《謎のプリンス》詳細ストーリー【その一】
 ハリー・ポッターシリーズ六巻である、謎のプリンスの、詳細ストーリーです。ここにある、メモはすべてハリポタちゃんねるの住人のyukieさんが作成してくれました。ありがとうございます。完全ネタバレです!ご注意ください!

※日本語名は仮称です ※多少間違っている部分があります。

ハリー・ポッターと謎のプリンス 5月17日発売!!
予約はこちらから 定価:3990円


第一章 The Other Minister もう一つの大臣
 
 舞台はマグルの首相のお部屋。
魔法省大臣のコーネリアス・ファッジが色々お話しに来ます。

1回目;マグル大臣就任の日
     自己紹介
     魔法使いの世界が存在すること 
     何か重要な事件が起きない限りもう来ない
    以上のことを話して帰りました。
2回目;3年前
     シリウス・ブラックがアズガバンを脱走した事を報告
     マグル界でも指名手配発令をお願い
3回目;2年前 
     クイディッチワールドカップ開催で何人かのマグルが
     巻き込まれたことを報告
     三校対抗試合のためドラゴンとスフィンクスを輸入
     することの報告 
4回目;数週間前 
     アズガバンで集団脱獄発起の報告 
     (ファッジはかなり急いで帰っていった。)
5回目;今日
     ヴォルテモート復活の報告
     ファッジは解雇された
     新しい首相ルーファス・スクリムジャーの紹介
     
ヴォルテモートが復活してから、マグル界でもいろんな事件が
起こった模様。
橋が真っ二つに折れてたくさんの車が川に落ちた→死喰人がファッジに仲間に入るように要求。
                       ファッジが要求に応じなかったため落とされた。
2件の殺人事件→殺されたのはアメリア・ボーンズ(魔法法令強制執行局長)とエメリーン・ヴァンス(不死鳥の騎士団メンバー)
        犯人はマグルではない。アメリア・ボーンズはヴォルテモート自身に殺されて様子。
西部地方の大型ハリケーン→吸魂鬼が暴れまわってる
副首相が長期休暇→服従の呪文に掛けられてしまい聖マンゴ疾患障害病院に入院中

今後スクリムジャーは忙しいので、マグルへの報告係はファッジがするそうです。
キングスリー・シャックルボルトがマグルの首相のボディーガードをしてるそうです。
この章の題名”もう1人の大臣”とはファッジのこと。マグルの首相は頭の中でファッジのことをこう呼んでいたから。


第二章 Spinner's End スピナーズ・エンド

 舞台はスピナーズ・エンドと呼ばれる通り。
古い工場跡やぼろぼろの煉瓦造りの家の並ぶ廃墟のような町。
そこにベラトリックスとナルシッサ姉妹がやって来ます。
目的はそこに住むスネイプに会う事。ベラトリックスは反対しますが、姉妹喧嘩をしながらスネイプの家に到着しました。
部屋に入るとワームテイルがスネイプのパシリをしてました。

私たち読者も気になっている質問をベラトリックスがスネイプにぶつけます。

Q. 闇の帝王が堕落した時どこにいた?
A. 闇の帝王に命じられてダンブルドアをスパイするためホグワーツにいた。
  その後帝王を探さなかったのは死んでしまったと思ったから。
  帝王は自分を探そうとしなかった者を許さなかったら支持者が少なく
  なりすぎるためそのことについては怒っていない。

Q. ダンブルドアの言いなりになっていたのはなぜ?
A. ホグワーツでダンブルドアの仕事をしていたらアズガバンに行かないで
  済むから。闇の帝王はそのことは責めなかった。

Q. 賢者の石の時邪魔をしたのはなぜ?
A. 闇の帝王はその時まだ自分(スネイプ)を信用していなかったから、
  クイエルの体の中にいることを自分に教えてくれなかった。
  だから賢者の石を盗もうとしているのはクイエルだと思い邪魔をした。

Q. 闇の帝王が復活した時なぜすぐに戻ってこなかった?
A. 2時間後にダンブルドアの命令で調査と言う名目で戻った。
  たった2時間遅れることで引き続きダンブルドアをスパイし続けることが
  出来た。

Q. 予言を巡って戦っている時何してた?
A. 闇の帝王の命令は表舞台で戦うことでは無く、陰でサポートすることだった。
  ”ところで、君たちの戦った相手はたった16歳の子供だったんじゃなかったか?”
  とはぐらかした。

Q. ハリーポッターはなぜまだ生きているの?
A. ポッターが最初にホグワーツに来た時は、他の死喰人もそうだったように
  彼が最強の闇の魔法使いかと思った。
  ポッターを殺してしまうとダンブルドアにスパイしてることがばれて
  アズガバンに入れられてしまう。

とにかく、スネイプは闇の帝王の命令で今までダンブルドアの傍にいたと主張します。
ダンブルドアに関する情報は闇の帝王を満足させていたらしい。
スネイプは、一通りベラトリックスへの質問に答え終わると
今度はナルシッサの頼みを聞きます。

ナルシッサの頼みは次の3点
@ドラコが闇の帝王の望みを達成出来るよう見守っていてくれますか
Aドラコがその間傷つかないよう最善を尽くしてくれますか
Bドラコがその試みを失敗しそうになったら闇の帝王から命令されたことを
 あなたが代わりに達成してくれますか

ドラコがヴォルテモートから何を命令されたのかはここには書かれていません。かなり危険な任務らしいです。
ナルシッサは、この任務をヴォルテモートがドラコに課したのは、ルシウスが魔法省で予言を取り戻すのに失敗したからその報復だと主張していました。

スネイプは上記の3点を”決して破れない誓い”をしてナルシッサと約束します。
誓いの証人はベラトリックス。
スネイプとナルシッサが手を繋ぎ、その上にベラトリックスが杖を添えて誓いをします。
それぞれ誓うたびに杖から赤く細い燃える糸が放たれ繋いだ二人の手に巻きつきました。


第三章 Will and Won't 日本語名不明

 いよいよハリーが登場します。
舞台はダズリー家。ハリーは窓辺の椅子に座って窓に顔をくっつけて居眠りしてます。
部屋にはいろんな物が散乱していてその中に何枚かの新聞があります。

新聞その1  <ハリーポッターは選ばれし者か?>
      魔法省は予言を巡って起きた省内での事件についてはノーコメントを貫いている様子。
      世間ではその予言の内容について様々な憶測が飛び交ってます。
      ハリーは選ばれし者で自分たちをヴォルテモートから守ってくれる、という噂もあるようです。
新聞その2  <ファッジ氏の後任にスクリムジャー氏>
      でかでかとスクリムジャーの写真が載っています。(もちろん動いてる)
      記事によるとスクリムジャーは元魔法法令執行局闇祓い事務局長だったらしい。
      スクリムジャーとダンブルドアが話し合いをしたらしいが内容について魔法省はコメントを拒否してます。
新聞その3  <魔法省は生徒の安全を保障>
      魔法省はホグワーツの警備に関りたいらしい。
      この新聞にネビルのおばあちゃんのコメントが載ってました。
      「私の孫のネビルは6月にハリーポッターと一緒に省で死喰人と戦ったのよ・・・」
      って言ってました。
小冊子    <魔法省発行 闇の魔術からあなたの家族と家を守る方法>
      @家に一人でいないこと
      A暗くなったら外出しないこと 
      B盾の呪文や目くらまし術を練習しておくこと
      C死喰人がポリジュース薬で変装してる場合に備えて
       知人間では合言葉を決めておくこと 
      Dおかしな行動をする人は服従の呪文に掛かっている恐れが
       あるので魔法省に通報すること
      E闇の印を見たらすぐ通報すること 
      FInferi(インフェリ?)に注意!

インフェリについてはまだ何なのかこの章では明らかになっていません。

ハリーの時計は10時59分。3日前にハリーはダンブルドアから”次の金曜日に迎えに行くから2人で
隠れ穴に行こう”という内容の手紙を受け取っていました。
今日がその金曜日。
ハリーは7時からずっと窓辺の椅子に座って通りを眺めていましたが今は窓に顔をくっつけて寝てしまっています。
11時・・・突然街灯が一斉に消えてダーズリー家のドアベルが鳴った。ハリーはダンブルドアの来訪を伝えてなかったので、夜中にいきなりひげもじゃの長身黒いマントの魔法使いが自分の家の玄関に現れてダーズリー家固まってしまいました。

ダンブルドアは少々話があるということでリビングに入ってきます。飲み物は出してくださらんようですな・・・みたいなことを言って、自分で杖を振ってマダム・ポンフリー特製の熟成オーク蜂蜜酒を人数分
出します。ダーズリー家は全員この飲み物を飲もうとはしませんでしたが、この後ずっとグラスが”飲んで〜”みたいにダーズリー一家をつついてました。

この時ハリーはダンブルドアの右手がひどく傷ついているのに気づきました。
どうしたのか訊ねようとすると、後で・・と流されてしまいました。

ダンブルドアの話とは・・・
  シリウスの遺言が見つかり、グリモールド・プレイスも含めシリウスの所有品全てがハリーに相続されました。ついでにあのクリーチャーも。ハリーは欲しくありませんでしたが、ハリーが相続しないとシリウスの一番近い親戚のベラトリックスが全てを相続することになると聞いて自分が相続することにします。グリモールド・プレイスは引き続き騎士団の本部として使い、クリーチャーはダンブルドアの提案でホグワーツの厨房で働くことになりました。あと、ヒッポグリフのバックビークは魔法省役人に見つからないようにウィザーウィング(Witherwing)と名前を変えてハグリッドが面倒を見るそうです。

次の話題はダーズリー家へ
 「15年前自分の子供としてハリーを育ててくれるように頼んだのにひどく残酷な育て方をしてくれましたな!」とダンブルドアは説教します。
 「ダドリーのように間違った育て方をされなかっただけ良かったかも知らんが・・」と言われバーノン叔父さんちょっとムカッとしてました。
 魔法界では17歳になると成人なのだそうです。
 ダンブルドアは15年前、ハリーが成人するまで自分の家と呼べる場所に
 帰る限りは安全を保てる魔法を掛けたそうで、来年の夏ハリーが17歳に 
 なるまでもう一度だけここに帰ってくることを許して下さい、とお願い
 もしてました。

ダンブルドアの話は以上。
2人は外に出ていよいよ出発します。さて、どこに行くのでしょうか・・・?

第四章 Hrace Slughorn ホレイス・スラグホーン

 ハリーとダンブルドアは通りを歩いています。
手紙を受け取って以来、待ちに待ったダンブルドアのお迎えでしたが学校外で2人で話などしたことが無かったためハリーは少し気まずさを感じています。(最後に会ったのはダンブルドアの部屋で、ハリーはシリウスの死で取り乱しダンブルドアの部屋の物を投げ散らかして暴れまくった時だし・・・)
さて、通りの端まで来るとダンブルドアは“姿現し”すると言い出します。
ハリーはダンブルドアの腕に掴まって初体験します。
<ハリーの感想>
  真っ暗になってあらゆる方向から圧迫されて息が出来ない!
  鉄のベルトで胸を締め付けられて、目玉は頭の奥に引っ込んで耳は頭蓋骨にめり込んだみたい。硬いゴムのチュ-ブの中をすり抜けてる感じに近いかな〜

2人は小さな村、バドレイ・ベバートン(Budleigh Babberton)に到着します。
今年もまた教師が一人足りないため、退職したダンブルドアのかつての同僚をリクルートしに来たそうです。
その人の家に行く途中ハリーはいくつか気になっていたことをダンブルドアに
質問します。
その1つがインフェリについて。
インフェリとは闇の魔法使いのために働くように魔法が掛けられた死体のことだそうな。ヴォルテモートが全盛だったころ軍隊のように大量に作られたらしい。ゾンビの軍隊・・・怖っっ!!

そして家に到着。
ところが玄関のドアが壊されています。
杖を構えて2人は中に入ります。
部屋の中もめちゃくちゃ。家具は壊れて倒され、床にはガラスの破片が散乱し、壁にはドロっとした赤い液体が飛び散っています。
ハリーはここの住人が誰かにここで襲われて連れて行かれたのだと思います。
しかしダンブルドアは平然として近くに倒れていた肘掛け椅子を杖で刺しました。
「痛っ!」と声がして椅子がはげ頭の巨大な太った老人に変わったのです。
その老人こそがダンブルドアのかつての同僚、ホレイス・スラグホーンでした。

*1章で出てきた新しい魔法大臣のルーファス・スクリムジャーはライオンに
例えられていましたが、このホレイス・スラグホーンはセイウチに例えられて
いました。

スラグホーンはダンブルドア達を死喰人が来たと勘違いしてとっさに椅子に化けて部屋を偽装したそうです。
ダンブルドアとスラグホーンは2人で魔法で部屋を片付け、1杯飲もうと椅子に腰掛けます。(スラグホーンはいやいやでしたが・・・)
2人は少し世間話をした後、ダンブルドアがホグワーツに戻ってこないかと切り出しますがスラグホーンは断りました。
そしてダンブルドアはハリーとスラグホーンを部屋に残し長いトイレに旅立ちました。

ハリーとスラグホーン2人きり、気まずい沈黙・・・
スラグホーンが話し出します。
(ス)「君は父親そっくりだ。」
(ハ)「知ってます。」
(ス)「目は違う・・・」
(ハ)「母さんでしょ?」
スラグホーンは優秀な生徒がお気に入りで、ハリーのお母さんもその1人でした。
自分の寮(スリザリン)に入るように誘ったが断られたらしい。
他にもハリーに写真を見せてお気に入りの生徒の話をします。
この子はグリンゴッツの内部情報を私に教えてくれる、この子は日刊預言者新聞の編集長で私に助言を求めに来る、この子はクィディッチの有名選手でいつでもチケットを送ってくれる・・etc・・・自慢げに話します。
スラグホーンは優秀であれば純血かどうかは気にしない様子。
お気に入りの生徒の中にもリリーを含め数人マグル生まれがいたそうです。
ハリーは彼に“僕の友人はマグル生まれで、学校で一番の成績です。”と話します。

スラグホーンがホグワーツに戻りたくない理由は、学校に戻ると不死鳥の騎士団に入らなければいけないと思っていて、そんな寿命を縮めるようなことをしたくないから。
ハリーはホグワーツの先生はほとんど騎士団のメンバーじゃないし、ダンブルドアが校長でいる限り他のどこよりもホグワーツが安全だと思う。と話します。
ハリーの言葉で心動かされるスラグホーン。
そこに長いトイレからダンブルドアが帰ってきます。
(トイレでマグルの編み物の本を読んでいたそうな。)
そして早々に帰ろうと言い出します。
帰り支度をするハリーとダンブルドアを見てスラグホーンは焦ります。
極め付けにダンブルドアが「引き受けてもらえなくて残念だよ。今ホグワーツにはすばらしく改良された
最も優れた防衛処理がされているが、君なら何時でも遊びに来てくれ。」
と言います。
その言葉でスラグホーンは仕事を引き受けると言い出しました。
ダンブルドア勝利!!

ダンブルドアとハリーは再び姿現しで隠し穴の前にやって来ます。
ハリーの心は躍りますが、ダンブルドアは少し話がしたいと言ってウィーズリー家の箒を保管してある小さな小屋に入ります。

そして初めてハリーにシリウスの死が辛かっただろうと優しい言葉を掛けます。
「君とシリウスはほんの短い時間しか一緒にいれなかった。
 さぞ辛かっただろう・・・」
「シリウスがもう2度と手紙をくれないと思うと・・・」ハリーはそう言うと目頭が熱くなりますが瞬きをして涙を堪えます。
ホグワーツの外でハリーに何が起こっているかをまるで両親の様に心配してくれる名付け親の存在はとても心強かった。そして今、認めたくは無いがふくろうが2度とその心強い便りを運んでくることは無い・・・
ダンブルドアは悲しむハリーに、失ったものは大きすぎるな・・と声を掛けますがハリーは
「くよくよしてる僕をシリウスは望んでいない。人生は短い・・マダム・ボンズやエメリーン・ヴァンスのように次は僕かもしれない。でも僕が死ぬときは出来る限り多くの死喰人とヴォルテモートを一緒に連れて逝く!!」
と健気に言います。

さて、ダンブルドアの話は
@予言の内容は誰にも話してはいけないが、ロンとハーマイオニーには
 話しなさい。ハリーには友達がとても大事だから。
A今年からダンブルドアがハリーに個人授業をする。内容はまだ秘密。
 スネイプの閉心術の授業は終了。
B透明マントは万一に備え常に携帯すること。ホグワーツの中でも必ず。
C隠れ穴にいる間魔法省によって安全が確保されている。危険な行動を
 するとウィーズリー家にも迷惑が掛かるので大人しくしていること。

2人は蜘蛛のうじゃうじゃするする小屋から出ていよいよ隠れ穴に。
やっとロンとハーマイオニーに会えそうです!!


第五章 An Excess of Phlegm 嫌われ者

 ハリーとダンブルドアはいよいよ隠れ穴へ!

