの扉の中にプリンスの本を隠して、目印にその辺にあった像を前に置いて、急いでその部屋を出て、スネイプの待つトイレに戻りました。

 トイレに戻ると、スネイプはハリーの教科書を一冊ずつチェックします。そして魔法薬学の教科書を調べると、これはお前のか?と聞いてきます。ロンは、教科書にあの壊れた羽根ペンで名前を書いていて、‘ルーニル・ウィズリブ'と書いてあったのです。ハリーはそれは自分のあだ名です、
と言ってごまかします。 スネイプはハリーに今学期が終わるまで、毎週土曜の午前中に罰則を受けるように命じます。これでハリーはレイブンクローとの試合に出られなくなってしまいました。
 ハリーは談話室に戻り、ロン、ハーマイオニー、ジニーに何があったのか
話します。どうやら嘆きのマーテルが学校中のトイレに現れて事件のことを話して回ったようで、事件の詳細は既に学校中に広まっていました。
 ハーマイオニーは、だから言ったでしょ、という態度でハリーを責めます。ところがジニーは、ハリーがセキュテュムセムプラを唱えなければ、逆にマルフォイにやられていた、と言ってハリーの味方をします。
 ハリーはジニーが自分の肩を持ってくれたことで少し気分が良くなりますが、翌日には、グリフィンドール生からもスリザリン生からも、冷たい視線を投げつけられます。

 そして、レイブンクローとの試合の当日、ハリーはスネイプの罰則に向かいます。罰則の内容は、過去の罰則の記録の整理で、ハリーは作業中何度か書類の中に、ジェームスとシリウスの名前を見つけます。
 10時から始まり、午後1時10分過ぎにやっとスネイプは帰ってもいいと言います。ハリーは急いでグランドに向かおうとしますが、既に試合は終わっていたようで静まり返っていました。
 ハリーは談話室へ。すると、扉の向こうからお祝いの叫び声が聞こえてきました。グリフィンドールは、450対140で勝って優勝したのです。
 談話室に入ると、ジニーがハリーのもとに走り寄ってきて抱きついてきました。
 そして、ハリーは何も考えず、周りに大勢のグリフィンドール生がいるのも忘れ、ジニーにキスをしました。
 唇を離してハリーはまず、ロンを探しました。ロンはショックを受けたような表情でしたが、「どうしてもって言うなら・・」という感じで小さく頷きました。
 ハリーの胸中のモンスターが勝利の雄叫びをあげていました。



第二十五章 聞かれた予言 The Seer Overheared

  ハリーがジニーと付き合い出したという話は、すぐに学校中に広がります。談話室で寄り添って話をしたりと、幸せそうな雰囲気の2人ですが、6月に入ると2人で過ごせる時間は減ってきます。ジニーのOWL試験が近付いてきたからです。
 そんなある日、ハーマイオニーが1枚の古い女生徒の写真を持ってハリーの
もとにやって来ます。その写真の少女の名前は、‘アイリーン・プリンス’で優秀な魔法薬作りで表彰された生徒でした。ハーマイオニーは彼女が混血のプリンスではないか、と話しますが、ハリーは、教科書に書かれた文字からしてプリンスは男だと確信している。彼女が混血のプリンスではありえない、と言います。ハーマイオニーは、もっとアイリーンに関する情報を集めて来ると言って図書館に行ってしまいました。
 そこにジミー・パークスがダンブルドアからの手紙を託ってハリーに渡しに来ました。手紙には、‘すぐに私の部屋に来てくれ’と書かれていました。 ‘もう一つのホークルクスが見つかったのだろうか?’と考えたハリーは急いでダンブルドアの部屋に向かいます。
 7階の廊下まで来ると、誰かの悲鳴と瓶の割れる音が聞こえました。ハリーが音のした場所に駆けつけると、シェリーの酒瓶を散乱させて、トレローニーが床の上に倒れていました。そしてその場所は、必要の部屋の真ん前でした。
 ハリーが何があったのか訊ねると彼女は、シェリーの酒瓶を隠そうと必要の部屋に入ったが、誰か先客がいて、声を掛けようとするとその誰かに突き飛ばされて部屋の外に追い出された、と言います。中にいたのが誰なのかは分からなかったが、それは男で、何か喜んで陽気に浮かれ騒いでいたそうです。
 ハリーは、マルフォイが中でやろうとしていたことを遂にやり遂げたのだと思い、トレローニーも連れて、一緒に校長室に行ってダンブルドアに報告することにします。
 トレローニーはそこでカードを出してきて、占いをします。その結果は、‘落雷の塔’そして‘不吉な運命がどんどん近付いている’と出ました。
 2人が校長室に向かう途中、トレローニーは、ホグス・ヘッドで初めてダンブルドアに会った時の話をし始めます。ハリーの人生を変えたあの予言をした時のことです。そして彼女から驚くべきことを聞かされます。
 トレローニーがダンブルドアと話をした時に、ドアの向こうから立ち聞きをしていた者がいて、それはスネイプだった、と彼女は言ったのです。
 ヴォルデモート自身が予言を聞いたとばかり思っていたハリーは、ショックで言葉を失います。予言の内容を聞き、それをヴォルデモートに報告したのはスネイプだったのです。そしてその報告のせいでハリーの両親は・・ハリーはトレローニーをそこに残し、一人でダンブルドアの部屋に向かいます。

〜続きは謎のプリンスををお読みください〜


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