家にはウィズリーおばさんとトンクスがいました。
夜中なので他のみんな寝てしまったよう。
トンクスはいつものショッキングピンクの髪ではなく、くすんだ茶色で顔色も悪い。ウィズリーおばさんに何か相談に乗って貰っていた様ですが、ダンブルドアとハリーが来るとすぐに帰ってしまいました。
帰ろうとするトンクスにウィズリーおばさんが週末にルーピンやマッド・アイも来るからみんなで夕飯を、と誘いますがそれも断って去っていきました。
そしてダンブルドアも「ホグワーツで会おう」と言ってさっさと帰ってしまいます。
 
ウィズリーおばさんはハリーに暖かいスープとパンを出してくれます。
2人はスラグホーンのことを話します。
ウィズリーおばさんもおじさんも彼の教え子だったが彼のお気に入りには入らなかったそうです。
「きっとアーサーをお気に入りに入れとくんだったと後悔するわ!」
とおばさんは言います。 
おじさんが昇進したらしい。
The Office for the Detection and Confiscation of Counterfeit
Defective Spell and Protective Objects
(不完全呪文防護用品捜査没収局?)の局長になって10人の部下を抱えているそうです。ヴォルテモートの復活以来とても忙しいそうな。
物騒な時代を利用して偽のお守りや防護用品を作ったり売ったりする人が増えているそうで、おじさんの仕事はそういう物や人を管理することです。
 
いつもはリビングの壁に掛けられていたウィズリー家の時計が今はキッチンの洗濯物入れの山の上にポンと置かれています。その時計の針は全部“死の危機”を指しています。
ヴォルテモートが復活したから魔法使いはみんな“死の危機”にたたされているらしい。
そしてウィズリーおじさんが帰ってきます。
おじさんは魔法省の小冊子に書いてあったことを守って、お互いに合言葉を言うまではドアを開けようとはしません。
おばさんは嫌そうに「あなたの一番の野望は何?」と訊ねるとおじさんは「どうやって飛行機が浮いているのか発見すること。」と答えます。
おじさんは「2人きりのとき私になんと呼ばれたい?」と訊ねます。
おばさん耳まで真っ赤にして「愛しのモリーちゃん・・・」と答えます。
やっとドアが開きおじさんが入ってきました。
ハリーはおじさんに色々仕事の話を聞きますが、もう真夜中・・あくびが出てしまいます。
おばさんはフレッドとジョージの部屋をハリーの部屋として用意してくれてました。
双子はジョークショップのあるダイアゴン横丁で生活しているようです。

次の朝ハリーはロンとハーマイオニーに起こされます。
ハリーはシリウスのことについて話をしたくないしロン&ハーマイオニーは聞きたいけど我慢してるって感じで、感動の再会と言うより3人とも何か気を使いあっているって感じの再会でした。
そこにジニーが機嫌悪そうに入ってきます。
どうやら隠れ穴には女性陣から嫌われている誰かがいる様子。それはフラー・デラクールでした。彼女はウィーズリー家の長男ビルと婚約していたのです。
ロンとハリーは彼女の美しさにうっとりしますが、ハーマイオニーとジニーは、彼女の悪口言いまくり。ウィズリーおばさんも悪口は言いませんが2人の結婚は早すぎると言って反対しています。

ジニーはフラーのことを陰でPhlegmと呼んでいます。直訳すると“痰”。
粘着質のネチャネチャしたのとかネバネバ、くねくね、むんむん・・・たぶん色気たっぷりでフェロモン出しまくってるフラーのことをこう表現しているのですが、果たして日本語訳ではどんな言葉が使われるのでしょうか?

ジニーは最近ウィズリーおばさんがトンクスをよく家に招待するので彼女をビルの結婚相手にしたのではないかと考えています。ジニーもトンクスのほうがいい!って言ってます。
やはりトンクスは最近元気が無く、以前のように七変化も出来なくなってしまったそうです。ハーマイオニーはトンクスはシリウスが死んだのは自分がベラトリックスを倒せなかったからで、その責任を感じて落ち込んでいると言います。
さぁ、トンクスを落ち込ます本当の理由とは一体何なんでしょうか・・・?

ここでジニーは昼食の準備を手伝いに下に降りていきます。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人になり、ハリーは本当に2人に話したかったことを切り出します。
ダンブルドアに聞いた予言の内容を伝えたのです。
ロン&ハーマイオニーはかなりショックを受けますが、ハリーにヴォルテモートを倒す力があるからダンブルドアは予言の内容を話してくれたんだ、君なら出来る!と言ってハリーを励まします。
ハリーは2人に予言の内容を話すと自分を恐れて2人が遠ざかっていくのでは
いかと心配していましたが、今までと変わらずハリーを励まし傍にいてくれる2人を見て素直に感動します。

3人はこの後キッチンに移動。
そこにふくろう3匹到着。OWLの結果が届いたのです!

<ハリー>
天文学;A 
魔法生物飼育学;E
呪文学;E
闇の魔術の防衛学;O 
占い学;P
薬草学;E
魔法史;D
魔法薬学;E
変身術;E

<ロン>
占い学&魔法史は不合格
あと7科目合格
(Oは無し)

<ハーマイオニー>
闇の魔術の防衛術;E
あと10科目O!


O;Outstanding(大変よろしい 優)
E;Exceeds Expectations(期待以上)
A;Acceptable(まあまあ)
ここまで合格ここから下は不合格
P;Poor(良くない)
D;Dreadful(最低)
T;Troll(トロール並み)

ハリーは思っていたより良かった結果にほっとしますが、魔法薬学のEを見てオーラになる夢を断たれたことに心が沈みます。スネイプはO以外の生徒にNEWTレベルの授業を受けさせないと言っていたし、オーラになるためには魔法薬学は必須科目だったからです。
ハリーがオーラに向いていると最初に言ったのは死喰人が化けていたマッド・アイでした。でもハリーは特に予言の内容を聞いてからは自分はオーラになる運命だと感じていました。
ヴォルテモートを見つけ出し倒すことが仕事のオーラの職に就けば自分が生き残るチャンスかもと考えていたからです。


第六章 Draco's Detour ドラコの回り道
 
 ハリーは隠れ穴にいる間、庭先までしか出してもらえずその間ずっとクィディッチをして過ごします。ハリーの周辺では奇妙なことも起こらず平穏でしたが、日刊予言者新聞にはほぼ毎日恐ろしい事件が載っています。
 ハリーの16歳の誕生日にルーピンが嫌なニュースを運んできます。
イゴール・カルカロフが死喰人に襲われて死んだそうです。カルカロフは死喰人から1年以上も逃げ続けていたそうです。シリウスの弟のレグルスはたった数日で見つかって殺されたのに・・・とルーピンが驚いていました。
 その他にもダイアゴン横丁のアイスリーム屋さんのフローリアン・フォーテスキューと杖屋さんのオリバンダーが行方不明になっているそうです。なんだか暗い誕生日になってしまいました。

 次の日ホグワーツから教科書リストが届きます。
この手紙の中にハリーがクィディッチのキャプテンに抜擢されたという知らせが入っていました。これで監督生のロンやハーマイオニーと同じ権限が与えられたそうです。(あの特別浴室も使えるんだって。)
 ウィズリーおじさんの仕事が休みの土曜日にみんな揃ってダイアゴン横丁に行くことになります。
 前日、ビルがハリーのお金をグリンゴッツから下ろしてくれます。
今グリンゴッツでは警備が厳しくなり自分のお金を出すのに5時間も掛かるそうです。「ビルはいつも優しいデ〜ス!」ってフラーがビルにイチャイチャしてました。
 
 土曜日、ウィズリーおじさんは魔法省からまたあの車を借りてきました。ハリーの警護のため魔法省が特別に貸してくれたそうです。「漏れ鍋からはボディーガードも付くよ。」とおじさんが言い、ハリーはオーラの大群に囲まれて買い物なんて・・・と気が重くなります。
 そして漏れ鍋に到着。待っていたボディガードはオーラではなくハグリッドでした。魔法省はオーラを送ろうとしましたが、ダンブルドアがハグリッドの方がいいと勧めてくれたそうです。
 
 さて、ダイアゴン横丁の雰囲気も変わってしまいました。
いつも色鮮やかな商品が飾られていたショーウィンドウには魔法省発行の安全対策のポスターや指名手配の動く写真が張り巡らされ、板付けして店を閉めてしまっているところもちらほら。怪しい商品を売る露天も出ています。
「今日が非番じゃなかったらとっ捕まえてやるのに!」ウィーズリーおじさんは怒ってました。
 ウィズリーおじさん、おばさん、ジニーは本を買いにフローリッシュ・アンドブロッツ書店へ。ハリー、ロン、ハーマイオニー、ハグリッドはローブを買いにマダム・マルキンの洋装店へ、と別行動することになります。
  
 ハグリッドは店の外で待つことにして3人は店内へ。
すると先客がいました。ドラコ、ナルシッサ親子です。ハリーとロンは杖を構えます。
 「もう一度私の息子に手を出したらただじゃ済まないわよ。」
と言うナルシッサにハリーは
 「ご主人のところに行ったら?きっと2人用の監房を用意してもらえるよ。」
と言い返します。
 「私がルシウスに再会する前にあなたは、愛しのシリウスのところに行けるわ。」
とナルシッサに言われハリーは杖を高く掲げますが、ハーマイオニーに抑されます。
 マルフォイ親子はこんな店で買い物したくないと言って店を出て行きました。
マルフォイ親子が出て行った後3人はローブを買い、別行動していたメンバーと合流して薬局とふくろう百貨店に寄ってからみんなでフレッドとジョージの経営すWeasley's Wizard Wheezes(ウィズリーのいたずら専門店)に向かいます。

2人の店のショーウィンドゥは目の眩むような商品が積まれ、飛んだり跳ねたり回ったり光ったり縮んだり・・・
ハリーは見ているだけで目がチカチカしてきます。そしてポスターが・・・

     なぜあなたは例のあの人を恐れるのですか?
     あなたが本当に恐れなくてはいけないのは
     例のウンチ!!
     便秘・・・それは人々を掴んで離さない・・・
     (例のあの人=You-Know-Who例のウンチ=U-No-Poo
ともじって書いてました。こういう駄洒落は訳せない・・・)

 店内は山積みの商品とお客さんでいっぱい。ずる休みスナックボックスや鼻血ヌルヌルヌガーはやはりよく売れているよう。スペルチェック、自動インク、自動回答等いろんな羽根ペンも売られています。惚れ薬が女の子に人気で、人だかりが出来ていました。24時間は確実に効力があるそうです。
その他新しく出てきたのは、
・Reusable Hangman
(ドキドキ絞首刑?絞首刑台に人形がいて間違ったことを書くと首を吊るらしい。)
・Patented Daydream Charms
(白昼夢工房?30分間望み通りの白昼夢が見られる。副作用はボーっとしてよだれが出てくる。)
・Decoy Detonators
(おとり爆弾?誰かから逃げたい時にそっと投げると 離れたところで相手の気を引くいい音を出してくれてその間に逃げられる。)
・Instant Darkness Powder
(瞬間暗闇粉?ペルーから輸入した暗闇を作る粉。)
・Edible Dark Mark
(食べられる闇の印?食べた人を病気に出来る。)
・Guaranteed Ten-Second Pimple Vanisher
(簡単ニキビ消し?10秒で消える。)
・Pygmy Paff
(ピグミー?ピンクと紫の毛むくじゃらの小さなボール。ポンポン跳ねてキーキー鳴く可愛い生物。)

 フレッド&ジョージはハリーには好きなだけ商品を持って帰って良いよと言いますが、ロンからはきっちりお金を取っていました。(ロンはあまりお金を持っていなかったので結局買えませんでしたが・・・)

 そしてハリーは窓の外でドラコが周りを気にしながら一人で歩いているのに気が付きます。ナルシッサがドラコを一人にさせる訳無いし、ドラコは周りを気にしてこそこそ歩いている。これは絶対何かある!とハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は透明マントに隠れてドラコの後を追います。
(3人とも背が伸びてマントに入るのギリギリ!足がちらちら見えそうに。)

ドラコがやって来たのはノクターン横丁にあるボージンアンドバークスと言う闇の魔術に関する品物を売るお店でした。そこはかつてハリーが煙突飛行粉で隠れ穴からダイアゴン横丁へ行こうとして間違って来てしまったお店です。
 3人は店の外から窓越しにドラコが店の主人ボージンに何か話しているのを見ます。ボージンは怒りと恐怖が入り混じったような表情をしています。
幸運なことにロンが伸び耳をポケットに隠していました。伸び耳を使って店内の2人の会話を聞くことに・・・
 どうやらドラコはボージンに何かの修理の仕方を教えるように頼んでるよう。それは動かせない物で、どうやったら修理できるのかを知りたいらしい。また、ドラコは何か店に取り置きしてもらっている様で、今はもって帰れないが誰にも売らずにちゃんと保管しておくように言ってました。ドラコは陰に隠れてボージンに何かを見せて脅したり終始命令口調。ボージンは彼を恐れている様子でした。

 ドラコが店を出て立ち去った後ハーマイオニーが思い切った行動に出ます。マントから出て店に入り、ボージンに話しかけたのです。
 「ドラコに誕生日プレゼントを贈りたいんだけど、彼がもう既に何かこの店で予約して行ったのなら同じ物を買わないようにしなくちゃいけないと思って。彼、何か予約した?」
 その苦しい嘘はすぐにばれて彼女はボージンに店を追い出されます。3人は再びマントに隠れてフレッド&ジョージの店に戻り、3人がいないことに気づいたウィズリーおばさんやハグリッドの前に何食わぬ顔で現れ「ずっと店の奥にいたよ。」と話しますがおばさんは半信半疑でした。


第七章 The Slug Club スラグ・クラブ

 ハリーは残りの夏休み、マルフォイのノクターン横丁での奇妙な行動について考えながら過ごします。ロン&ハーマイオニーはもうそのことについて話し合うのに飽きてしまった様子。
 ハリーはマルフォイがマダム・マルキンの店で腕を触られるのを嫌がっていたことや、ボージンに何かを見せて脅していたことからマルフォイの腕に闇の印が刻印されているのではないかと考えますが、ロン&ハーマイオニーはまだ16歳のマルフィイを例のあの人が仲間にするわけが無いと言ってハリーの考えを否定します。真剣に考えてくれない2人にハリーは少々ご立腹でした。
 
 ホグワーツに出発する日になりました。ウィズリーおじさんがまた魔法省から車を借りてきました。みんなそれに乗ってキングス・クロス駅へ。
 ジニーはフレッド&ジョージの店からピグミーを買ってきてアーノルドと名付けて新しいペットにしていました。
 駅に着くと今度はハグリッドではなく、2人のハゲ頭のオーラがマグルのスーツを着て待っていました。ハリーは2人のオーラに連行されるような格好で9と3/4番線へ向かいます。
 ホームに着くとハリーは隙を見てウィズリーおじさんを柱の陰へ呼び出し、ノクターン横丁でのマルフォイの行動を伝えます。おじさんも16歳のマルフォイが死喰人になるのは無理だろうと言います。マルフォイが修理したい何かについても、ルシウスが捕まった時に彼の家は魔法省によって捜査され、危険なものは全て没収したと話します。「何か見落としてるかも」と言うハリーにおじさんは半信半疑ながら「かも知れんな」とだけ答えます。
この辺で汽笛が鳴り、ハリーは列車に乗り込みます。

 列車の中では予想通り、ハリーに好奇の視線が集まります。日刊預言者新聞にあれだけ書かれていたのである程度予想はしていたもののやっぱり居心地悪そうでした。
 ロン&ハーマイオニーは監督生の部屋に行ってしまい、ハリーはジニーに話しかけますが「ディーンの所に行かなきゃ!」と言って振られます。
ずーっと夏休み一緒にいたから学校ではロンやハーマイオニーのようには一緒に過ごしてなかったことをすっかり忘れていました。何か奇妙なチクチクする様な不快感を感じるハリー・・・
 そこにネビルとルーナがやって来ます。3人はあいているコンパートメントを
見つけ一緒に座りました。
 ネビルは魔法省に行ってあんな無茶をして父親の杖まで折ってしまい怒られると思っていましたが、おばあちゃんは「やっとあなたも父親に近付いたわね」と言って喜び、新しい杖も買ってくれたそうです。ルーナは相変わらず変てこな眼鏡を掛けてクィブラーを読んでいます。ハリーの独占インタビュー以来売れ行きは好調だそうです。

 ハリーはネビルと話をしながら、もしヴォルテモートが予言の一部を聞いた時自分ではなくネビルを選んでいたら2人の運命は入れ替わっていたのだろうか。もしネビルの母さんがヴォルテモートと戦ったときに死んでいたら、ネビルの額に稲妻型の傷が残り、傷の無いハリーはウィズリーおばさんにではなく自分の母親に行ってきますのキスを出来ていたんじゃないだろうか・・・と考えてしまいます。 
 
 お昼近くになり、ロンとハーマイオニーがハリーのコンパートメントに戻ってきます。マルフォイが監督生の仕事を放棄したらしく、集まりに来ないで自分のコンパートメントで他のスリザリン生と座っていたそうです。去年まであんなに監督生の権限を乱用して下級生いじめを楽しんでいたのになぜ?とロンは不思議がっていました。
 しばらくすると知らない下級生がハリーとネビルにスラグホーンに頼まれたと言って手紙を届けに来ます。それは昼食を一緒にと言うお誘いでした。
 ハリーとネビルはスラグホーンのコンパートメントに向かいます。
通路をハリーが歩くとみんなじろじろ見てきて、わざわざ自分の席から体を乗り出して見てくる生徒もいます。しかしそんな中、チョウ・チャンはみんなとは逆にハリーを見かけるとコンパートメントの中に戻りマリエッタと話をします。マリエッタの顔にはまだ例の吹き出物の痕が残っていました。

ハリーとネビルがスラグホーンのコンパートメントに着くと、既に何人かの生徒が来ていました。その中にはジニーも含まれていました。

 〈招待客〉 
○ブレーズ・ザビニ(Brase Zabini);スリザリン
 母親が有名な美しい魔女で、彼女は7回結婚して全ての夫が彼女に巨額の遺産を残して謎の死を遂げた。
○コーマック・マックラガン(Cormac McLaggen);グリフィンドール 
 叔父のチベリウスがスラグホーンの友人で、チベリウスはバーティ・ヒッグスやルーファス・スクリムジャーと友人。
○マーカス・ベルビー(Marcus Belby);レイブンクロー
 叔父のダモクレスがスラグホーンの教え子で、彼はトリカブト薬を発明しマリーン勲章を受賞した。 

 ネビルは両親が死喰人と戦った有名なオーラだったから、ジニーはたまたまザカリアス・スミスにコウモリ鼻糞の呪いを掛けているところをスラグホーンに見られ、‘素晴らしい呪文だ!’と評価されそのまま部屋に連れて来られたらしい。
 スラグホーンはハリーを‘選ばれし者’ともてはやしますが、ジニーとネビルは魔法省での事件の時自分達もその場にいたが、予言なんて聞いたことも無いし‘選ばれし者’もいつもの日刊預言者新聞のガセネタだとスラグホーンに
話します。
 スラグホーンはかつての優秀な魔法使いの多くが、ホグワーツで自分を中心とする‘スラグ・クラブ’と呼ばれるクラブに入っていたと自慢し、延々と話し続けます。ついには太陽が傾き列車内が薄暗くなり、やっとハリーたちは解放されます。

ハリー、ネビル、ジニーはザビニの後ろを歩きコンパートメントに戻ろうとしますが、この時ハリーにある考えが浮かびます。
 ザビニはスリザリン生でマルフォイの仲間。ザビニはマルフォイのいるコンパートメントに戻る。ザビニがコンパートメントに入る時こっそり付いて行くことが出来ればマルフォイが何をしようとしているのか聞けるかも知れない・・・ハリーは常に携帯している透明マントをかぶりその考えを実行します。
 ザビニの後ろに付かず離れず付いて行き、コンパートメントに入ろうとしますが少し間に合わず、閉まろうとするドアを足を挟んで妨げて何とか中に入ります。ハリーは荷物棚の上へ。マルフォイがハリーのいる方をじっと見ていたのでドキッとしますがこの場は何とか潜入成功。
 コンパートメントにはマルフォイ、パンシー・パーキンソン、ビンセント・クラッブ、グレゴリー・ゴイル、そしてザビニがいました。マルフォイはパンシーの膝枕で横になり頭をなでなでしてもらっています。スラグホーンに招待されなかったらしく、「きっと僕がこの列車に乗っていることを知らなかったんだな」なんて話していました。
 マルフォイはみんなに来年自分はホグワーツには来ないと話します。闇の帝王はOWLやNEWTの成績ではなく彼への忠誠心の強さや実力だけを見るだろうから、学校の勉強なんかより彼の望むことをすると言います。それを聞いた面々は少々ビビリ気味。そして列車はホグワーツに近付きます。
 ハリーはマルフォイの行動を監視するのに気を取られ、ゴイルが荷物棚からトランクを取ろうとしたのに気付かず、思い切り頭をトランクにぶつけてしまいます。その音に気付いたマルフォイが棚を見上げて眉をひそめますが、そのまま旅行用マントに着替えます。
 列車が駅に到着しみんながコンパートメントから出て行くとマルフォイはちょっとやることがあるからと言って一人コンパートメントに残ります。ハリーはマルフォイは一人になってあのノクターン横丁で話していた謎の品物を出すのかとドキドキして見ていると・・・「ペトリフィカス・トタルス!石になれ!」と突然ハリーに向けて呪文を唱えました。全身麻痺して動けなくなったハリーは四つんばいの姿勢のまま背中から床に墜落。マルフォイの足元で透明マントもはだけてしまいました。
やはりマルフォイはゴイルのトランクがハリーの頭に当たる音を聞き感付いていたのです。
 マルフォイはハリーの顔を思い切り踏みつけ、ハリーは鼻が折れ血が飛び散ります。そして動けないハリーに再び透明マントをかぶせ、列車がロンドンに戻るまで誰にも気付かれないようにします。床に倒れるハリーの指を踏むように気を付けてマルフォイはコンパートメントを出て行きました。


第八章 Snape Victorious スネイプの勝利
 
  ハリー透明マントの下で声を出すことも出来ません。ダンブルドアや他の魔法使いが呪文を口に出さずに魔法を使っていたのを思い出し、頭の中で「アクシオ!杖よ来い!」と何度も唱えますが何も起きません。
 ついに列車は大きく揺れ、エンジンが動き出しました。
 その時ハリーはマントが取られるのを感じ頭の上で声がします。
「こんにちは、ハリー。」赤い閃光が走りハリーの体は動くようになりました。
そこにいたのはトンクスでした。
 話をする暇もなく列車が動き出したので2人は急いで窓からホームに飛び降ります。トンクスは隠れ穴で会った時と同じく、悲しげな表情で髪の毛もネズミ色でした。
 彼女は「エピスキー!鼻血よ止まれ!」と呪文を唱えハリーの鼻血を止めてくれます。また守護霊を出してホグワーツにハリーが見つかったと伝言を送ります。
(彼女の守護霊は巨大な4本足の銀色の生物、としか書いてません。何だろう?)
 ハリーとトンクスはホグワーツに向けて歩き出します。いつもセストラルに乗って通っていたので歩くと結構な距離のようです。
 トンクスはプラウドフッド、サヴェージ、ドーリッシュと共にホグズミード駅の警備にあたっていて、ハリーが列車から降りてこないので様子を見に来てハリーを見つけてくれたそうです。
 トンクスは相変わらず長い道中暗ーい雰囲気。ハーマイオニーは「シリウスはトンクスのせいで死んだんじゃない」と慰めの言葉を掛けろと言っていたがハリーは誰ともシリウスの話をしたくなかったので何も言わずただ黙々と歩きます。

 やっとホグワーツに到着。しかし門には鎖と南京錠でしっかりと鍵が掛けられています。ハリーは鍵に向け「アロホモラ!鍵よ開け!」と唱えますが効果なし。この夏にホグワーツの進入防止魔法が100倍に強化されたそうです。
 そのとき城の入り口から手提げ灯の明かりが近付いてくるのが見えました。ハリーはフェルチのどんな叱責や拷問にも耐えられると思うほど嬉しかったのですが・・・・迎えに来たのはフェルチではなくスネイプでした。
 スネイプは制服に着替えていないハリーに学期早々嫌味をネチネチ。トンクスにも「私といればポッターは安全だから君はもういい」と言って追い返そうとします。
 トンクスはハグリッドに話があると言いますが、ハグリッドも遅れていてまだホグワーツに着いていないそうです。スネイプはトンクスの守護霊についても弱そうだと嫌味を言います。
(新しいのは弱そうだ、前のほうが強そうだったと言っていたのでトンクスは外見だけではなく守護霊も変わってしまったようです。)
 
 ハリーとスネイプは2人で城に向かって歩き出します。ハリーはスネイプの背中を見て憎悪の念が込み上げてきます。
 不死鳥の騎士団が魔法省でヴォルテモートと戦っている間シリウスは安全なグリモールドプレイス12番地にいた。なのにスネイプがそこに行きシリウスに卑劣で悪意に満ちた言葉を掛けたために、シリウスはそこを飛び出し魔法省に来て死んでしまった。ダンブルドアが何と言おうとハリーはスネイプが許せませんでした。
 スネイプはハリーの遅刻と制服に着替えていないことで、グリフィンドールから減点します。ハリーは旨が爆発するかと思うほど激怒しますがここは何とか黙って堪えます。
大広間に入るとみんなハリーに気付き注目します。
ハリーは早足でロンとハーマイオニーの所へ。ハリーの顔を見た2人は驚きます。
まだ血だらけだったようです。(そりゃみんな注目するわ(^^;)
ハーマイオニーに呪文で綺麗にしてもらってすっきり。ロンもハーマイオニーもなぜ遅れたのか訊ねますが、ジニー、ネビル、ディーン、シェーマス、ほとんど首なしニックまで聞き耳を立てているので後で話すことに。
 ハリーが夕食を取ろうとするとチキンやポテトは消えて、もうデザートが出てきてしまいます。ハリーは食事と組み分け式を逃してしまったようです。組み分け帽子は去年と同様、みんなで結束して敵に立ち向かうようにアドバイスしていたそうです。
 先生達の席を見ると遅れていたハグリッドも到着していました。いつもはこの式に出てこないトレローニー先生も珍しく、今日はいつもの変な服装で座っていました。
 しばらくするとダンブルドアのスピーチが始まりました。この時ダンブルドアの傷ついた手にみんな気付き囁き声が大広間に広がりますが、ダンブルドアは「心配することは無い」と言って手を隠します。

 さて、ダンブルドアの話によると、ウィーズリーのいたずら専門店で買った商品は全てフィルチの使用禁止リストに載せられたらしいです。また、現在クイディッチの解説者と選手を募集しているので希望者は各寮の寮長に申し出ること、だそうです。
 そして、新しい先生スラグホーンが紹介されます。ところが!彼の担当は魔法薬学。闇の魔術の防衛術ではありませんでした。・・・ということは・・・それまで魔法薬学を教えていたスネイプがついに闇の魔術の防衛術の職を手に入れたのです。ハリーは思わず「NO!!]と叫んで立ち上がってしまいます。
夏休みにダンブルドアとスラグホーンの家に行った時の記憶をたどりますが確かにダンブルドアはスラグホーンに闇の魔術の防衛術を教えてもらうとは一言も言ってませんでした。
 ハリーは落胆・・・でもいい考えが浮かびます。闇の魔術の防衛術の職のジンクスで、誰も1年以上はその職を続けられない。スネイプもクイレルの様に死ねばいいのに・・と言ってハーマイオニーに咎められていました。
 ダンブルドアは今は言葉では言い表せないくらい危険な状況なので、みんなもくれぐれも注意して友達同士お互いの安全を一番に考えて常に行動するようにと話して宴は終わります。

 ハーマイオニーは監督製として1年生を先導して大広間を出て行きますがロンはハリーと一緒にいます。みんなが大広間を出て行き誰もいなくなったところで、ハリーは列車内での出来事をロンに話します。マルフォイが話していたことを聞いてもロンは「パーキンソンの気を引くためにでかいことを言ってるだけだろう」と言って、やはりハリーの考えには賛同してくれません。
 そこにハグリッドがやって来ます。ハグリッドの遅刻の原因は異父弟のグラウプでした。
ダンブルドアがグラウプのために新しい住居としていい洞穴を見つけてくれたらしく、そこに引越ししてハグリッドと2人で楽しく会話していたそうです。
ハグリッドはグラウプが確実に成長しているので将来自分の助手にしようと考えているそうです。
 そしてハグリッドは「明日の授業で会おう」と言って森へ帰っていきます。
 実は・・・ハリーもロンもハーマイオニーも彼の授業は今年取ってないのです。
ハグリッドがこのことを知ったら何と言うだろう・・ハリーもロンもハグリッドが
受けるショックを思うと気が重くなるのでした。



第九章 The Half-Blood Prince 混血のプリンス

  ハリーは翌朝ハーマイオニーにマルフォイが列車内で話していたことを伝えますが、やはりロンと同じことを言ってハリーの考えを認めてくれません。
 昨夜のハグリッドとの会話の話になるとハーマイオニーも気が重くなり、朝食の時明るく手を振ってくるハグリッドに3人は目をそらしながら気の無い挨拶をしてしまいます。
 
 さて、朝食の後みんなそれぞれの寮監の所に行って時間割をもらいます。グリフィンドール生はマクゴナル先生の所へ。
 ハーマイオニーは呪文学、変身術、闇の魔術の防衛術、薬草学、魔法薬学、古代ルーン文字、数占いを履修します。 ネビルは変身術を取りたかったのですが、‘Acceptable まあまあ’では
不可だと言われ落ち込みます。結局‘Outstanding 大変よろしい’だった薬草学と‘Exseeds Expectations 期待以上’だった闇の魔術の防衛術と呪文学を取るようになりました。ハリーとロンは、呪文学、闇の魔術の防衛術、薬草学、変身術、そして魔法薬学を履修します。スネイプは‘Outstanding 大変よろしい’の生徒しか教えないと言っていましたが先生がスラグホーンに変わったので‘Exseeds Expectations 期待以上’でも受け入れてくれるそうです。これでハリーはオーラになる夢を諦めずにすみました。
 ハーマイオニーは相変わらずたくさんの教科を取っていますが、ハリーとロンは教科が減った分少し自由時間が出来たようです。

 その日の午後3人は始めてスネイプの闇の魔術の防衛術の授業を受けます。教室に入ると部屋はまたスネイプ仕様に模様替えされていました。カーテンが閉められ今までより薄暗い部屋の壁には、何枚も写真が掛けられています。
それらの写真は全てぞっとするようなものばかりで、恐ろしい怪我をしていたり体が不自然に捻じ曲げられたりしていて、写っている人はみんな苦痛に歪んだ表情をしています。スネイプはそれらの写真を指し、闇の魔術の防衛術を身に着けないとこうなるんだと話します。(趣味悪〜(^^;)
 さて、この日の授業はNon-Verbal;無言呪文について。無言呪文とは、呪文を口に出さずに魔法を掛けること。杖をかざし、頭の中で呪文を唱えます。
全ての魔法使いが出来る技ではないらしく、強い精神力とかなりの集中力が必要だそうです。
 みんな2人ずつペアになって、1人は攻撃、1人は盾の呪文をそれぞれ練習します。10分ほどすると、ネビルと組んでいたハーマイオニーはネビルがささやいて掛けた呪文を無言呪文ではね返します。普通の先生ならここでグリフィンドールに20ポイントもらえるところですが、やはりスネイプは無視します。
 ハリーはもちろんロンとペアになり練習していたのですが、攻撃担当のロンは無言呪文では攻撃することが出来ず、ハリーはずっと待っている状態でした。そこにスネイプがやって来ます。「見本を見せてやろう」と言ってハリーに杖を向けます。ハリーはスネイプのその動きに反射的に自分の杖を構え「プロテゴ!防げ!」と叫んでしまい、スネイプはその盾の呪文でバランスを崩し机にぶつかります。「無言呪文の練習だと言うことを忘れたのか!」と言うスネイプにハリーは口答えしてしまい、今年初めての罰則を食らいます。

 スネイプの授業が終わり、ハリー、ロン、ハーマイオニーが廊下を歩いているとジャック・スロパーがハリーに手紙を届けに来ます。その手紙はダンブルドアからで「土曜の夜に初めての個人授業を始めます。8時に私の部屋に来てください。」と書いてありました。
 個人授業の内容とは?
 ロンは死喰人も知らないような恐ろしい呪いの魔法じゃないかと言いますがハーマイオニーは、そんなことは違法だからきっと超強力な盾の呪文だと言います。

 その後3人はスラグホーンの魔法薬学の授業を受けに地下の教室へと向かいます。NEWTレベルに進めた生徒は少なかったようで、スリザリンとレイブンクローからそれぞれ4人、ハッフルパフはアーニー・マクミリアンただ1人、グリフィンドールはハリー達3人だけでした。クラッブとゴイルは落としていましたが、マルフォイは合格していました。
 ハリーとロンはスラグホーンに事情を話し、教科書と天秤を彼から借ります。どちらも予備として置いてあった物のようで、使い古されてボロボロの物でした。
 教室にはスラグホーンが調合したいくつかの薬が大鍋から湯気を立てて置いてありました。授業が始まりスラグホーンは、まずその薬が何なのかみんなに訊ねます。ここはもちろん全てハーマイオニーが答えます。スラグホーンは彼女の博識に感動し、グリフィンドールがかなりのポイントを稼ぎました。
 
 その薬の中に、アモーテンティアと言う強力な惚れ薬がありました。
ハーマイオニーの説明によると、その薬の特徴の匂いは、好みによって人それぞれ違った匂いがするそうです。ハーマイオニーには乾燥草と新しい羊皮紙の匂いがしたそうですが、ハリーには糖蜜タルトと箒、それに隠れ穴でかいだことのある花のようなにおいがしたそうです。

 そして最後に登場した薬がフェリックス・フェリシスです。これは幸運をもたらす薬で、飲むとやることなすこと全てうまくいくらしい。スラグホーンは今までに2度飲んだことがあるそうで、どちらもサイコーの一日になったそうです。
 スラグホーンは今日の授業で一番うまく薬を調合できた者にこのフェリックス・フェリシスの入った小瓶をプレゼントすると言い出します。課題は‘Draught of Living Death'。
(何の薬かよく分からない・・・悲惨な生活薬・・・?)
 とても調合するのが難しい薬だそうで、誰も完璧には作れないだろうから
一番近く作れた者にプレゼントすると言います。「さぁ、始めて!」のスラグホーンの声でみんな一斉に調合に掛かります。
フェリックス・フェリシス欲しさにみんな必死。今までスラグホーンの話を全く聞いていなかったマルフォイまでも、わき目も振らずに集中しています。
 作り方は教科書に載っているので、ハリーもスラグホーンから借りたボロボロの教科書を見て作ります。
 ところが、ハリーの借りた教科書には前の持ち主がいろんな落書きをしています。教科書の文章を黒く塗りつぶし、新しい指示を自分で書き込んでいるのです。教科書の文章を読むのにも一苦労。
 そして、ハリー達が今作っている薬のページにもいろんな書き込みがしてあります。教科書には‘切る’と書いてあるところを‘つぶす’と書き換えたり、‘左回りにかき混ぜる’を‘左回り7回につき右回り1回かき混ぜる’と書き直したり。ハリーは教科書どおりに作ってもうまく出来なかったので、この前の持ち主の指示に従ってみます。すると効果覿面!!ハリーの薬は見本と全く同じものに仕上がったのです。
 こうしてハリーはフェリックス・フェリシスを手に入れます。スラグホーンは君の母親の魔法薬学では優秀だったから、その母親譲りの才能があると言ってハリーにますます好感を持ちます。
 授業の後、ハーマイオニーはその教科書を取り上げ「スペシアリス・リベリオ!魔法よ解けろ!」と唱えますが何も起こりません。結局ただの本だということになります。
 そこにジニーが現れます。(ハリーはこの時、アモーテンティアの匂いと同じ匂いを感じます。・・といことは・・)
ジニーはリドルの日記の経験があるので、訳の分からない本の指示に従うことに反対します。
 ハリーは誰も見ていないところで、本の一番後ろのページを開くとそこには前の持ち主の筆跡でこう書いてありました。

 ‘この本の持ち主は、混血のプリンスである’


第十章 The House of Gaunt ガウントの家

 ハリーはその後魔法薬学では、教科書ではなくプリンスの書いた指示に従って調合し続けます。そのお陰でハリーの得意科目は闇の魔術の防衛術から魔法薬学へと変わります。
 面白く思わないのはハーマイオニー。彼女はどんなにハリーが勧めても、断固として教科書の‘公式の’指示に従います。ハリー、ロン、ハーマイオニーはこのプリンスの正体が誰なのか気になり始めますが手がかりはゼロ。各教科で莫大な量の宿題が出ていたこともあって、プリンスが誰なのかの討論はいつも中途半端で終わってしまいます。

 そして、今日は土曜日。ダンブルドアとの初めての個人授業の日です。ハリーは8時5分前にロン、ハーマイオニーと分かれて1人校長室に向かいます。
 校長室に向かう廊下でハリーはトレローニーを見かけ、とっさに隠れます。彼女はトランプを持ってぶつぶつ言いながら歩いています。「スペードの2・・戦い、スペードの7・・不吉な前兆、スペードの10・・暴力、スペードの11・・依頼者の嫌いな元凶の少年・・・」と占いながら去っていきました。この占いの意味は・・・?
 
 ハリーは校長室に到着。ダンブルドアの部屋にはいつものように細かい器具が並び、特に何かの練習をするために部屋を片付けた様子はありません。
 そわそわしているハリーにダンブルドアは、個人授業の目的はヴォルテモートがなぜ躍起になってハリーを殺そうとするのかを探ることだと言います。事実の固定観念から抜け出し、人の記憶の中を旅してヴォルテモートの過去を知り、想像を働かせて彼の本当の考えを探り出そうと言います。
 ダンブルドアはペンシーヴを出してきて魔法法令執行局長だったボブ・オグデンの記憶を中に注ぎます。そしてハリーとダンブルドアの2人は彼の記憶の中へ・・・


<ボブ・オグデンの記憶の中>
 オグデンは変てこなマグルの衣装(ストライプの全身水着の上にフロックコート!)を着た背の低い丸々太った男で、高い生垣に囲まれた田舎道に1人立っていました。
 彼は道端の標識を見て、‘リトル・ハングルトン’と言う村の方向へと歩いていきます。村が見えてくると彼は道をそれ、林の中へと進み、高い木に囲まれた薄暗い林の中にボロ小屋を見つけます。誰も住めないと思われるほどボロボロの家でしたが、開いた窓からは煙や蒸気が出ていて、入り口のドアには蛇の死骸が打ち付けられていました。
 オグデンが入り口のドアに近付こうとすると、木の上から男が降ってきました。
その男は片手にナイフ、もう片手に杖をかざし「ここはお前の来るところではない。」と言います。しかしオグデンは彼の言っている事が聞き取れない様子。
ハリーにははっきり聞こえたので不思議に思っていると、その男はパーセルマウスで話していたのです。
 男はオグデンに何か呪文を掛けて、オグデンの鼻から黄色い膿のような物が出てきて止まらなくなります。そこに「モルフィン!」と声がしてもう一人年配の男が家から出てきます。
 年配の男とモルフィンと呼ばれた若い男は親子で、どちらもボロボロの服を着ていて髪の毛もぼさぼさです。年配の男をオグデンはガウントさんと呼んでいました。
 モルフィンがマグルの前で違法に魔法を使ったため、魔法省からオグデンがこの家にやって来たようです。オグデン、モルフィン、ガウントの3人は家の中へ。ハリーとダンブルドアも着いて行きます。
 狭くて汚い家の中にはもう1人ガウントの娘、メロウプがいました。メロウプはスクイブだそうで、父親や兄と同じようにボロ布を着て陰気な顔立ちでした。
 オグデンがモルフィンは魔法省の尋問会に呼び出されていると話すと、ガウントは激怒します。ガウントはオグデンに2つの物を見せて、自分達は古くから続く
純血の一族だと主張します。
 ガウントが見せた2つの物とは、黒い石に紋章が彫られた金の指輪と、スリザリンの金のロケットでした。ガウント家はサラザー・スリザリンの最後の子孫にあたるらしく、ガウントはその証としてこの2つの者をオグデンに見せます。「分かったらさっさと帰れ!」と言うガウントにオグデンは「先祖が誰であっても違法は違法だ」と反論します。

 ガウントとオグデンがそんな口論をしていると、開いている窓の外から馬の蹄の音と人の笑い声が聞こえてきます。若いマグルのカップルが馬に乗って散歩しているようで、会話の内容からして2人は恋人同士のようです。
 2人が行ってしまった後、モルフィンがメロウプに「あのマグルには恋人がいたんだな。残念だね〜」みたいなことを言います。メロウプは馬に乗ってよく家の前を通るハンサムなそのマグルに恋をして、毎日窓の外を見ていたそうです。
 ガウントは純血を誇る自分の娘がマグルに恋をしていると聞いて激怒します。家族間の会話は全てパーセルマウスのためオグデンには何が起きているかさっぱり分からない様子。しかし何かを叫びながら娘に飛び掛かろうとしたガウントをオグデンが魔法で跳ね飛ばし、怒りの矛先はオグデンにも。
 ここでオグデンは命からがら小屋から逃げ出し、ダンブルドアとハリーも彼に続いて小屋を出ます。小屋からはメロウプの悲鳴が響いてきました。

 
 ハリーとダンブルドアはダンブルドアの部屋へと帰ってきます。ハリーはメロウプがあの後どうなったのか気になりダンブルドアに訊ねます。
 ハリーとダンブルドアの帰った後オグデンはすぐに強化部隊を連れて小屋に戻り、モルフィンとガウントはウィゼンガモット移され、モルフィンはマグルを魔法で襲った罪で3年、ガウントはオグデンを含めて魔法省役人を多数負傷させた罪で6ヶ月、それぞれアズガバンに送られたそうです。
 そしてそこでハリーはダンブルドアから、ガウント名前がマールボロであることを聞かされます。マールボロ・ガウント、彼はヴォルテモートの祖父だったのです。そして、メロウプは母親、あのメロウプが恋していたマグルが父親だと言います。
 ハリーはとてもあのハンサムなマグルが、ぱっとしないメロウプと恋に落ちて結婚することになるとは考えられません。
 ダンブルドアの話によると、メロウプはマールボロとモルフィンがアズガバンに送られ、人生で初めて2人の束縛から離れ自由になった。彼女は2人の脅威のため充分に発揮できていなかった魔力を使い、18年間の絶望的な生活から逃げ出そうとした。
ある暑い日、彼女は1人で馬に乗って通りかかったトム・リドルに惚れ薬を入れた水を飲ませ2人で駆け落ちした。そして妊娠し、彼女はなぜかトム・リドルに惚れ薬を飲ませ続けることを止めてしまった。その結果、トム・リドルは実家に帰り彼女は1人でヴォルテモートを生んだ。なぜ惚れ薬を飲ませるのを止めてしまったかは謎だが、ダンブルドアはメロウプは本当に深くトム・リドルのことを愛していたから魔法を使って彼を繋ぎとめておくことに耐えられなくなった、あるいは
トム・リドルも自分のことを愛してくれていると思い始めた、あるいはトム・リドルが赤ちゃんのために自分の元に残ってくれると思った・・と考えているようです。
 マールボロはアズガバンから戻ると、自分の娘がマグルと駆け落ちしたことを知りショックでモルフィンがアズガバンから帰ってくる前に死んでしまったそうです。
 
 ここまで話すとダンブルドアは今日の授業は終了と言います。ハリーは今日の授業の内容をロンとハーマイオニーにだけ話す許可をもらい部屋を出ようとします。
 そしてドア付近まで来た時、テーブルの上に黒い石の付いた金の指輪を見つけます。その指輪は記憶の中でマールボロがオグデンに見せていたあの指輪でした。
ダンブルドアはこの指輪を手に入れる時に、手にあの傷を負ったといいます。
詳しく話を聞こうとするハリーにダンブルドアは、「もう遅いから別の時に話そう」と再びごまかされてしまいました。


第十一章 Hermione's Helping Hand ハーマイーニーの救いの手

 ハリー達6年生は自由時間は有るものの、おびただしい量の宿題と授業そのものが難しくなったお陰でゆっくり過ごす時間はほとんどありません。
 ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人も宿題と無言呪文の練習に追われてハグリッドを訪ねる時間をなかなか見つけることが出来ませんでした。ハグリッドは3人が自分の授業を取っていないことに気付き、廊下やグラウンドですれ違っても3人に気付かないふりをして行ってしまいます。
 ちゃんと話をしなくては!と言うことで土曜日にクイディッチの選手選考会が終わってから訪ねることにします。
 
 グリフィンドールのクイディッチチームの選手募集には予想以上の応募があったようです。ハリーが驚いているとハーマイオニーはそれはハリーに好感を持つ人が増えたからだと言います。みんな今ではハリーが嘘つきなんかではない事を認めていて、ヴォルテモートが本当に復活し、この2年でハリーは2度も彼と直接戦って生き残っている。みんながハリーを‘選ばれし者’と呼び男性として人気が出てきたと言うのです。

 土曜日の朝、郵便ふくろうが到着します。ハリーは今年学校が始まって初めてヘドウィックから包みを受け取ります。それはフローリッシュ・アンド・ブロッツから届いた新しい魔法薬学の教科書でした。
 これであの落書きだらけの教科書を返せるわね、と喜ぶハーマイオニーを尻目にハリーは新しい本とプリンスの本の表紙だけを入れ替えて、一見古そうに見える新しい教科書をスラグホーンに返します。
 ハーマイオニーには日刊預言者新聞が届けられます。新聞によると、ナイトバスのコンダクターのスタン・シュンパイクが死喰人の容疑で逮捕されたそうです。
どうやら彼はパブで知ったかぶりをして死喰人がどうのこうのと話していたのを聞かれて死喰人だと間違われ、捕まってしまったようです。魔法省は少しでも疑わしい魔法使いは自分達がちゃんと働いていることを証明するために、どんどん逮捕していってるようです。

 ホグワーツでも子供の安全を心配する親達が子供を家に連れて帰ろうと迎えに来ていて、既に何人かは連れて帰られたようです。パチルの双子も両親が迎えに来ましたが、彼女たちは何とか連れて帰られずに残ることが出来たようです。ハンナ・アボットは母親が殺されてしまったそうで、それ以来学校には来ていません。相変わらず世間では物騒な事件が続いている様です。
 唯一、ダンブルドアに守られて安全だとされるホグワーツでも、ダンブルドアはいつもどこかに出かけていて留守にしています。彼も何かの仕事に追われている様です。

 その後3人はクィディッチの選手選考会のためグラウンドに向かいます。その途中、ラベンダー・ブラウンがロンに笑いかけ、ロンも嬉しそうに笑い返したのを見て、ハーマイオニーが不機嫌になります。彼女はロンに激励の言葉も掛けずに観客席へと行ってしまいました。
 クィディッチ選手選考会、ハリーのキャプテンとしての初仕事です。
 とにかく応募してきた人数が多いので、ハリーは10人ずつのチームに分けそれぞれ見ていきます。
 最初の10人はみんな1年生で、箒に乗ることさえ出来ませんでした。
 次の10人は女の子ばかりで、みんなハリーが動く度に黄色い声ではしゃぐだけでした。
 次の10人は飛んではみたものの、お互い衝突ばかりしていましたし、次の10人はみんな箒を持たずに来ていました。そしてその次の10人はみんなハッフルパフ生でした。
 2時間後ハリーは何とか3人のチェイサーを決めました。去年もチームにいたケイティ・ベルと、新人のデメルザ・ロビン、それにジニーです。
 その後同じような選考を繰り返して、ようやくビーターも決まります。
フレッドとジョージ程の素晴らしい選手ではなかったようですが、ジミー・ピークスと、コントロールのいいリッチー・クートでした。

 そしていよいよキーパーの選考が始まります。最初の5人は5ゴール中2ゴールしか止められませんでしたが、コーマック・マックラガンは4ゴールを止めます。最後のゴールでは完全に
逆方向に飛んで入れられてしまい、みんなに笑われていました。
 そしてロン。ロンはなんと5ゴール全てを止めたのです。これでキーパーはロンに決定!
 マックラガンはハリーのところに、シュート役のジニーがロンのときだけ本気でシュートしていなかったからもう一度やらせてくれ、と文句を言いに来ますがもちろんハリーは拒否します。

 選考会の終わった3人はハグリッドの小屋へと向かいます。
 道中、ロンはずっとハリーとハーマイオニーに自分が止めたゴールの話を興奮気味に語ります。
 「マックラガンの奴、最後のゴールではまるで混乱呪文に掛かってるみたいに全く逆方向に飛んでさ〜」と言うロンの言葉にハーマイオニーの顔が真っ赤になります。
 ロンは自分の武勇伝を話すのに夢中で気付いてはいませんでしたが・・・


第十二章 Silver and Opals 銀とオパール

  ハリーは次の2週間でダンブルドアの姿を2〜3回しか見ませんでした。食事のときも現れないし、相当忙しいようです。個人授業のことは忘れられてしまったのかと少し見捨てられたような気がしてきます。
 10月も中旬になり、今年最初のホグズミードへの旅の日になりました。ハリーはその日の朝かなり早く目が覚め、ベッドの上でプリンスの教科書を読むことにします。教科書には薬の調合の仕方もたくさん書いてありましたがそれ以外にも、プリンスが自分で考え出したと思われる呪文や呪いの言葉もたくさん書いてありました。
 例えば、足の指の爪が驚異的に早く伸びる呪文。(ハリーはクラッブにこの呪文を試してみた。面白い結果になったらしい。)舌が上唇にくっ付いてしまう呪文(これはフィルチに2度使ってみた。結構便利のようです。)そして一番便利だったのが、マフィリエート。これは近くにいる人の耳に雑音が聞こえるようにする呪文で、これを使えば授業中でも誰にも聞かれずにお喋りが出来ました。
 教科書を読んでいると、‘レヴィコーパス(無言)’と言うメモを見つけます。(無言)とは無言呪文のことだろう。ハリーは未だに無言呪文をうまく掛ける事が出来なかったが、それが何の呪文か気になり、適当に杖を構えて頭の中で‘レヴィコーパス!’
と頭の中で唱えてみます。
 「わーーーーーー!!」閃光が走り、部屋の中にはロンの悲鳴が響き渡ります。ロンは何かに吊られているように、上下逆さまになって宙に浮いてしまったのです。ハリーは慌てて教科書をめくり、解除の呪文を探します。さっきの呪文の下に書いてあった呪文を唱えるとロンがベッドの上にドスンと落ちました。
 ロンはこの呪文が面白いと思ったらしく、朝食の時ハーマイオニーに嬉しそうに話します。
 ハリーはこれと同じ呪文を、昔父親のジェームスがスネイプに掛けていたのを思い出し、もしかしたらプリンスはジェームスかもと考えますが、彼は純血だったことを思い出します。そしてハーマイオニーは、クィディッチのワールドカップの時に死喰人達が同じ呪文を使っていたと言い出します。
 そこにジニーがハリーへの手紙を預かってきたと言って現れます。それはダンブルドアからの手紙で、次の個人授業を月曜の夜に、と書かれていました。
 彼に見捨てられていなかったと分かったハリーは幸せな気分になり、そこにいたジニーに「一緒にホグズミードに行こう」と誘いますが、ディーンと行くからむこうで会いましょう、と言ってあっさり断られます。

 朝食の後3人はホグズミードへ。ホグワーツの入り口ではフィルチが入念に全員の持ち物検査をしています。どうやらホグワーツには、危険な物を持ち込むことも、持ち出すことも難しいようです。
 外に出ると、強い風と雪で歩くのも辛い天気でした。やっとの思いでホグズミードに着くと、ゾンコのいたずら専門店は板張りして閉まっていました。
 がっかりした3人はハニーデュークへと向かいます。ハニーデュークは営業していて3人は中へ。するとスラグホーンに出くわします。彼は好物なのか、パイナップルの砂糖漬けの馬鹿でかい紙袋を両手一杯に持っています。
ハリーに何度も自分のパーティーに来てくれと言い残して彼は去っていきます。スラグホーンに存在を無視され続けるロンはここでまた不機嫌になり、なんとなく暗い雰囲気になった3人は、今度は三本の箒に移動します。

 3本の箒の店の前で3人はマンダンガス・フレッチャーに会います。彼はハリーの顔を見るとそそくさと逃げ出そうとします。その時、持っていたスーツケースを落としてしまい、中のものが地面に散乱します。そしてその中にはブラック家の紋章のついた銀製品が含まれていたのです。
 ハリーは激怒。マンダンガスに掴みかかりますが、彼は姿くらましして逃げてしまいます。どうやらマンダンガスはグリモールドプレイスから盗んで来た物を売って商売しようとしているようです。
 店に入ってもハリーの怒りは消えません。ハーマイオニーがバタービールを買ってきてくれて、マンダンガスのことはダンブルドアに話してどうにかしてもらおうと言ってその場は落ち着きます。
 ハリーとハーマイオニーがマンダンガスのことを話している間、ロンは何かを見てボーーっとしてます。ハーマイオニーに何見てるの?と聞かれると別に、と答えて慌てて視線をそらせました。
 ロンは店の経営者のマダム・ロスメルタの曲線美に見とれていたのです。そうと気付いたハーマイオニーの機嫌まで悪くなってしまいます。
 ゾンコのいたずら専門店は閉まってるし、スラグホーンはロンの存在を無視するし、マンダンガスの盗みを発見してしまうし、ロンは女の人に見とれてるし、外の天気は悪いし・・・ホグズミードにいても楽しくない!!
と言うことで3人は学校に戻ることにします。

 3人はコートを着てマフラーを締め、外に出ます。厳しい風と雪はさっきよりもひどくなっています。ハリーは凍えそうな雪の中を歩きながらジニーのことを考えていました。‘ディーンとジニーは今頃カップルの集まるマダム・プディフットのカフェで寄り添っているんだろうな・・・’
 するとハリーたちの前を歩いていたケイティ・ベルと友人のリーニーの声が聞こえてきます。その声はだんだん大きくなり、何か口論をしているようです。
 3人がその2人に近付くと、ケイティは何か小さな箱を持っていて、それをリーニーと奪い合っています。ケイティがリーニーの奪い取ったその箱を奪い返したときに箱が地面に落ちて、中に入っていたものが飛び出してきました。
 そしてその瞬間、ケイティは宙に浮かび両手を広げてまるで飛び立とうとでもしているような妙な体勢で浮かんでしまいました。彼女の両目は閉じられ、まるで何も感じていないような表情です。ハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてリーニーはただ立ちすくんでその様子を見ていました。
 その時突然、6フィート上空でケイティが目を見開き、苦しそうに悲鳴をあげ始めました。4人はとにかく彼女を地面に降ろそうと足を掴みますが、ケイティがもがき苦しむので大変です。何とか地面に降ろしたものの、ケイティは悲鳴をあげて苦しみ続けています。
 ハリーは助けを呼びに学校に向かいます。途中でハグリッドに会い、彼を連れて急いでみんなのところへ。ハグリッドはケイティの様子を見て何も言わずに彼女を抱きかかえて急いで学校へと走り去って行きました。
 ケイティと一緒にいたリーニーの話によると、ケイティは3本の箒でトイレに行き、戻ってくるとその箱を持っていたそうです。箱を学校に持ち帰って誰かに渡すと言うケイティに、リーニーはそんな訳の分からない物は持って帰らないほうがいいと言って2人は口論になり、箱の奪い合いになったそうです。
 ハリーは箱から飛び出して地面に落ちた緑色の物を見ました。それは豪華に
飾り付けられたオパールのネックレスでした。

 そのネックレスは数年前ハリーが、隠れ穴からフルーパウダーを使って間違ってノクターン横丁に行ってしまい、ボーキンアンドバークスでマルフォイ親子から身を隠して棚に隠れた時に、店に陳列されていたネックレスでした。ハリーはその時マルフォイがこのネックレスに興味を持っていたことを思い出します。
 ハリーはネックレスに触れないようにマフラーで包み、学校へと持ち帰ります。
学校の入り口まで来ると、マクゴナル先生が急いでハリー達の所にやって来ました。
 ハリーはネックレスをマクゴナル先生に渡し、彼女はそれをスネイプの所にすぐに持っていくようにフィルチに頼みました。
 ハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてリーニーはマクゴナル先生の部屋へ。そこでケイティに何があったのか彼女に話します。リーニーは終始泣きじゃくり、3本の箒で起きた事を話すと病院棟へと行ってしまいました。
 ハリーは夏休みにマルフォイの後を追ってボーキンアンドバークスで見たことや数年前にそのネックレスを見たことをマクゴナル先生に話します。
 本当はダンブルドアに話したかったのですが、やはり彼はほとんど学校にいないらしく、この日も留守でした。
 3本の箒でケイティにネックレスを渡したのはマルフォイだと思う、とハリーは話しますが、この日マルフォイはマクゴナル先生の罰則を受けていてホグズミードには行ってなかったそうです。マルフォイがボーキンアンドバークスに行ったと言うだけで証拠も無く彼を疑うことは出来ない、とマクゴナル先生は言い、ケイティの様子を見に病院棟へと行ってしまいます。

 3人はケイティが一体誰にネックレスを渡そうとしたのかを話しながら談話室へと戻ります。
 ハリーはヴォルテモートが一番消したいと思っているダンブルドアか、仲間にしたいと思っているスラグホーンではないかと考え、ハーマイオニーはハリーかもしれないと言います。でもハリーに渡すつもりならわざわざ学校に持ち帰らなくても、ホグズミードで簡単に渡せただろうし・・・
 談話室には生徒がいっぱいでした。みんな悪天候のせいで早く戻ってきたようです。
まだケイティの話は広まっていないらしく、みんなフツーに過ごしていました。


第十三章 The Secret Riddle リドルの秘密

  ケイティはその後聖マンゴ病院へと移されます。その頃ケイティの話は学校中に広まりますが、事件を目撃した4人以外は皆ケイティ自身が狙われたと思っています。
 ハリーはいつも‘マルフォイ=死喰人’説を唱えますが、ハーマイオニーとロンはハリーがその話をすると聞こえない振りをすることに決めたようです。

 ハリーは手紙を受け取って以来、見掛けることすらないダンブルドアに不安を抱きながらも、個人授業の約束の時間に彼の部屋へと向かいます。
 ダンブルドアはちゃんと部屋にいました。いつもより少し疲れているような感じで、手は相変わらず黒く焼け爛れています。そしてまた、ペンシーヴがテーブルの上に置いてありました。
 ハリーは先ず、ケイティの具合を訊ねます。彼女はあまり良い状態ではないそうです。ただ、彼女は手袋を着けた手でネックレスに触れたお陰で死なずに済んだそうです。手袋には小さな穴が開いていたそうで、素手で触れていたら、間違いなく即死していたらしい・・・
 次にマンダンガスのことをダンブルドアに伝えます。彼はハリーに会った後、人目を避けて逃げ回っているそうで、もうこれ以上シリウスの物を持ち出すことはないだろう、とダンブルドアは言います。ブラック家伝来の家宝を盗まれたと聞いたフィニアス・ナイジェラス(の肖像画)は急いでグリモールドプレイスの自分の肖像画へと怒りながらて出掛けていきました。
 ハリーは‘マルフォイ=死喰人’説についてダンブルドアの考えを聞こうとしますが、授業を始めようと言って話を逸らされてしまいます。

 ヴォルテモートを身ごもり、トム・リドルに捨てられたメロウプはロンドンでヴォルテモートを産んだそうです。トム・リドルの去った後メロウプは魔法を一切使わなくなり、お金に困って先祖伝来の家宝のスリザリンのロケットをたった10ガリオンで売ってしまいました。ダンブルドアの推測によると、メロウプはトム・リドルに捨てられ、自分が魔法使いでいるのが嫌になり、魔法を使えば食べる物も着る物も、愛までも手に入れることが出来たはずなのに自分の命を守るためにさえ、杖を振るのを拒否してしまったそうです。
 今日旅をする記憶の持ち主はダンブルドアです。2人はペンシーヴに顔をうずめ、ダンブルドアの記憶の中へと入っていきます。

<アルバス・ダンブルドアの記憶の中>

 ハリーが目を開けるとレトロなロンドンの町に、若き日のダンブルドアが立っています。髪とひげは赤褐色で深紫色の派手なビロードのスーツを着ています。
後から到着した白髪のダンブルドアとハリーは若いダンブルドアに付いて行きます。
若いダンブルドアはある孤児院に入っていきます。彼はそこの院長のコール夫人に会いに来たようです。
 コール夫人の部屋へ通され、若いダンブルドアは「自分はある学校の教師でこの孤児院で育ったトム・リドルを自分の学校に入学させたい」と話を始めます。
 するとコール夫人は、「ご家族の方は?」とか「何の学校ですか?」とか「なぜトムを入学させたいのですか?」とか色々質問してきます。説明するのが面倒臭くなった若いダンブルドアは、近くにあった白紙の紙に杖を当ててコール夫人に渡します。そして一瞬にしてコール夫人を納得させてしまいました。
 そしてコール夫人は、それまでそこに無かったジンとグラスを見つけ、若いダンブルドアと共にジンを飲み始めます。ジンを飲むと、途端にコール夫人は饒舌になりトム・リドルについてペラペラと色んなことを話し始めます。
 ある大晦日の寒い雪の夜、若い少女がフラフラと孤児院にやって来て、に入ると1時間もしないうちに赤ちゃんを産み、その1時間後に少女は亡くなったそうです。彼女は死ぬ前に‘赤ちゃんはパパに似て欲しい’ということと‘赤ちゃんはトム・マールヴォロ・リドルと名付けてほしい’とだけ言い残しました。
 トムはとても奇妙な子供で、孤児院の他の子供達に恐れられているようです。
何の証拠も無いのでトムを叱ることは出来ないそうなのですが、トムが喧嘩した相手の子供のウサギが首を吊って死んでしまったり、トムと一緒に遊びに行った子供の様子がおかしくなったりと、彼の周囲ではいくつも奇妙な事件が起こっているそうです。コール夫人はトムがこの孤児院からいなくなっても悲しむ子供は誰もいません、とまで言いますが、若いダンブルドアはトムが学校に入学しても夏休みはここに帰ってきますよ、と伝えます。そして若いダンブルドアはトム・リドルに会いに彼の部屋へと移動します。


 トム・リドルの顔にグラウント家の面影はありませんでした。11歳にしては長身で黒い目のハンサムな青年です。
 トム・リドルは「自分は先生だ」と言う若いダンブルドアを精神病院の先生だと思い、自分を病院に連れて行くためにここに来たのだと勘違いして反抗的な態度に出ます。
 そして自分は魔法使いだと告げられます。一瞬の沈黙の後トムは「俺は手を触れずに何でも動かせるし、何の訓練もしなくても動物を自分の思い通りに操ることも出来る。自分の嫌いな奴には悪いことが起きるように出来たし、望むだけで相手を傷つけることさえ出来た。俺は自分が特別だと思っていた。いつも何かあると思っていたんだ。」と話します。自分が魔法使いだと知った
トムは顔つきが変わり、嬉しそうではあったがなんとなく彼の美しかった顔のパーツが崩れ、獣のような人相になったとハリーは感じます。
 そしてトムはダンブルドアに魔法を見せてくれと命令口調で言います。ダンブルドアは杖を振り、トムの洋服ダンスに火を付けます。炎が消えると洋服ダンスは傷ひとつ付かないで以前のままの状態で残っていました。
 そして洋服ダンスの中から何か音がします。トムはたんすの中から、まるでネズミでも入っているかのようにガサガサ音のする小さな箱を取り出します。ふたを開けると中に入っていたのは、トムが友達から取り上げたヨーヨーやハーモニカでした。ダンブルドアはそれらを元の持ち主に返すように命じ、ホグワーツでは盗みは許されないと話します。そして魔法省が存在し、遺法に魔法を使うと厳しく罰せられるとトムに忠告します。
 ダンブルドアはトムに、ダイアゴン横丁に一緒に行って学用品を買い揃えようと提案しますが、トムは一人で行くと言って買い物リストをダンブルドアから受け取ります。ダイアゴン横丁への道をダンブルドアから詳しく聞き、漏れ鍋に同じ名前のトムと言うバーテンがいることを聞くと、とても嫌な顔をします。トムと言う名前が嫌いか?と聞くダンブルドアに彼はありふれてるから・・・と答えます。
 ダンブルドアは学用品の買い物リストと一緒に、ホグワーツ特急のチケットもトムに渡します。
 最後にトムは、蛇と話が出来るのも魔法使いなら当たり前なのかと訊ね、ダンブルドアは当たり前ではないがそう魔法使いがいると聞いたことはあると答えます。
 トムとダンブルドアは握手をして、「ホグワーツで会おう」と若いダンブルドアは言ってドアの方へと向かいます。

 白髪のダンブルドアとハリーは現在の校長室へと戻ってきます。ダンブルドアはあの時はまだリドルの将来の危険性を見抜けず、完全に彼に騙されていたと話します。
 普通の未熟な若い魔法使いは、自分の意思には関係なく行き当たりばったりで魔力を使ってしまうものだが、リドルはまだ11歳にも関らず憎い相手を脅したり、従わせたりするために自分の意思で魔力を使っていた。そのことで将来の危険性に気付くべきだった、と考えているようです。
 そして今見てきたリドルの言動に、今のヴォルテモートの特徴が表れていると言います。
 第一に、リドルは‘トム’と言う名前が嫌いだった。彼は人と同じであることを好まず、常に‘特別'な存在でありたがっていたという点。
 第二に、リドルはダイアゴン横丁に一人で行くと主張したこと。成人したヴォルテモートも決して仲間を作らず一人でいることを望んでいるという点。
 そして最後にリドルは戦利品を集めることを好んだ。彼はやっつけた相手から物を奪いたんすの箱に隠していた。このガラクタ収集家のような彼の特異な傾向は、後々に関る大事な点なので覚えておいて欲しい、と話します。
 そしてハリーがまた何か質問しようとすると、ダンブルドアに早く自分の部屋に帰って寝るようにと促されてしまいます。


第十四章 Fwlix Felicis フェリックス・フェリシス

  翌日、朝の1限目は薬草学でした。ハリーは温室へと向かう道でロンとハーマイオニーに昨夜の個人授業の内容を話します。
 ロンは、ヴォルテモートの過去を知って何のためになるんだろう、と言いますがハーマイオニーは、彼がどんな人物でどういう性格なのか詳しく知ることは彼の弱点を見つけるためには大切なことだ、と話します。
 
 薬草学の授業中、3人は怪しい植物と奮闘しながらスラグホーンの話になります。(この怪しい植物との奮闘のシーンは面白くて結構好きです。(全文訳しないと面白さが伝わらないので、日本語版の発売をお待ちください。)
 ハーマイオニーによると、スラグホーンはクリスマスパーティーを開くつもりだそうです。今までハリーに招待を全て断られているため、今回はハーマイオニーにハリーの都合の良い日を調べてくるように頼んだらしく、ハリーも絶対出席しないといけないようです。
 ロンは自分のことを無視し続けるスラグホーンが嫌いで、パーティーの話をしていると機嫌が悪くなってしまい、ハーマイオニーに、「マックラガンと付き合えばいいだろ!」と言ってしまいます。するとハーマイオニーは「パーティーにはあなたを誘おうと思ってたのよ!」と怒って言い返します。
 ハーマイオニーがパーティーに自分を誘うつもりだと知ったロンは、その後
機嫌が良くなります。
 ハリーは2人の話を真ん中で聞いていて、いつかこうなる日は来るだろうとは考えていたようですが、ロンとハーマイオニーが付き合ったら自分はどうしたらいいんだろう・・と考えます。2人がビルとフラーのようにラブラブになったら自分は邪魔者になるんだろうか?そしてもし、2人が付き合って分かれることになってしまったら・・また3人で友達同士に戻ることが出来るのだろうか?
 そんなことを考えながら薬草学の授業は終わります。

 ハリーにはロンとハーマイオニーの関係よりも、今はもっと心配すべきことがありました。クィディッチのメンバーのことです。
 ケイティはまだ入院していて退院のめどは立っていません。ハリーはケイティが戻ってくることを期待して、まだ彼女の代替を決めていませんでした。しかし、間近に迫ったスリザリンとの試合にはケイティは間に合いそうにありません。
 ハリーにもう一度選考会をする気力はなく、ある日ディーン・トーマスに声を掛けます。ディーンは喜んでケイティの代替を引き受けます。自分のクラスからロンとディーンの2人も選手を選出したことに対する不平がグリフィンドール生から多数出たため、ハリーには何とかスリザリンに勝って自分の人選が正しかったと証明しなければならないと言うプレッシャーが重く圧し掛かってきます。
 その夜、ディーンも加えて練習をしてハリーは少し安心します。ディーンは結構上手かったし、残りのメンバーも練習を重ねるごとに上達しています。
 ただひとつの問題はロンでした。彼は、調子のいいときは信じられないほど素晴らしいプレーをしますが、一度失敗するとパニックに陥りめちゃくちゃになってしまうのです。とにかく、スリザリンとの試合でロンが緊張しすぎないことを祈るしかありません。

 練習を終えたハリーとロンは更衣室から談話室に戻るために、タペストリーの後ろに隠れた近道を通ろうとします。するとそこで・・・ジニーとディーンがキスをしていたのです。そしてロンとジニーが激しい兄妹喧嘩を始めます。
 (ロ)「俺は自分の妹が人前でキスするのなんて見たくない!」
 (ジ)「あなた達2人がここに来るまで周りに誰もいなかったわ!」
 杖まで出してきて激しく喧嘩する2人を目の前に、ハリーの頭の中は混乱します。ハリーはジニーとキスをするディーンを見て頭にかっと血が上り、ディーンに呪いを掛けたい衝動に駆られます。
 「自分に彼女がいないから誰かがいちゃついてるのを見ると腹が立つんでしょ!ハリーはチョウと、ハーマイオニーもクラムと付き合ってたし!」と言うジニーの言葉にロンが爆発。杖を振りますがジニーは走って逃げました。

 ハリーとロンはその後談話室に戻りますが、あまり話もせずにそれぞれの思いを胸にベッドに入ります。
 ハリーはベッドに入っても眠れません。天蓋を見つめジニーへの感情は兄妹の様なものだと自分に言い聞かせます。夏休みの間ずっと兄と妹のように楽しく過ごしてきた。ジニーと知り合ってもう何年にもなるし、守りたくなるのは当然だ。彼女と一緒にいたいと思うのも当然だし、彼女とキスしていたディーンを八つ裂きにしたいと思うのも・・・ハリーは自分の気持ちをコントロールするのに必死でした。
 ‘ジニーはロンの妹だ。ロンの妹だから恋愛対象外だ。’
 いつまでたっても眠れず、ハリーはもうジニーのことは考えずに眠ろうと努力します。

 翌朝ロンはジニーにだけではなく、ハーマイオニーにまで冷たい態度を取ります。ロンはハーマイオニーとクラムがキスをしたのかどうかが気になって仕方ないようです。
 ロンの不機嫌は何日たっても治まらず、もちろんクィディッチのプレーにも影響してきます。練習中ロンは他のメンバーに怒鳴りまくり、試合前の最後の練習の時にはデメルザ・ロビンを泣かせてしまい、チームの雰囲気は最悪に。
あまりにひどい態度にハリーが怒ると、ロンは今度はひどく落ち込んでしまいます。ハリーは試合前夜ベッドに入り、どうすればロンを絶好調に出来るか考えます。
そしてある素晴らしい考えが頭に浮かびます。

 翌朝、ハリーとロンが朝食のために大広間に入るとグリフィンドールテーブルからは激励が、スリザリンテーブルからはブーイングが飛び交います。
 テーブルに着くとハリーはやたらとロンに飲み物を勧めます。そしてそこにハーマイオニーがやって来ます。ハリーがロンにパンプキンジュースを渡すとハーマイオニーは「飲んじゃだめ!」と言います。「私ハリーがそのジュースに何か入れたのを見たわ。ハリー、手に持ってる小瓶を出しなさい!」ハリーは小瓶をすぐポケットに隠し、ロンはハーマイオニーの忠告を無視してジュースを一気に飲み干します。ハーマイオニーはハリーに「退学になるわよ」と言って立ち去りました。

 ハリーとロンがスタジアムに向かうと、外は雲ひとつ無い快晴です。更衣室に入るとジニーが嬉しいニュースを運んできます。
 スリザリンのチェイサーのヴェイシーが練習中に怪我をして出場できないと言うのです。さらにマルフォイも病気のため欠場すると。マルフォイの欠場を聞いたハリーは怪しみます。かつて本当にマルフォイが怪我をした時は彼の都合のいいように試合の日程を変えられた。今回はクィディッチより何か大事な用事でもあるのだろうか・・・?
 あまりにも幸運が重なるロンは、自分にフェリックス・フェリシスを飲ませた
なとハリーに問いただしますがハリーは黙ってピッチへと行ってしまいました。


第十五章 The Unbreakable Vow 破られざる誓い

 今年もホグワーツにクリスマスが近付いてきました。ハグリッドは例年同様、12本のクリスマスツリーを一人で大広間に運び終えていました。
学校中がクリスマス仕様に飾り付けられ、廊下にはヤドリギが並び掛けられています。
 ハリーの人気も過熱しているようで、彼がヤドリギの下を通ると女の子が寄ってきて廊下は大渋滞に。ハリーは授業の間の教室移動の際は、この女の子達を避けて秘密の通路を通って遠回りしなくてはいけないようです。

 ロンとハーマイオニーの仲はますます悪化します。ロンは何時でも何処でもラベンダーと寄り添いいちゃいちゃしまくってます。ハーマイオニーはロンのいる間は談話室に来ることさえ拒んでいました。
 何とか2人の中を元通りにしたいハリーは2人の言い分をそれぞれ黙って聞いて、自分はそれに対して何も言わないで口を堅く閉ざすことにします。
 ある夜、ハリーは図書室でハーマイオニーと話をします。ロンの話になると「彼が誰とキスをしようと彼の自由よ」と言いながら‘i’の文字を強く書きすぎて羊皮紙に穴を開けてしまう彼女でした。
 そしてハーマイオニーはハリーにある忠告をします。女の子達がみんなハリーにスラグホーンのパーティーに誘って欲しくて、何人かが惚れ薬を飲ませる計画を立てていると言うのです。とにかくちゃんと誰かを誘うまでは飲み物には気を付けろて、と彼女は言います。
 みんなフレッドとジョージの店で強力な惚れ薬を買い、それを香水や薬と偽って学校に持ち込んでいるらしいのです。
 フィルチがもっとちゃんとチェックしていれば持ち込めなかったのに、と2人が話していると、司書のマダム・ピンスガ現れ図書室を閉めるから早く出て行けと、すごい剣幕で叱られます。どうやらフィルチの悪口を言ってるのを聞かれ、彼女を怒らせてしまったようです。
 フィルチとマダム・ピンスが秘密の恋に落ちているのかどうかを話しながら2人はグリフィンドール寮へと戻ります。すると談話室の入り口でロミルダ・ヴェインがハリーに飲み物を勧めてきました。ハーマイオニーの忠告を聞いていたハリーはその勧めを断りますが、彼女は諦めずに今度はチョコレートの大鍋ケーキをハリーの手に押し付け「よかったら食べて」と言って去っていきました。
 談話室に入ると、相変わらずロンとラベンダーが一つの椅子に寄り添って座っています。ハーマイオニーはまだ7時なのに「おやすみなさい」と言って女子寮へと上っていってしまいました。

 次の日ハリー、ロン、ハーマイオニーは一緒に変身術の授業を受けます。
この日の課題は、自分の眉毛の色を変える呪文でした。ロンは失敗して色ではなく形を変えてしまい、自転車のハンドルのような眉毛になってしまいます。
それを見て笑ったハーマイオニーに怒ったロンは、マクゴナル先生が何か質問する度にハーマイオニーの真似をして椅子の上で飛び上がったり跳ね上がったりしてみんなを笑わせます。
 ハーマイオニーはそれに傷付き、終業の鐘が鳴ると持ち物を半分残したまま泣きそうになって教室から飛び出していきました。
 ハリーはハーマイオニーの荷物を持って彼女を追いかけます。ハーマイオニーは1階の女子トイレからルーナに背中をとんとんされながら出てきました。
彼女はハリーから荷物を受け取ると急いで立ち去ってしまいます。
 残されたハリーはルーナをスラグホーンのパーティーに誘います。
 前々から決めていたわけではないのですが、普通に話をしていて少し彼女がジニーのことを話題に出したので、ハリーは思わずルーナを誘ってしまったのです。
誘ってから言わなきゃよかったと後悔したハリーは、彼女が断ってくれることを祈りますが彼女は大喜びで誘いに応じます。彼女は今まで誰にもパーティーに誘ってもらったことが無かったそうで、‘友達として’喜んで一緒に行くと言います。
 8時にエントランスホールで会う約束をすると、どこからともなくピーブスが・・・
「ポッターはルーニーが好きなんだーーーー!」って叫びながら飛んでいきました。
彼のお陰でハリーがルーナをパーティーに誘ったという話はすぐに学校中に広まりました。


 ハリーとロンが大広間で夕食をとっていると、ラベンダーがやって来てハリーとロンの間に割り込みロンの首に腕をまわして抱きつきます。
そしてそこにハーマイオニーもやって来ます。彼女は、今夜のパーティーにマックラガンと行くと言って去っていきます。ロンはその後なんとなく落ち込み、ハリーは女の子の考える復讐って恐ろしい・・・と感じます。
 
 そして8時。ハリーはルーナと待ち合わせをしているエントランスホールへと向かいます。ルーナは、いつもの変な眼鏡もバタービールのコルクのネックレスも付けずに、結構可愛いドレス姿で現れました。
 2人はスラグホーンの部屋へ。彼の部屋は魔法が掛けられたのか、いつもより広く見えてたくさんの人で賑わっていました。
 ハリーは早速スラグホーンに捕まります。ハリーについての伝記小説を書きたいと言う魔法使いを紹介され、本を出版させてくれと迫られます。
 ハリーはハーマイオニーを見つけ、その魔法使いから逃げました。すると、ハーマイオニーも誰かから逃げてきたかのように、髪の毛は(いつも以上に)ボサボサです。理由を聞くと、マックラガンにヤドリギの下で迫られ、彼から逃げてきたと言います。ハーマイオニーはマックラガンが近付いてきたので、彼に気付かれる前にまるで姿くらまししたかのように素早くどこかに逃げて行ってしまいました。
 次にハリーとルーナはトレローニー先生に捕まります。ルーナとトレローニーは気が合うようで、ハリーの存在を忘れて2人で話し込み始めてしまいました。
 そこに、スラグホーンとスネイプが現れます。スラグホーンはハリーの魔法薬学の才能について話をしますが、スネイプはなぜハリーがそんなに急に魔法薬学が得意になったのか怪しみます。
 すると今度はそこに、フィルチがマルフォイを連れて来ます。マルフォイは夜の廊下を一人で歩いていてフィルチに捕まったようです。彼はパーティーに来るつもりで歩いていたと言いますが、招待はされていませんでした。
 マルフォイの様子は本当に病気のようで、目の下にはくっきりとくまができ、顔色も良くありません。フィルチに捕まったマルフォイをスネイプは怒りと、そしてなぜか彼を恐れるような目つきで見ています。
 スネイプはマルフォイに話があると言って、彼を連れて部屋から出て行きます。
 そしてハリーは透明マントを被り、その2人の後を追って会話を立ち聞きします。

 やはりマルフォイは何かをしようとしているようです。しかしスネイプはマルフォイが何をしようとしているのか知らない様子です。マルフォイは「‘彼’に言われたことを実行するための計画は整い、何人もの協力者も得た」とだけスネイプに話します。
 スネイプはマルフォイに「私は君を守らなければならない。君の母親と‘破られざる誓い’をしたんだ。」と話しますが、マルフォイは「お前に守られる必要は無い!」と言ってスネイプと透明マントに隠れたハリーを残して立ち去ってしまいました。


第十六章 A Very Frosty Christmas 凍りつくようなクリスマス

 ハリーとロンは隠れ穴の台所で山積みされた芽キャベツの皮をナイフで剥いてウィーズリーおばさんのお手伝いをしています。
 スネイプとマルフォイの話を立ち聞きした翌朝、学校は冬休みに入り2人で隠れ穴に帰ってきたのです。ハリーはその時聞いた話をロンに話します。
 スネイプとマルフォイの母親のナルシッサが‘破られざる誓い'をしたようだと話すと、ロンはとても驚きます。ロンは5歳のときにその誓いをフレッドとしようとして、ウィーズリーおじさんに信じられないほど怒られたことがあるそうで、おじさんがあんなに怒ったのはあの時だけだったと話します。
 誓いを破ったらどうなるの?と聞くハリーにロンは一言「死ぬ」と答えます。そこにフレッドとジョージが台所に入ってきます。2人はロンとラベンダーのことをからかい、怒ったロンはナイフを投げつけますが、フレッドは軽く杖を振ってナイフを紙飛行機に変えてしまいます。魔法使いの法律では17歳になったらどこでも魔法が使えるようになるそうですが、ハリーとロンはまだ16歳なので、地道にナイフで芽キャベツの皮を剥くしかありません。
 フレッドとジョージにちょっと杖を振ってこのキャベツを剥いてしまってよと頼むロンにフレッドは「それは人格形成においてとても大事なことで、魔法の使えないマグルやスクイブの気持ちを理解しなさい。それに人に物を頼むときはナイフなんて投げつたリしてはいけないぞ。」と真剣な顔で言ってさっさと遊びに行ってしまいました。
 ロンはスネイプとマルフォイの話の内容を聞いて、スネイプはマルフォイが何を企んでいるのか聞き出すために彼に協力する振りをしたんじゃないか、と言います。ハリーもそれが一般的な考えだし、みんなにそう言われると思っていました。でもスネイプの様子はどう考えても演技には思えなかったし、やはりハリーはスネイプを信用したくなかったのです。
 ハリーはウィーズリーおじさんにもスネイプの話を伝えたかったのですが、おじさんは毎晩遅くまで魔法省で仕事をしていてなかなか話す時間がありませんでした。

 クリスマスイヴ、隠れ穴のリビングも華やかに飾り付けられ、ウィーズリー一家、ハリー、フラー、ルーピンが集まります。クリスマスツリーのてっぺんには本物のノームが麻痺呪文を掛けられ、金色にペイントされ小さなドレスと羽根を身に付けられて飾られています。そのノームはハゲ頭で毛むくじゃらでハリーは世界で一番醜い天使だと笑っています。(子泣き爺がドレスを着てる姿を想像して笑ってしまいました)
 夕食の後みんなくつろぎタイムへ。そこでハリーはやっとおじさんと話すことが出来ました。しかしおじさんもスネイプのことを信用すると言います。それに横で聞き耳を立てて話を聞いていたルーピンもダンブルドアを信用しているからスネイプのことを信用すると言います。
 それにルーピンはホグワーツで闇の魔術の防衛術を教えていた1年間、スネイプが調合してくれた薬を飲み続けていたお陰で変身せずにいられたと言います。
ダンブルドアの目が近くにあったから仕方なく薬を作ってたんだ、と断固としてスネイプを信用しないハリーにルーピンは、父親のジェームスと名付け親のシリウスのスネイプに対する偏見の意思をハリーも受け継いでいるようだなと話します。

 ハリーはルーピンに最近何をしていたのか訊ねます。ルーピンはずっと同類と一緒に身を隠していたと答えます。ルーピンの同類、つまり狼人間達は世間から遠ざけられ、盗みや時には食べるために人を殺して極限状態で生活しているそうです。そのため少しでもましな生活を求めてヴォルテモート側に付く者が多く、ダンブルドアはルーピンをスパイとして彼らの中に送り込みどのくらいの数がヴォルテモートに付いているのか情報を得ようとしているそうです。そして出来ることなら、狼人間のボス的存在であるフェンリア・グレイバックを説き伏せようと考えているようです。
 グレイバックは今存在する狼人間の中で最も残忍な男で、出来るだけ多くの人を噛んで自分達の仲間を増やし、いずれは魔法使いを支配するのに必要な数の狼人間を造りだそうとしているのです。ヴォルテモートは彼に、自分の為に働いた見返りに獲物を与えると約束したそうです。
 また、グレイバックは子供を好んで噛み、出来るだけ小さい子供を噛んで両親から奪い取り、普通の魔法使いを憎むように育て上げるそうで、ルーピンを子供の頃に噛んだのもこのグレイバックだったと話します。
 ハリーは混血のプリンスについてもルーピンに訊ねます。ロンに掛けてしまった‘レヴィコーパス’の呪文の話をすると、ルーピンの学生時代に流行っていたと彼は懐かしがります。ハリーは父親のジェームスや名付け親のシリウスがプリンスだったらと期待していたのですが、ルーピンはそのどちらでもないしプリンスと呼ばれていた人を聞いたことが無いと話します。
 「どのくらい前の本なのかが分かれば・・・」とルーピンが言ったのでその夜部屋に戻るとハリーはすぐに本を調べます。するとその本が出版されたのは50年も前のことでした。50年前は、ジェームスもシリウスもホグワーツにはいなかった・・・がっかりした気持ちでハリーは眠りにつきました。

 翌朝目覚めると、ロンにもハリーにもクリスマスプレゼントが置いてあり、ロンのプレゼントの中には、ラベンダーから‘My Sweetheart'とメッセージの入った金のネックレスが入っていました。
 「こんなのみんなの前で付けられるわけがないよ・・・」と言ってロンはそのネックレスを枕の下に押し込んでしまいました。
 ハリーへのプレゼントは、ウィーズリーおばさんからの手編みのセーター(今回の柄は金のスニッチでした)、フレッドとジョージからはいたずら専門店の商品(何が入っていたかは書いていなかったと思います)、それにクリーチャーから箱一杯のうじ虫でした。
 2人が昼食に降りていくとフラー以外はみんな新しいおばさん手編みのセーターを着ていました。おばさん、フラーには編んであげなかったようです・・・。
 その時ジニーがハリーの髪についていたうじ虫を取ってくれました。ハリーはうじ虫に関係無く、ジニーの触れた首筋に鳥肌が立つのを感じます。
 みんなで食事をしていると、突然ウィーズリーおばさんが窓の外を指差して立ち上がります。するとそこには、こちらに向いて歩いてくるパーシーがいたのです。しかし彼は一人ではありませんでした。魔法省大臣のスクリムジャーと一緒に歩いていたのです。
 パーシーがドアを開け姿を現すと、おばさんは涙ぐんで彼に抱きつきます。スクリムジャーは、「パーシーがどうしても家族に会いたいと言うので仕事で近くに来たから立ち寄った。忙しいので5分ほどしかここにはいられない。」と話します。しかしパーシーは何も言わず、家族に挨拶もせずに表情ひとつ変えないでただそこに立っていました。
 スクリムジャーは「中に入って食事を」と勧めるおばさんの誘いを断って庭を散歩したいと言い、案内役にハリーを指名します。このことでテーブルの周りの空気が一転しました。みんな、パーシーが家族に会いたがった、というのは嘘で、スクリムジャーがハリーと話をしに来ただけだと勘付いたのです。

 ハリーはスクリムジャーと2人で外に出ます。スクリムジャーは随分前からハリーと話がしたかったが、ダンブルドアにさせてもらえなかったと言います。スクリムジャーは回りくどい言い方をして、本当は何を話しに来たのかなかなか核心に触れませんでしたが、ハリーは辛抱強く彼が本心を表すまで黙って彼の話を聞きます。
 結局スクリムジャーは、ハリーに魔法省と共に何かをしている振りをして欲しいと頼みに来たようです。人々は皆ハリーを‘選ばれし者’だと噂し英雄扱いしている。その英雄が魔法省の味方だと人々に思わせることが出来たら、今の不安な世の中を少しでも安心させることが出来る、と考えていたのです。
 もちろんハリーは断りますが、スクリムジャーは魔法省に協力するのは義務だ!と言います。また、魔法省に協力すれば闇払いになるのにも協力出来る、とも言います。
 ハリーは「あなた達はバーティ・クラウチのやったことをまた繰り返そうとしている。ファッジは目と鼻の先で殺人が起きていても何も無かったような顔をしていたし、あなたは誤認逮捕した人をアズガバンに送ろうとしたり、‘選ばれし者’を味方に付けた振りをしようとしている。魔法省には正しい判断を出来る人はいないんですか?!」って言い返します。
 スクリムジャーはハリーを味方にするのを諦めたようで、ダンブルドアはいつもどこに行ってるのか聞いてきます。ハリーは知らないし、知っていても話しません、と答えます。「君は完全にダンブルドアの味方なんだな?」と言うスクリムジャーに「はい、そうです。」と毅然とした態度で答え、ハリーは彼に背を向けて家の方へと戻って行きました。


第十七章 A Sluggish Memory スラグ的記憶

  ハリー、ロン、ジニーがホグワーツに戻る日になりました。魔法省は生徒が安全に学校に戻れるよう、フルーネットワークを1度だけ使えるように特別手配をしていました。見送りにきたのはウィーズリーおばさんだけで、後のみんなは仕事に行ってしまいました。おばさんはパーシーの訪問以来泣きっぱなしのようで、この日も泣いていました。(パーシーはあの日フレッド、ジョージ、ジニーにマッシュドパースニップを投げつけられ怒って帰って行ったそうです)
 おばさんはハリーが暖炉に入ると「危険なことはしないで自分の身を守って」と涙を流しながら話します。ハリーが‘ホグワーツ!’と叫びフルーパウダーを投げると、到着したのはマクゴナル先生の部屋の暖炉でした。その後すぐに到着したロンとジニーと一緒にグリフィンドール寮に向かっていると、
ハーマイオニーに出会います。ハーマイオニーはダンブルドアからハリーへの手紙を預かってきていました。そこには次の個人授業は明日の夜に、と書かれていました。
 ハリーはハーマイオニーに話したいことがたくさんあったので、談話室に入り空いている椅子を探します。するとラベンダーがロンに抱きついてきます。
ラベンダーはロンのことを‘ウォンウォン’と呼び、ロンにいちゃついてきます。
ジニーもディ−ンに会いに行くと言って立ち去り、ハリーはハーマイオニーと2人で空いてる椅子に座ります。
 まずハリーはスネイプとマルフォイの会話を彼女に話します。やはりハーマイオニーもハリーの考えには賛同せず、スネイプはマルフォイに協力する振りをして何を企んでいるのか聞き出そうとしているのでは、と言います。
 次にルーピンの話になり、彼の背負った困難な任務をハーマイオニーに伝えます。そしてグレイバックの話になると彼女は何かを思い出しました。
 ノクターン横丁でマルフォイの後をつけてボーギンアンドバークスで盗み聞きした時、マルフォイはグレイバックの名を出してボーギンを脅していたのです。ハリーもすっかりその事を忘れていました。ヴォルテモートの手下になっているグレイバックのことを、マルフォイは自分の味方だと言っていた。これでマルフォイが死喰人だと証明された、と言うハリーにハーマイオニーはまだ煮え切らない返事をします。


 翌朝、談話室には大きなポスターが張り出されます。それは姿現しの授業についてで、17歳もしくは8月31日までに17歳になる者は魔法省のインストラクターによる姿現しの授業を受けられる、というお知らせでした。
参加希望者は12ガリオン用意して下に署名を、と書いてありました。ハリーとロンはすぐに署名します。
 その日は1日中みんな姿現しの話題で持ち切りに。ダンブルドアに掴まって姿現しを経験したことのあるハリーは、8時10分前までその感想を聞かれみんなに囲まれます。ハリーは、図書室に本を返しに行かなくては、とみんなに嘘をつきダンブルドアとの個人授業に向かいます。

 ダンブルドアの部屋には再びペンシーヴが用意され、それに添えられたダンブルドアの右手は全く治る気配が無く、未だに黒く焼け爛れていました。
ハリーは今回もまた違う話に変えられてしまうと思い、あえて手のことについては触れませんでした。
 ハリーはスネイプとマルフォイの話をダンブルドアに話したかったのですがハリーが口を開く前にダンブルドアが話し始めます。
 「君はクリスマスに魔法省大臣に会ったそうだね」。ハリーがスクリムジャーは自分に魔法省への協力を頼みに来たと話すとダンブルドアは、もともとその考えはファッジのもので、彼は何とかハリーに協力してもらって魔法省大臣の地位を守ろうとした。しかし実現されず、その考えだけがスクリムジャーに引き継がれスクリムジャーは何度もハリーに会わせてくれと自分に頼みに来た、と言います。
 「君は完全にダンブルドアの味方なんだな?」と聞かれ「はい、そうです」と答えた、とハリーが話すと、驚いたことにダンブルドアは青い瞳に涙を浮かべとても喜びます。
 授業を始めようとしたダンブルドアに、ハリーはスネイプとマルフォイの話を伝えます。ところがダンブルドアは表情一つ変えずに、それはそんなに重要なことではない、と言います。ハリーは自分の耳を疑って、もう一度聞き返しますがダンブルドアはハリーの聞いたことはそんなに重要なことではないと繰り返します。ダンブルドアは今も気持ちは変わらず、スネイプを完全に信用していると言います。

そして授業が始まりました。
 ダンブルドアの話によると、トム・リドルはホグワーツに入学し、組み分け式では帽子が彼の頭に触れるか触れないかですぐに、スリザリン!と宣言されました。そして学校が始まると、彼は人に全く傲慢さや攻撃的な面を見せずまれに見る才能とハンサムな孤児として、みんなの注目と同情を集めました。
彼は礼儀正しく物静かで、貪欲に知識を吸収し、教師も生徒もほぼ全員彼に好印象を持っていたそうです。
 ダンブルドアは孤児院での彼の様子や過去の出来事は誰にも話さず、彼を信じてチャンスを与えた、と言います。しかしリドルは孤児院でダンブルドアに会った時に本当の自分の姿を見せてしまったため、他の先生に気に入られたのと同じように、ダンブルドアにも気に入られようとはせず、もう二度と本当の自分は表に出さないようにしていたそうです。
 学校に慣れてくると彼は、自分に献身的な友人を集めてグループを作りました。そのグループの何人かはホグワーツを卒業後、死喰人になったそうですが、リドルはやはりこのグループの誰にも親愛の情を感じることはありませんでした。
 リドルに完全にコントロールされていた彼らは、在学中の7年間でいくつもの嫌な事件を起こしたそうですが、誰にも彼らの仕業だとばれなかったそうです。
 中でも最も大きかった事件は秘密の部屋を開けたことで、この事件の時も彼らではなく間違ってハグリッドが捕まってしまったのです。
 リドルは、自分がどうやって生まれ孤児院で育つことになったのか興味を持ち始め、自分の過去について調べ始めます。父親のトム・リドルについてトロフィー展示室や古い学校の記録、魔法史の資料までも調べ、父親はホグワーツの生徒ではなかったと気付きます。ダンブルドアはおそらくこの時彼はトム・リドルの名前を捨て、ヴォルテモートと改めたようだと言います。
 そしてヴォルテモートは、‘マールボロ’という名をスリザリンの血筋だと発見します。彼は16歳の夏に、毎年嫌々ながら帰っていた孤児院を去り、ガウント家の生き残りを探し始めます。
 ダンブルドアはそこまで話すと、ペンシーヴに記憶を注ぎます。ハリーとダンブルドアは記憶の渦の中へと入っていきます・・・

 着地したのはガウントの小屋でした。天井には厚い蜘蛛の巣が張り、テーブルには腐った食べ物がへばりついた皿が積まれています。ろうそくが一つだけ付いた薄暗い小屋の肘掛け椅子に、髭も髪もぼうぼうの男が一人で死んだように動かずに座っています。
 そしてその時小屋のドアをノックする音がして、その男が右手に杖、左手にナイフを持ってピクリと動きます。
 ドアが開くとそこには若き日のヴォルテモートが立っていました。男とヴォルテモートはパーセルタングで話をします。
 ヴォルテモートはガウントに会いに来たのですが、彼はその時既に亡くなっていて小屋にいた男は息子のモルフィンでした。モルフィンはヴォルテモートの顔を見てマグルのトム・リドルにそっくりだと話します。そこでヴォルテモートは自分の父親はマグルで、自分を身ごもった母親を捨てたことを知ります。
 すると急にハリーの目の前が真っ暗になって何も見えなくなり、ダンブルドアに
腕を掴まれ高く舞い上がります。地に足が着くとそこはダンブルドアの部屋でした。

 ダンブルドアは今見たのはモルフィンの記憶で、彼はあの後何が起きたのか覚えていない、とハリーに話します。モルフィンは翌朝、一人で床に寝ているのに気付き、身に着けていたマールボロの指輪が無くなっていました。
 また同じ朝、リトルハングルトンのリドル家の屋敷で、ヴォルテモートの父親のトム・リドルとその両親(つまりヴォルテモートの祖父母)の死体が見つかったそうです。魔法省はすぐにモルフィンを捕まえました。モルフィンはかつて一度トム・リドルを襲ったことがあったし、殺人に使われた杖がモルフィンの杖だったからです。モルフィンは自白もしてアズガバンに送られ、残りの彼の人生を全てそこで過ごすことになります。
 しかしダンブルドアは、本当の犯人はヴォルテモートだと話します。ヴォルテモートは自分の叔父にストゥピファイドの呪文を掛け、思考を麻痺させ彼の杖を奪い、自分の母親を捨てた父親と、ついでに祖父母を殺して自分を孤児にした復讐を果たしたのです。その後再び小屋に戻り、魔法で間違った記憶をモルフィンに埋め込み杖を彼の横に置き、指輪を奪って立ち去ったそうです。
 魔法省は未成年者が違法に魔法を使っても、使った場所は特定出来ても誰が使ったかまでは特定できないそうで、数年前にダドリー家でドビーが浮遊魔法を使ったときも間違ってハリーが捕まったのと同じ様に、この時も間違ってモルフィンが捕まってしまったのです。
 
ダンブルドアは何とかモルフィンが生きているうちにアズガバンにいる彼を訪ね、間違った記憶の下に眠る本当の記憶を引き出し小瓶に収めたそうです。
そして彼が無実であることを魔法省に報告し、彼を釈放しようとしましたが魔法省が決定を下す前に彼は亡くなってしまったそうです。

そしてダンブルドアはもう一つの記憶の小瓶をポケットから出します。ダンブルドアはこの記憶が彼の集めた記憶の中で最も重要なものだと言います。
 
 記憶の中に入るとそこには若き日のスラグホーンが数人の生徒に囲まれて座っています。その生徒の中にトム・リドルも含まれていました。
 彼はマールボロの金の指輪を付けています。ということは、もう自分の父親と祖父母を殺した後ということです。
 どうやらこれは昔のスラグ・クラブの集まりのようです。
 少し話をした後、机の上の時計が夜の11時を指しているのを見たスラグホーンがみんなに部屋に帰るように言います。(この時スラグホーンが呼んだ生徒の中にレストランジェとアヴェリィが含まれていました。)
 みんなが部屋を出て行くと、トム・リドルだけが部屋に残りスラグホーンに話しかけます。
 「先生、あなたはホークルクスについて何かご存知ですか?」
 トム・リドルがそう言うと、部屋は濃い霧に包まれハリーは何も見えなくなります。ただその霧の中から「何も知らん、知ってても話さん!今すぐ出て行きなさい」と言うスラグホーンの声だけが聞こえます。

 そしてハリーはダンブルドアの部屋に戻ってきます。ハリーにはこの記憶のどの部分が最も重要なのかさっぱり分かりません。
 するとダンブルドアは、あの霧で覆われて見えなかった部分は、スラグホーンが誰にも知られたくないために自ら記憶に手を加え消してしまっている、と話します。
 スラグホーンは優秀な魔法使いなので、開心術も真実薬も効果が無く、無理やり彼からその記憶を剥ぎ取ろうとすると本当の記憶も傷つけてしまう可能性があるため、ダンブルドアの力ではその記憶を手に入れることが出来ない、と言います。そしてその消し去られた記憶こそが、最も手に入れたい重要なものだと話します。
 そして個人授業で初めてハリーに宿題が課され、その記憶を何とかして手に入れるようダンブルドアに言われて、今回の個人授業は終了します。

 ハリーはスラグホーンの記憶を手に入れることが出来るのでしょうか・・・?


第十八章 Birthday Surprise 思いがけない誕生日 

 次の日、ハリーはまだ喧嘩中のロンとハーマイオニーにそれぞれ別々にダンブルドアの個人授業の内容と自分に課された宿題のことを話します。
 ロンは、スラグホーンはかなりハリーのことを気に入ってるのだから聞くだけですぐに記憶のことを教えてくれるんじゃないか、と楽観視します。
 しかしハーマイオニーは、ダンブルドアでさえその記憶を聞きだすことが出来なかったのだから、スラグホーンは何があっても隠し通すつもりだろう。それを聞き出すためには何か秘策が必要なのでは、と言います。
 ハリーはホークルクスについてハーマイオニーなら何か知ってるのではと期待していたのですが、どうやら彼女も何も知らない様子です。

 その日3人は魔法薬学の授業を受けます。
 その日の課題は、とても調合の難しい解毒剤でした。その薬のことを知っているのはちゃんと教科書を読んで予習しているハーマイオニーだけで、他のみんなは薬に関するスラグホーンの説明を聞いているのか聞いていないのか・・・
といった状態です。スラグホーンの合図でみんな調合に取り掛かりますが、何をどうしていいのかさっぱり分かりません。
 しかも、ハーマイオニーの無言呪文の腕前はかなりのものになっていて、何も言わずに杖を振って薬を作っていくので、真似をしたくても出来ません。
 ハリーはプリンスの本を開きますが、解毒剤のページには何も書き込まれていません。これではもうお手上げです。
 授業中に巡回してきたスラグホーンはハリーの大鍋を期待して覗き込みましたが卵の腐ったような匂いに咳き込みながら顔をしかめます。ハリーはスラグホーンの自分に対する好感が音を立てて崩れていくのを感じます。
 ハリーは諦めかけて、目的も無くプリンスの本をペラペラとめくってみます。すると、たくさん書かれた解毒剤のリストの横に走り書きで、‘べゾアールを口に押し込む’とかかれていました。ハリーは記憶の糸をたどり、1年生の時スネイプが授業で「ヤギの胃から取った石;ベゾアールは何より効果的な万能の解毒剤だ」と言っていたのを思い出します。
 授業の残り時間はあとわずか。ハリーは急いで薬品棚に向かいます。棚のいちばん奥にそれを見つけると一粒握り締めて席に戻ります。そこで「終了!」とスラグホーンが叫びます。
 クラスで誰一人薬を完成させたものは無く、ハーマイオニーでさえ工程の半分しか終わっていません。結果をチェックしに来たスラグホーンにハリーは掴んでいたベゾアールを差し出します。
 するとスラグホーンはまたもや「確かにベゾアールはどんな毒に対しても解毒剤の役割を果たします。そのひらめきこそが真の薬作りに必要な発想力です!」と言ってハリーを褒め称えます。

 終業の鐘が鳴るとみんなさっさと教室を出て行きました。ハリーはわざとゆっくりと帰り支度をして、スラグホーンと2人きりになります。
 そしてスラグホーンに‘ホークルクス'について訊ねます。すると、それまでにこやかだったスラグホーンの顔から笑みが消え、「ダンブルドアに頼まれたんだな」と言います。ここは嘘をつくべきではない、と思ったハリーは正直にはい、と答えます。ホークルクスなんて知らない、と言うスラグホーンに
ハリーは「あの記憶にはまだ隠されてることがありませんか?」と聞きますがそんなものは無い!と怒鳴ってスラグホーンは教室を出て行きました。

 ハリーはロンとハーマイオニーに、記憶を聞き出すことに失敗したと伝えますが、2人ともベゾアールの件で怒っていて同情してくれませんでした。
 ロンは自分にもベゾアールを渡してくれなかったことを怒っていて、ハーマイオニーは何の努力もしないでスラグホーンに誉められたハリーを怒っているようです。
 ハリーはスラグホーンに嫌われてしまっては困るので、しばらくはこれ以上彼にホークルクスについて言及せず、彼の機嫌が直るのを待つことにします。
 一方ハーマイオニーは、図書室でホークルクスについて調べまくりますが何一つ情報を得ることが出来なかったようです。初めて本に裏切られた彼女はベゾアールのことでハリーを怒っていたことなどすっかり忘れてしまいました。

 そんなこんなしているうちに、第1回目の姿現しの授業が近付きます。授業は土曜の午前中に大広間で行われることになりました。
 授業の日、ハリーとハーマイオニーが大広間に着くと(ロンはラベンダーと来ていました)テーブルは取り払われ、正面には各寮の寮監と小さな魔法使いが並んで立っていました。その小さな魔法使いが、魔法省から来たインストラクターのウィルキー・トゥイクロスでした。
 トゥイクロスは髪もまつ毛も奇妙に薄く、少しの風でも飛ばされてしまいそうな存在の薄い魔法使いでした。ハリーは何度も姿現しや姿くらましを繰り返すと存在自体も薄くなってくるのかと考えていました。
 トゥイクロスが挨拶をしていると、マクゴナル先生が突然「マルフォイ、静かにして話を聴きなさい!」と叫びます。マルフォイはクラッブと何か口論しているようでした。
 挨拶が終わりみんな練習の為に広がるように指示されるとハリーは、マルフォイの後ろのスペースを確保します。マルフォイはまだクラッブと何か言い争っていて「思ったより遅れていて、後どれくらいで出来るか分からない。俺が何をしているかはお前には関係ないんだ。お前は黙って見張りを続けろ!」とクラッブに怒鳴りつけていました。
 大広間では姿現しの授業が始まります。姿現しには大事な3つの‘D’があり、‘Destination’(目的地)‘Determination’(決断力)‘Deliberarion’(落ち着き)で、それらを忘れずに!とトゥイクロスは説明します。
 生徒達の足元にはフラフープが置かれ、その外側から内側へと姿現しをする様に練習を始めます。いち、にの、さん!の合図でみんな挑戦しますが成功する者はおらず、ハリーはマルフォイを気にしながらやっていたので、3つの‘D’が何だったのかさえ忘れてしまい上手くいきません。
 何度も練習し、4回目の挑戦でものすごい悲鳴が大広間に響き渡ります。
振り返ると、スーザン・ボーンズがフラフープの中によろめきながら立っていて彼女の左足は彼女の立っている位置から5フィート離れた場所に置き去りになっていました。4人の寮監が彼女の周りに集まり、置き去りになった足はすぐに戻してもらえました。
 それから1時間練習しますが、成功する者はもちろん無く、体の一部置き去り事件もあれ以上は起こらずに、第1回目の授業は終了しました。
 トゥイクロスは「3つの‘D’を忘れずに!」と言って大広間の一番前から一番後ろに姿現しをして出て行きました。

 2月から3月へと月が移り、湿った風が吹くようになります。しかしそれ以外
ハリーの周りの状況は殆ど変わらず、マルフォイの怪しい行動を見つけることも
出来ませんでした。そして残念なことに、次のホグズミードへの旅は中止
になったというお知らせが張り出されます。
 ロンは「僕の誕生日だったのに!」と残念がります。しかしケイティの
事件の後だし仕方がないよ、とハリーは言います。ケイティはまだ聖マンゴ
病院から戻らず、日刊預言者新聞にはまたいくつかの失踪事件が載っていました。
中にはホグワーツの生徒の関係者も含まれていたようです。
 姿現しの授業も3回行われますが、生徒の中に成功する者は出ず、
さらに何人かの生徒が体の一部を置き去りにする事件がありました。

 ロンの誕生日の朝、いくつかのプレゼントの包みが部屋に届けられていました。ロンはプレゼントを開け始めます。ハリーからは新しいキーパー用のグローブでした。
 ハリーはベッドから出て自分のトランクの中身をひっくり返し、使うたびに底の方に隠していた忍びの地図を出し、マルフォイの行動をチェックします。やはりまた彼が見つかりません。
 ロンはプレゼントを開けるのに夢中です。チョコレートの大鍋ケーキを1個・・2個・・3個・・と食べながらプレゼントをチェックしています。
 すると・・・突然ロンの様子がおかしくなります。ロンはロミルダ・ヴェインを愛してると言い出したのです。ハリーはロンが食べていたチョコレート大鍋ケーキの空箱を見つけます。それはクリスマス前にロミルダが惚れ薬を入れてハリーに渡したものだったのです。忍びの地図を探す時にハリーがトランクから出した箱を、ロンは自分への誕生日プレゼントだと間違えて食べてしまったのです。
 ハリーはロミルダに会いたがるロンに、彼女はスラグホーンの部屋で補修を受けている、と嘘をついて彼をスラグホーンの部屋に連れて行きます。
 ハリーはスラグホーンに出来るだけ礼儀正しく事情を説明し、惚れ薬の解毒剤を調合してもらえるように頼みます。スラグホーンは何とか薬を作ってくれることを承諾してくれて、出来上がった薬をロンに飲ませます。
 薬を飲んだロンは呆然として近くの肘掛け椅子に座り込みました。スラグホーンはこれで大丈夫、僕達も1杯飲もう、と言ってクリスマスにダンブルドアに渡しそびれたと言う成熟オークの蜂蜜酒のボトルを持ってきて3人分注ぎ、ハリーとロンに渡します。
 グラスを受け取ったロンは蜂蜜酒を一気に飲み干します。すると突然グラスを落として床に倒れてしまいました。ロンの両手両足は手に負えないほど痙攣し、口からは泡を吐き目玉は飛び出しています。スラグホーンはショックで唖然としロンは窒息しかけて肌が青白くなってきました。ハリーは急いでスラグホーンのかばんからベゾアールを探し出し、ロンの口に押し込みます。
 ロンの体の痙攣は次第に弱くなり、そして動かなくなってしまいました。

第十九章 屋敷しもべの尾行 Elf Tails

 病院棟に運ばれたロンの周りにハリー、ハーマイオニー、ジニー、フレッド、ジョージが集まっています。
 ロンはあの後すぐに駆けつけたマクゴナルとマダム・ポンフリーによっここに運ばれたのです。ハリーが口に突っ込んだベゾアールのお陰でロンは命拾いをし、1週間ほど治療すれば良くなるそうです。ロンの命に別状が無いと分かったみんなの話題は、毒はどこに入れられていて誰が狙われたのかと言うことになります。
 毒は間違いなくロンが飲んだ蜂蜜酒の中に入っていました。でも毒はグラスに入っていたのか、蜂蜜酒の瓶に入っていたのか分かりません。グラスに入っていたのならロンが狙われた、あるいはハリーを狙っていて間違えてロンに渡したということも考えられます。ハリーは‘選ばれし者’と呼ばれ命を狙っている者も多い、とフレッド&ジョージは言います。しかしジニーはその蜂蜜酒はスラグホーンがもともとダンブルドアにクリスマスに贈るつもりだったのだから狙われたのはダンブルドアかもしれない、と話します。
 そこにハグリッドがやって来ます。彼は1日中森の中でアラコグの看病をしていてたった今ロンのことを聞き、駆けつけてきたのです。
 ハグリッドはケイティに続きロンが傷付けられたので、誰かグリフィンドールのクィディッチチームに恨みを持つ者の仕業じゃないかと言います。いくらなんでもクィディッチの為に人殺しまでしようとする者はいないだろう、ということになりますが、ハーマイオニーはケイティの事件と今回の件は似ているところがあるから同じ犯人だろう、と言います。2つの事件は両方とも、命を落とす程の攻撃だったにも拘わらず全くの偶然が重なって被害者は死なずに済んだという点、そして毒もネックレスも犯人が本当に殺したかった人の所にはたどり着かなかったという点、が共通していると話します。またこのことはある意味とても恐ろしく、犯人は本当に殺したい人を殺すまで何人巻き添えになろうとも気にしていないということだ、とも話します。 そこにウィーズリーおじさんとおばさんが入ってきます。2人はもっと前に学校に到着して、ダンブルドアの部屋で事件の詳しい話を聞いていたそうです。おばさんはハリーをきつく抱き締め、ベゾアールでロンの命を救ってくれたことに感謝します。ジニーもおじさんもハリーのお陰で今こうして生きている、とおばさんは泣きながら話し、おじさんもウィーズリー家にとってロンが6年前にホグワーツ特急のコンパートメントでハリーの隣に座ってくれたことが
一番の幸運だったと話します。ハリーはどう答えていいのか分からずに困惑していると、マダム・ポンフリーが面会は一度に6人までです、と言いに来ます。ハリー、ハーマイオニー、ハグリッドの3人は退室し、病室にはウィーズリー一家だけを残すことにします。
 ハグリッドはケイティ、ロンと生徒が次々に傷付いていることに不安を抱いています。秘密の部屋が開けられた時と同じ様に、ホグワーツが閉鎖されてしまわないかと懸念を抱いているのです。
 ダンブルドアに何か考えはあるの?と訊ねる2人にハグリッドは、ダンブルドア程の人だから何百もの考えがあるだろうが、まだネックレスと毒の犯人は分かっていないようだ、と話します。そしていつものようにうっかり口を滑らせて、ダンブルドアがスネイプと森で口論していたと話してしまいます。
 ハリーはハグリッドを問い詰め、ハグリッドは「俺は何も聞いてない!おっと、もうこんな時間だ・・」と話をはぐらかしますがハリーはそれでもしつこく詰め寄って、ダンブルドアは何かの仕事をスネイプに頼んでいたがスネイプは自分には荷が重過ぎるからと言って断り、全力を尽くしてくれと主張するダンブルドアと口論になっていたことを聞き出します。 そこにフィルチが現れたためハリーとハーマイオニーは急いでグリフィンドール寮に戻ります。

 談話室に入るともう真夜中で静まり返っていました。ハーマイオニーはすぐに女子寮へと帰って行きましたが、ハリーは暖炉の近くの椅子に座りダンブルドアと
スネイプの口論について一人で考えました。
 ハリーには、自分は完全にスネイプを信用している、と言ったのにダンブルドアはスネイプを怒っていた。ダンブルドアはハリーに、授業とスラグホーンの記憶を手に入れることだけに集中させるためにそう言ったのだろうか?
 一人で考えをめぐらせていると、突然奥の方の椅子から人影が現れます。
ハリーは驚いて立ち上がり杖を構えますが、それはマックラガンでした。
彼はロンが病院棟に運ばれたのを偶然目撃し、次の試合のキーパーを自分にさせてくれとハリーに言うために、ずっと談話室でハリーの帰りを待っていたそうです。
 マックラガンの選考会での成績はロンに続いて2番目に良かったし、もう一度選考会をする気力はなかったので、ハリーは仕方なく彼を次の試合でキーパーとして使うことにします。

 次の日、ロンが毒を飲まされたという話はすぐに学校中に広まりました。
でも、薬草学の先生の部屋で起こった事だし、すぐに解毒剤を飲んで大きな損傷は無かったのでみんな事件ではなく、事故だと思っているようで、大きな騒ぎにはなりませんでした。
 クィディッチの試合も近付きますが、ハリーは今までには考えられない程クィディッチに関心が湧かず、未だにチャンスがあると忍びの地図でマルフォイの行動をチェックすることに没頭していました。
 やはりマルフォイは時折地図から消えてしまうことがあり、その理由は謎のままでした。
 しかしハリーは、クィディッチの練習、宿題、そしてしつこく付きまとってくるマックラガンとラベンダーのお陰で、そのことについてゆっくり考える時間はありません。
 マックラガンは選手としてはロンより上手いかも・・と思うことがあるほど良かったのですが、他のメンバーの動き方までいろいろ口出ししてきてハリーは誰がキャプテンなのか忘れてしまうことがあるくらいでした。
 そしてラベンダーは、ロンが自分のことをどう思っているのかをしつこくハリーに聞いてきます。あまりにしつこく聞いてくるので、「そんなことロンに直接聞けばいいだろう」と言いますが彼女は、「ロンは自分が会いに行くといつも眠ってしまう」と言います。彼女は頻繁にお見舞いに行っているハーマイオニーのことも気にしているようです。
 
 ハッフルパフとのクィディッチの試合の朝、ハリーはピッチに降りる前にロンに会いに行きます。ロンは興奮しすぎるからと、マダムポンフリーに試合を見ることを禁じられていたのです。
 2人は少し話をしてハリーは試合に向かいます。すると廊下で2人の女の子と歩いているマルフォイに出くわします。マルフォイは試合を見に行く様子ではなく、誰もいなくなった校内をうろついていたのです。ハリーは後をつけたい衝動に駆られますが、試合に行かなくてはなりません。もどかしい気持ちで仕方なくピッチへと向かいました。

 更衣室に入ると、他のメンバーは着替えを終えハリーを待っていました。今までどこにいたのかと訊ねるジニーに、マルフォイを見たことを話しますがそんなことより今は試合が大事と言われ、それ以上は何も話さず、ハリーも着替えてピッチに出ます。
 試合直前、またマックラガンがチームメイトにあれこれと指示を出していました。
ハリーは他の人のことには口出しせず、ただゴールを守れ!と彼に怒って言います。
 そして試合開始!ハリーは誰よりも早く上空に舞い上がり、スニッチを探します。早くスニッチを取って試合を終わらせればマルフォイの後を追えるかも・・
ハリーはそんなことを考えていました。
 グランドからは解説の声が聞こえてきました。今回はハッフルパフでプレイしているザカリアス・スミスに代わり、ルーナが解説をしていました。
 試合はハッフルパフのリードで進みます。他の選手に指示を出すのに夢中のマックラガンが次々にゴールを決められていたのです。ジニーとデメルザも得点しますが、マックラガンがゴールを守れず70対40でハッフルパフがリードしています。
 すると、何を思ったのかマックラガンがピークスのバットを奪い、どうやってブルッジャーを打つのか指導しようとしだしたのです。ハリーは「バッドをピークスに返してお前はゴールを守れ!」と叫びながらマックラガンに近付きます。ところがマックラガンはハリーの声を無視して思い切りバッドを振ってブルッジャーを打ったのです。
 ハリーは突然目の眩むような激痛に襲われ、目がチカチカして遠くでは悲鳴が響き、そして長く暗いトンネルを落ちていく感覚に・・・・

 次に気付くとハリーは病院棟のベットの上でした。頭にはきつく包帯が巻かれています。
 マックラガンの打ったブルッジャーがハリーの頭に直撃し、頭蓋骨が砕けてしまったのです。もちろん、マダムポンフリーによってすぐに治療され、今夜一晩おとなしく寝ていれば治るそうですが・・・
 試合には320対60で負けたとロンから聞かされます。しかしハリーは試合に負けたことより、怪我をしたせいでマルフォイが誰もいない校舎で何をしていたか探ることが出来なかったことを悔やみます。(もちろん後でマックラガンを捕まえたら殺してやる、とは言ってましたが)
 夜、ロンもマダムポンフリーも眠り、静まり返った病室でハリーはクィディッチの試合でここに運ばれるのはこれで3回目だ、と考えます。 1度目は馬鹿なロックハートのせいで腕の骨がなくなってしまった時、2度目はディメンターがピッチに入って来て箒から落下した時。腕の骨がなくなった時が一番辛かった。夜中にドビーはやって来るし・・・
 ハリーは突然ある考えが頭に浮かび体を起こします。マルフォイを尾行するいい方法を思いついたのです。ハリーは恐る恐る小さな声で「クリーチャー?」と暗闇の中で囁きました。すると!静かだった部屋に突然2人の屋敷しもべ、ドビーとクリーチャーが現れ、大声でキーキー叫びながら取っ組み合いの喧嘩を始めたのです。そしてどういう訳かピーブスまで付いて来て2人を駆り立てます。
 ハリーは急いでマダムポンフリーの部屋のドアに杖を向け「マフィリエート!」と唱えます。
 屋敷しもべとピーブスの登場で飛び起きたロンとハリーは、とりあえずドビーとクリーチャーをそれぞれ羽交い絞めにして、2人を引き離します。
 何とか落ち着いたところでハリーは、クリーチャーにドラコ・マルフォイを四六時中監視するように命じます。ドビーもハリー・ポッター様のためなら何でもします!と言いドビーとクリーチャーの2人でマルフォイを監視することになります。クリーチャーは嫌々でしたが、自分のご主人様の命令には絶対に従わなくてはならないようで、渋々引き受けます。
 マルフォイには決して尾行していることを言ったり、手紙で知らせたりしないこと、どんな手段であってもマルフォイと連絡を取らないこと、誰にも自分達がしていることを知られないこと、そしてロンとハーマイオニー以外の誰にも知られないように定期的に状況を報告に来ること、とハリーは2人の屋敷しもべに命じました




続き(第二十章〜)はこちらをご覧ください。



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